(2019年7月1日刊行,青土社,東京, 本体価格1,400円, ISBN:9784791713837 → 版元ページ)
〈特集=考現学とはなにか〉に誘引されました.
(2019年7月1日刊行,青土社,東京, 本体価格1,400円, ISBN:9784791713837 → 版元ページ)
〈特集=考現学とはなにか〉に誘引されました.
ドノヴァン・ホーン[村上光彦・横濱一樹訳]
(2019年7月15日刊行,こぶし書房,東京, 654 pp., 本体価格2,800円, ISBN:9784875593515 → 目次|版元ページ)
全650ページ読破.これはいったいどのジャンルに配架されるべき本なのか.広義の海洋科学で,地球規模の海流・漂流デブリス問題・微細プラスチック汚染.海洋自然保護あたりが妥当かな.しかし,原書:Donovan Hohn『Moby-Duck: The True Story of 28,800 Bath Toys Lost at Sea and of the Beachcombers, Oceanographers, Environmentalists and Fools Including the Author Who Went in Search of Them』(2011年刊行, Viking Press, New York, ISBN:9780670022199 → 版元ページ|著者サイト) のいささか饒舌すぎるタイトルを見れば, “知的ごった煮” の波間に見え隠れするビーチコーミング・中国玩具製造・海難事故・北極探検まで含めて,もっと広大なテーマを包括する本でもある.
郭怡青(文)・欣蒂小姐(絵)・侯季然(映像)[小島あつ子・黒木夏兒訳]
(2019年6月27日刊行,サウザンブックス,東京, 432 pp., 本体価格2,600円, ISBN:9784909125125 → 版元ページ|映像リスト《書店裡的影像詩Ⅰ-日文字幕版》 [YouTube])
掛け値なしにおもしろい.台湾の独立系書店がいきいきと描かれている.しかも,各書店ごとにQRコードで映像作品《書店裡的影像詩Ⅰ-日文字幕版》へのリンクがはられている.ほぼ同時に出た:ホルヘ・カリオン[野中邦子訳]『世界の書店を旅する』(2019年6月20日刊行,白水社,東京, 309+31 pp., 本体価格3,200円, ISBN:9784560096932 → 目次|版元ページ)が世界本屋旅行なら,『書店本事』は台湾本屋旅行のガイドブック.
井波律子
(2019年6月18日刊行,岩波書店,東京, xiv+521+18 pp., 本体価格3,200円, ISBN:9784000613453 → 版元ページ)
30年に及ぶ書評集.著者が専門とする中国の古典や史書・伝記・小説に関する書評はとりわけ読み応えがある.さすがさすが.書評のあり方を自分なりに考えることができる.
フェルナンド・バエス[八重樫克彦・八重樫由貴子訳]
(2019年3月22日刊行,紀伊國屋書店,東京, 739 pp., 本体価格3,500円, ISBN:9784314011662 → 目次|版元ページ)
読売新聞大評が一般公開された:「古今東西 書物受難史——書物の破壊の世界史…フェルナンド・バエス著」(2019年6月30日)
私のいる研究室には古書がうずたかく積み上がっていて、ときどき銀色に輝く紙魚がちょろちょろ這い出てくる。本の紙や糊をかじってしまう憎らしい天敵だ。しかし、本書を読んだあとでは、紙魚の1匹や2匹くらいは寛大に見逃したくなる。
書物の受難はいつの時代にも世界中どこでも絶えることはなかった。伝説的な古代エジプトのアレクサンドリア図書館は最盛期の紀元前3~2世紀には70万巻ものパピルス文書が所蔵されていたという。しかし、その後に続く政治的混乱と戦火によりこれらの書物はことごとく灰燼に帰した。第2次世界大戦中のナチスドイツによる大規模な焚書事件(「ビブリオコースト」)、中国の文化大革命時の書物の検閲と弾圧、ユーゴスラビア紛争における図書館の大規模な被災と何百万冊もの破壊、今世紀に入ってもイラクにおける激しい戦闘の中で粘土板に刻まれた数多くの貴重な歴史的文書が失われた。
