『中世紋章史』目次

ゲオルク・シャイベルライター[津山拓也訳]
(2019年8月26日刊行,八坂書房,東京, 322+20 pp., 本体価格4,500円, ISBN:9784896942644版元ページ


【目次】
序言 3
第I章 紋章の黎明期 11
第II章 紋章の普及と定着 51
第III章 楯意匠と兜飾り──紋章の主要モチーフをめぐって 95
第IV章 紋章の言語、時代様式、色彩 169
第V章 紋章官とその世界 219
第VI章 寓意と象徴の紋章学──シンボル・伝説・架空紋章 255
結び 紋章の行方 311

訳者あとがき 317

参考文献 [15-20]
追加図版出典 [14]
索引 [1-13]

『アラスカ探検記:最後のフロンティアを歩く』目次

マーク・アダムス[森夏樹訳]
(2019年9月2日刊行,青土社,東京, 428+vi pp., 本体価格2,600円, ISBN:9784791772070版元ページ


【目次】
プロローグ グレーシャー・ベイ国立公園 13

1 メリアム氏を訪問 ワシントンDC 18
2 すべては北をめざす ニューヨーク市 23
3 第一級の男たち ハリマンの特別列車で西へ向かう 32
4 二人のジョニー シアトル 40
5 フェリーの話 ケニコット号に乗って 48
6 大いなる大地 北太平洋で 58
7 「野蛮人を文明化すること」 アネット島 64
8 秘められた歴史 アンカレッジ 69
9 降雨量が最大の地で生き抜く ケチカン 76
10 よく考えてみると メトラカトラ 83
11 悪魔も心配しかねない ランゲル 90
12 一九七九年夏 フォート・ランゲル 97
13 創造の朝方 スティキーン川 106
14 危険信号 トレッドウェル鉱山 113
15 石油 ジュノー 116
16 財政危機 アンカレッジ 122
17 チルカット族の土地 ヘインズ 132
18 クロンダイク・ゴールドラッシュ スキャグウェイ 143
19 ロシア領アメリカ ペリル海峡 152
20 絶対に必要なもの シトカ 169
21 氷山 グレーシャー・ベイ 175
22 ハリマンと狩りをする 遠吠えの渓谷 184
23 移転 グスタバス 190
24 心を奪われたミューア グレイシャー・ベイ 209
25 揺られたり、かきまわされたり フェアバンクス 231
26 行き止まり ヤクタット 247
27 生態学上の災害科 その予見 オルカ 258
28 生態学的の災害 その余波 コードバ 269
29 入江発見 ハリマン・フィヨルド 278
30 風変わりな町 ウィッティア 285
31 温暖化傾向 ハリマン氷河 293
32 完全武装して コディアック 299
33 クマに囲まれた生活 ユーヤク・ベイ 305
34 過去から吹く風 一万本の煙の谷 322
35 絶滅寸前 プリビロフ諸島 345
36 アリューシャン列島の地元民 タスツメナ号に乗って 350
37 忘れ去られた戦線 ダッチハーバー 363
38 新ゴールドラッシュ ノーム 372
39 グリーンマン ワシントンDC 386
40 ランズ・エンド シシュマレフ 398

エピローグ ニューヨーク市 408

資料について 414
著者ノート 417
謝辞 418
参考文献 421
訳者あとがき 424
索引 [i-vi]

『ナボコフ・コレクション —— 賜物/父の蝶』

ウラジーミル・ナボコフ沼野充義・小西昌隆訳]
(2019年7月25日刊行,新潮社[ナボコフ・コレクション],東京, 635+ii pp., 本体価格5,700円, ISBN:9784105056094版元ページ

前半は沼野充義訳の長編〈賜物[Дар]〉(pp. 7-559),後半は小西昌隆訳の短編〈父の蝶[Отцовскиe бабочки]〉(pp. 561-609)で初の日本語訳とのこと.ワタクシ的には〈父の蝶〉にとても強く惹かれる.作家ウラジーミル・ナボコフは,けっして “在野研究者” ではなく,ハーバード大学比較動物学博物館とコーネル大学でキュレーターを務めたプロの昆虫学者としてのキャリアをもつ.この短編小説にはチョウの自然分類と種概念に関する言及もあり,読む人が読めばきっとおもしろいにちがいない.読者を選ぶ文章.

