『秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』

J・ウォーリー・ヒギンズ
(2018年10月30日刊行,光文社[光文社新書・969],東京, 454 pp., 本体価格1,500円, ISBN:9784334043759版元ページ

アメリカ軍属で日本に移り住むことになった著者は “鉄分” がとても多くて,日本人の “乗り鉄” や “撮り鉄” とみまごうばかり.1950〜60年代の古い写真は,褪色することもなくとても鮮やかにかつての日本を甦らせる.新書のカラー写真集はかねてよりそのコスパの良さを絶賛していたが,今回出たこの写真集もタダゴトではない.フルカラーの450ページ本がたった1,500円はありえへん.速攻読了したが,ほんの60年前の日本の道路はあんなに車が少なかったとは驚き.かつてワタクシが乗った経験があるオート三輪とかちゃんと走っている.

『全国アホ・バカ分布考:はるかなる言葉の旅路』

松本修
(1993年8月5日刊行,太田書店,東京, 446 pp.+カラー折込図版1葉, ISBN:4872331168

最新刊:松本修全国マン・チン分布考』(2018年10月10日刊行,集英社インターナショナル[インターナショナル新書・030],東京, カラー折込図版2葉+365 pp., 本体価格1,100円, ISBN:9784797680300目次版元ページ)を手にしたので,もう25年も前に出たこの本をひさしぶりに書棚から取り出した.方言周圏論に基づく日本全国の「アホ・バカ」の地理的分布を調べた本書はとても興味深い内容だった.だいぶ前にとある情報筋から聞いた話では,言葉に関するこのようなアンケート調査は本来なかなか難しいのだが,バックについたある “大物” の後ろ盾により,本書の調査は国語学的にはまれに見る成功例だったらしい.本書はその後,1996年12月に出版された新潮文庫[ま-15-1| ISBN:9784101441214]として再刊されたが,巻末の折込図版は含まれていないようだ(未確認).

【目次】
まえがき 2

第1章

 1. 「アホ」と「バカ」の境界線 18
 2. 全国アホ・バカ分布図の完成に向けて 28

第2章

 1. 「バカ」は古く、「アホ」はいちばん新しい 54
 2. 恐るべき多重の同心円 75
 3. 古典文学に潜むアホ・バカ表現 94

第3章

 1. 「フリムン」は琉球の愛の言葉 122
 2. 「ホンジナシ」は、本地忘れず 144

第4章

 1. 「アヤカリ」たいほどの果報者 166
 2. 「ハンカクサイ」は船に乗った 173
 3. 言葉遊びの玉手箱 185
 4. 分布図が語る「話し言葉」の変遷史 197

第5章

 1. 「バカ」は「バカ」のみにて「バカ」にあらず 212
 2. 新村出柳田國男の「ヲコ」語源論争 226
 3. 周圏分布の成立 236
 4. 学会で発表する 248

第6章

 1. 「アホンダラ」と近世上方 256
 2. 江戸っ子の「バカ」と「ベラボウ」 272
 3. 「アホウ」と「バカ」の一騎打ち 289

第7章

 1. 君見ずや「バカ」の宅 310
 2. 「アハウ」の謎 337
 3. 「阿呆」と「馬家」の来た道 350

エピローグ

 方言と民族のゆくえ 386

 

あとがき 403
アホ・バカ方言全国語彙一覧 410
参考文献 437
索引 [446-442]

 

カラー折込図版 1 p.

『全国マン・チン分布考』

松本修
(2018年10月10日刊行,集英社インターナショナル[インターナショナル新書・030],東京, カラー折込図版2葉+365 pp., 本体価格1,100円, ISBN:9784797680300版元ページ

かつて四半世紀前に読んだ:松本修全国アホ・バカ分布考:はるかなる言葉の旅路』(1993年8月5日刊行,太田書店,東京, 446 pp.+カラー折込図版1葉, ISBN:4872331168)は新刊で出たときにすぐ読んでとても感銘を受けた.その続編が出るとは実に感動的.新書なのに大きなカラー図版が折り込みで添付されている.これから楽しませていただきます.それにしても今月は新書が豊作だ.