私たちの愛読書がもし傷つけられたり燃やされたりすれば“痛み”を感じるだろう。しかし、長い歴史の中で暴力的に失われてしまった物理的存在としての書物の総数はその痛覚を麻痺させてしまう。本書に詰め込まれた書物受難史の事例は繰り返し読者に問いかける。なぜわれわれ人間はこれほどまで執拗に本を燃やしたり捨てたりできたのだろうか。かつて作家ハインリッヒ・ハイネは「本を燃やす人間は、やがて人間も燃やすようになる」と書いた。多くの日本人読者はすぐさま「焚書坑儒」という中国の史実を思い出すはずだ。書物の破壊の歴史は人間社会の憎悪の歴史と表裏一体だった。
ノーベル文学賞詩人ヨシフ・ブロツキーは母国ロシアで執筆活動を弾圧されたが、それでも「本を燃やすよりもひどいことがあるとすれば、それは読まないことだ」と述べた。焚書や破壊や廃棄という災厄を免れて生き残った書物を手にするわれわれは本を読めることの幸運を実感する。八重樫克彦・八重樫由貴子訳。
橋本倫史
『ドライブイン探訪』や『市場界隈:那覇市第一牧志市場界隈の人々』の著者である橋本倫史が発行する谷根千リトルプレス本.現在まで6冊発行されている:
濱田武志
(2019年7月5日刊行,東京大学出版会,東京, viii+386 pp., 本体価格16,000円, ISBN:9784130860550 → 版元ページ)
中国最南部の漢語系諸語を対象とする分岐学に基づくツリーとネットワークの最節約推定と祖語の最節約復元に関する言語系統学のモノグラフ.第7回東京大学南原繁記念出版賞受賞作.
Takeshi HAMADA 2019. Cladistics in Sinitic Languages: A Comparative and Phylogenetic Approach to Southern Chinese Varieties (Yue and Guinan Pinghua). University of Tokyo Press, Tokyo, viii+386 pp., ISBN:9784130860550. http://www.utp.or.jp/book/b432328.html
附論1 各語(字)の再建形,各OTUの形質行列および方言分布図 267
参考文献 361
デイヴィッド・コープ[平田圭二監訳|今井慎太郎・大村英史・東条敏訳]
(2019年7月5日刊行,音楽之友社,東京, xx+443 pp., 本体価格4,200円, ISBN:9784276214132 → 版元ページ|参考音源)
何でもかんでも “人工知能” ってキャッチコピーを付けるのは日本では止めましょうよ.まだパラ読みだが,内容的にはしごく “理詰め” で,古今の音楽作品に基づく創作過程のプログラミングや機械学習そしてモデリング——著者は「音楽知能実験(EMI)」と称している——の研究成果が詰め込まれている.なお機械作曲された “作品” は版元ページで音源公開されている.それにしても,スティーヴ・ライヒとかヤニス・クセナキスとかピエール・ブーレーズなど,いかにもアルゴリズム的アプローチに向いている作曲家たちが登場しないのはなぜだろう.
プログラムと音源/凡例 iv
訳者まえがき v
まえがき xii
付録A EMI作品リスト 399
付録B データベースフォーマット 401
付録C プログラムリスト 403
付録D ゲーム・オブ・アークの決まり手一覧 404
付録E 楽譜:ヴァーチャル・ベートーヴェン作曲《交響曲第10番》第2楽章 406
参考文献 427
人名索引 437
訳者あとがき 440
著者略歴/訳者略歴 437
ドノヴァン・ホーン[村上光彦・横濱一樹訳]
(2019年7月15日刊行,こぶし書房,東京, 654 pp., 本体価格2,800円, ISBN:9784875593515 → 版元ページ)
大手町の読売新聞読書委員会の “トロ箱” に並んでいた.タイトルからして何かの小説だろうと通り過ぎたら,別の読書委員から「きっとみなかさん向きでは?」と手渡された.その読書委員会では「なぜこの本がよりによってあのこぶし書房から?」とひとしきり論議に.『白鯨』っぽいノリだが “クロカン” とは無関係だし,ましてや「革マル派」とはぜんぜん縁がない本だけどね.ワタクシは小説とは無縁の人生を歩んできたが,この際だから岩波文庫のメルヴィル『白鯨(モービー・ディック)』三巻本を買ってしまおうか.
謝辞 592
主な参考文献 596
原註 604
訳註 636
訳者あとがき 639