『消えた山人:昭和の伝統マタギ』目次

千葉克介
(2019年8月5日刊行,農文協,東京, 159 pp., 本体価格2,500円, ISBN:9784540151002版元ページ

秋田の伝統的なマタギの写真集.猟のスタイル,獲物のさばき方,そして独特の生活・習俗・文化・信仰について.


【目次】
まえがき 1
地図 —— 秋田県内の主なマタギ集落と取材地 6

伝統的なマタギの世界 —— 大正・昭和初期の姿 7
玉川マタギ —— 集団的クマ猟と生活技術 31
百宅マタギ —— 山の神信仰と熊祭り 79
マタギ —— 伝統的ウサギ猟 131
鷹匠 —— クマタカによるウサギ猟 150

あとがき 155
参考文献 157
資料提供 157

解題[塩野米松] 158

『クモの奇妙な世界:その姿・行動・能力のすべて』目次

馬場友希
(2019年9月1日刊行,家の光協会,東京, 351 pp., 本体価格1,800円, ISBN:9784259547691版元ページ

著者は農環研ホープのひとり.さあ,みなさんも蜘蛛の糸に絡め取られましょう.読売新聞の読書委員会では「なぜ家の光協会が蜘蛛の本を?」との素朴な疑問が出ましたが,そんなん知らんがな.


【目次】
図説 2
はじめに 12
第1章 クモの生き方 恋のかけひき 19
第2章 クモの生き方 それぞれの秘技 65
第3章 クモの生き方 知られざる一面 161
第4章 人間とクモが交わるところ 221
第5章 さあ,クモの世界へ踏み込もう 283
おわりに 338
引用文献 [351-343]

『小檜山賢二写真集 TOBIKERA』

小檜山賢二
(2019年7月19日刊行,クレヴィス,東京, 127 pp., 本体価格4,500円, ISBN:9784909532299版元ページ

大手町の定例読書委員会の新刊展示テーブルに,真っ黒な巨大写真集が鎮座していた.シンプルすぎる『TOBIKERA』と銘打たれたこの本は潜在読者を捕まえようと手ぐすねを引く.はい,ワタクシ即座に捕まってしまいましたがな.そして,水生昆虫学者でもないくせに,続く “せり” ではトビケラの巣の魅力と深度合成カラー写真のすばらしさについて熱弁を振るってしまった.いや,これはスゴイ昆虫写真集で,延長された表現型は芸術でもあると証明している.ついつい昔買った『原色川虫図鑑』なんぞを引っ張り出してしまった.

『日本発酵紀行』読売新聞書評と元原稿

小倉ヒラク
(2019年6月10日刊行,D&DEPARTMENT PROJECT, 東京, 217 pp., 本体価格1,800円, ISBN:97849030973目次版元ページ著者サイト

読売新聞ヴィジュアル評の鍵がはずれて公開された:三中信宏小倉ヒラク著「日本発酵紀行」」(2019年8月25日掲載|2019年9月2日公開)



 東西南北に延びる日本列島のさまざまな自然環境が食生活や食文化にも反映される。発酵食品といえば、味噌・醤油・酢、漬物や納豆や魚醤、酒まで含めれば数えきれない。この多様性こそ発酵食品が人間の食生活に広く深く根付いている証左だ。

 本書は「発酵デザイナー」を名乗る著者が、日本全国津々浦々を旅しながら、伝統ある発酵食品とそのつくり手を訪ね歩いた紀行本だ。

 「かんずり」=写真=は塩漬けの真っ赤な唐辛子を雪の上でさらしてから何年も発酵させる。発酵と腐敗は紙一重。ここにいたるまでにどれほどの試行錯誤が繰り返されたのだろうか。

 生き生きとした文体とともに味わいたいのがカラー写真の数々だ。たちのぼる匂いやしあがりの味わいまで読者に伝わってくる。とてもおいしい本である。

三中信宏[進化生物学者]読売新聞書評(2019年8月25日掲載|2019年9月2日公開)



初めてのヴィジュアル評だったので,制限字数を心得ていなくて,元原稿を半分以下に削るハメになった.せっかく書いたものをボツにするのはもったいないので,下記にその元原稿を再録する.