【目次】
カラー折込図版 2 pp.

 

はじめに 7
第1章 東京での「おまん」の衝撃 13
第2章 「虎屋」の饅頭へのあこがれ 55
第3章 「チャンベ」「おめこ」らの愛すべき素性 93
第4章 女性の心に生きる「オソソ」 121
第5章 琉球に旅した『古事記』の言葉 167
第6章 「チンポ」にたどり着くまで 179
第7章 「マラ」と南方熊楠 197
第8章 女陰語の将来 279
第9章 今までの「おまんこ」研究 289
第10章 「まん」を生きる人生 305
結びの章 花咲く京の春の大団円 325
おわりに 346

 

出典および主要参考文献 358

『中学入試 最高水準問題集 国語』

西川和人(編著)
(2018年9月刊行,文英堂,京都, 本体価格1,600円, ISBN:9784578215332版元ページ

をを,かの超有名参考書〈シグマベスト〉の文英堂の『最高水準問題集』にワタクシの文章が載るとは! やっぱり女子学院中学校の入試に出題されるとこういう波及効果があるのか.それにしても,『分類思考の世界』をネタにして「分類群の実在性」とか「分類学者の原罪」とか「ウンベルト・エーコ」とかまだ小学生の受験生に問いかけるのはお疲れさまというかタイヘンねと言うしかない.しかし,掛け値なくスゴイのは模範解答とその解説だ.そーかそーか実はワタクシはこんなに難しいことを書いていたのか(おいっ).書いた著者本人が言うのも何だけど,こんなに深くあれこれ考えてあの文章は書いてませんてば.

『ホモ・デウス:テクノロジーとサピエンスの未来(下)』

ユヴァル・ノア・ハラリ[柴田裕之訳]
(2018年9月30日刊行,河出書房新社,東京, 284 pp., 本体価格1,900円, ISBN:9784309227375版元ページ

【目次】
第6章 現代の契約 7
第7章 人間至上主義 33

第3部 ホモ・サピエンスが世界に意味を与える

第8章 研究室の時限爆弾 103
第9章 知能と意識の大いなる分離 132
第10章 意識の大海 189
第11章 データ教 209

 

謝辞 247
訳者あとがき 250
原註 [269-257]
図版出典 [271-270]
索引 [284-272]

『ホモ・デウス:テクノロジーとサピエンスの未来(上)』

ユヴァル・ノア・ハラリ[柴田裕之訳]
(2018年9月30日刊行,河出書房新社,東京, 265 pp., 本体価格1,900円, ISBN:9784309227368版元ページ

【目次】
第1章 人類が新たに取り組むべきこと 9

第1部 ホモ・サピエンスが世界を征服する

第2章 人新世 93
第3章 人間の輝き 128

第2部 ホモ・サピエンスが世界に意味を与える

第4章 物語の語り手 193
第5章 科学と宗教というおかしな夫婦 220

 

原註 [263-245]
図版出典 [265-264]

サピエンス全史:文明の構造と人類の幸福(下)

ユヴァル・ノア・ハラリ[柴田裕之訳]
(2016年9月30日刊行,河出書房新社,東京, 294 pp., 本体価格1,900円, ISBN:9784309226729版元ページ

【目次】

第3部 人類の統一[続]

第12章 宗教という超人間的秩序 9
第13章 歴史の必然と謎めいた選択 43

第4部 科学革命

第14章 無知の発見と近代科学の成立 54
第15章 科学と帝国の融合 90
第16章 拡大するパイという資本主義のマジック 127
第17章 産業の推進力 163
第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和 182
第19章 文明は人間を幸福にしたのか 214
第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ 241

 

あとがき――神になった動物 264
謝辞 266
訳者あとがき 267
原註 [282-274]
図版出典 [283]
索引 [294-284]

サピエンス全史:文明の構造と人類の幸福(上)

ユヴァル・ノア・ハラリ[柴田裕之訳]
(2016年9月30日刊行,河出書房新社,東京, 267 pp., 本体価格1,900円, ISBN:9784309226712版元ページ

【目次】
歴史年表 9

 

第1部 認知革命

第1章 唯一生き延びた人類種 14
第2章 虚構が協力を可能にした 34
第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし 59
第4章 史上最も危険な種 86

第2部 農業革命

第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇 104
第6章 神話による社会の拡大 128
第7章 書記体系の発明 154
第8章 想像上のヒエラルキーと差別 170

第3部 人類の統一

第9章 統一へ向かう世界 202
第10章 最強の征服者、貨幣 215
第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン 233

 

原註 [265-257]
図版出典 [267-266]

『Phylogenetic Trees Made Easy: A How-To Manual, Fifth Edition』

[目]『Phylogenetic Trees Made Easy: A How-To Manual, Fifth Edition』

Barry G. Hall
(2018年刊行,Oxford University Press, Oxford, xvi+352 pp., ISBN:9781605357102 [pbk] →版元ページコンパニオンサイト

2011年に出た第4版から実に7年ぶりの改訂.版元の Sinauer Associates がいつの間にか Oxford University Press吸収合併されていた.マジかー.ぜんぜん知らんかったー. そんなわけで,この有名な教科書の最新版を今になって知ったという顛末.NJ / MP / ML は MEGA 7 で,Bayes法は BEAST が使われている.増補章として系統ネットワーク,最小展開樹,TimeTree,phylogenomics が新設された.総ページ数は70ページあまり増えている.本書のコンパニオンサイトからは MEGA X 対応パッチとともに,各種データファイル等がダウンロードできる(Win / Mac/ Linux 別).

【目次】
Acknowledgments vii

 

Chapter 1 Read Me First! 1
Chapter 2 Tutorial: Estimate a Tree 11
Chapter 3 Acquiring the Sequences 33
Chapter 4 Aligning the Sequences 53
Chapter 5 Major Methods for Estimating Phylogenetic Trees 71
Chapter 6 Neighbor Joining Trees 77
Chapter 7 Drawing Phylogenetic Tress 101
Chapter 8 Parsimony 121
Chapter 9 Maximum Likelihood 141
Chapter 10 Bayesian Inference of Trees Using BEAST 151
Chapter 11 Which Method Should You Use? 175
Chapter 12 Working With Various Computer Platforms 183
Chapter 13 Phylogenetic Networks 191
Chapter 14 Minimum Spanning Trees 215
Chapter 15 Time Trees 231
Chapter 16 Reconstructing Ancestral Sequences 245
Chapter 17 Detecting Adaptive Evolution 259
Chapter 18 Estimating Phylogenetic Trees from Whole Genome Sequences 281
Chapter 19 Some Final Advice: Learn to Program 297

 

Appendix I File Formats and Their Interconversion 299
Appendix II Text Editors 307
Appendix III The Command-line Environment 311
Appendix IV Installing and Running Command-line Programs 323
Appendix V Additional Programs 331
Appendix VI Frequently Asked Questions 335

 

Literature Cited 339
Index to Major Program Discussions 341
Subject Index 345

『統計思考の世界:曼荼羅で読み解くデータ解析の基礎』反響(7)

三中信宏
(2018年6月1日刊行,技術評論社,東京,239 pp., 本体価格2,300円, ISBN:9784774197531 [紙版]|ISBN:9784774197548 [電子版] → コンパニオン・サイト版元ページ[紙本]版元ページ[電子本]

何となく脳汁を垂れ流す

【読書記録】統計思考の世界 ~曼荼羅で読み解くデータ解析の基礎」(2018年10月15日)

※書き手の側から見て適切な読み方をされたと思う.“みどり本” とかスラスラ読めるヘヴィ統計ユーザーはワタクシが想定する潜在読者層ではない.

以上,2018年10月16日.