発酵を求めて全国行脚

東西南北に伸びる日本列島は地方ごとに自然環境がちがい,それは食生活や食文化にも反映されている.発酵食品といえば,厨房で欠かすことができない味噌・醤油・酢などの調味料類はもちろん,食卓の常連である漬物や納豆,魚を発酵させた押し寿司やなれ寿司や魚醤,そして酒・焼酎・泡盛などアルコール飲料まで含めればとても数えきれない.また,同じ納豆でも,粘った糸を引く納豆と塩辛く乾いた大徳寺納豆では大きなちがいがある.この多様性こそ発酵食品が人間の食生活に広く深く根付いている証左だ.

本書は「発酵デザイナー」を名乗る著者が,日本全国津々浦々を旅しながら,各地でつくられてきた伝統ある発酵食品とそれをつくる人々を訪ね歩いた紀行本だ.どこでも見かける食品もあれば,ごく限られた地域だけでしか生産されていない珍品もある.発酵食の製造元を取り巻く土地柄を身をもって経験し,つくり手の語りにじっと耳を傾けるとき,日本のさまざまな発酵食品がたどってきた長い歴史が垣間見える.

たとえば,妙高高原の「かんずり」(pp. 158-9)は塩漬けの真っ赤な唐辛子を雪の上でさらしてから何年も発酵させるという.いったい誰がこんな手間のかかるレシピをつくりあげたのだろうか.発酵と腐敗は紙一重.ここまで完成された発酵食品ができあがるまでにどれほどの試行錯誤が繰り返されたのだろうか.

生き生きとした文体とともに味わいたいのが挿入されているカラー写真の数々だ.土地ごとに異なる顔をもつ “地霊(ゲニウス・ロキ)” は気候風土をかたちづくる.そして,つくり手の表情や仕込みの写真からは,たちのぼる匂いやしあがりの味わいまで読者に伝わってくる.

いかにも年季の入った醸造用の木桶に染み付いた色合いと風格は “発酵の神々” の御座所にふさわしい.目には見えない微生物たちの降臨のおかげで,日本人の食文化はかくも豊かになってきた.前著『発酵文化人類学』(木楽舎)で発酵と人類学とのつながりを概説した著者は,本書を通じて日本における豊かな発酵文化を読者に伝えている.とてもおいしい本である.

三中信宏[進化生物学者]読売新聞書評原稿(2019年7月24日執筆)

『きのこのなぐさめ』感想・目次

ロン・リット・ウーン[枇谷玲子・中村冬美訳]
(2019年8月19日刊行,みすず書房,東京, 311+vii pp., 本体価格3,400円, ISBN:978-4-622-08809-7版元ページ|「きのこが導く、魂の再生の物語」)

本書はノルウェーにやってきて長年暮らす中華系マレーシア人の著者が,つれあいを亡くした悲嘆の日々からきのこによって救われたというもの.ノルウェー産の野生きのこのカラー写真がふんだんに散りばめられていて,きのこの基本から始まり,きのこ探しの極意,有毒きのこの判別法,きのこの麻薬作用,さらにはきのこを食材とする絶品料理のレシピまで.やっぱり菌類はすごい! それにしても, “きのこ” 本がえてして人生の物語と深く絡めて書かれることが多いのはどうしてだろうか.きのこには人生にとって大事なものを悟らせる何かがあるのかもしれない.あるいはビアトリクス・ポター南方熊楠ジョン・ケージという “きのこクラスター” の有名人たちがあまりにも強烈な印象を残しすぎているからか.


【目次】
序文 7
きのこがひとつ、喜びひとつ。きのこがふたつ、喜びふたつ。 9
二番目によき死 37
秘密の場所 53
特別専門家集団 75
きのこへの疑念 105
フィフティ・シェイズ・オブ・ポイズン 125
ガリアミガサタケ──きのこ王国のダイヤモンド 151
五感への働きかけ 173
アロマ・セミナー 203
名もなき者たち 221
前菜からデザートまで 249
素晴らしきラテン語 275
天からのキス 297

きのこの作法 306

訳者あとがき

参考文献
きのこ名索引