『世界哲学史5 —— 中世III:バロックの哲学』

伊藤邦武・山内志朗中島隆博納富信留(編)
(2020年5月10日刊行,筑摩書房ちくま新書・1464],東京, 307 + xxvii pp., 本体価格1,000円, ISBN:978-4-480-07295-5版元ページ

この叢書はみだりに近寄るとライプニッツやスカリゲルに噛まれそうで,遠巻きに見ていたら,ご恵贈いただきました.この機会に全8巻揃えます.

『日本のお弁当文化:知恵と美意識の小宇宙』目次

権代美重子
(2020年4月20日刊行,法政大学出版局,東京, 252 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-588-30052-3版元ページ


【目次】
はじめに 3

序章 世界が注目する日本のお弁当文化 13

1 海外のBENTO人気 14
2 手作り弁当のひろがり 22
3 「お弁当」と日本の食文化の特徴 29

第1章 「働く力」とお弁当 33

1 里の民のお弁当 33
2 山の民のお弁当 39
3 海の民のお弁当 47
4 「お弁当箱」の用と美 51
5 戦う人々の携行食 55
6 「腰弁当」──泰平の世のお弁当 62
7 戦後復興の力──「ニコヨン」と「ドカ弁」 66

第2章 花見弁当 季節や自然を楽しむお弁当 69

1 サクラ神事と「花見」 69
2 平安貴族の観桜の宴 71
3 秀吉の「吉野の花見」 74
4 江戸の庶民の年中行事としての「花見」 76
5 花見弁当 79
6 花見のお弁当箱 86
7 世相を映す「師匠の花見」──弁当二千人前・弁当長持十五棹 91
8 季節と自然はお弁当を楽しむための舞台装置 99

第3章 観劇弁当  芝居と一体化して楽しむお弁当 103

1 庶民の大娯楽「歌舞伎」 103
2 「宮地芝居」の継承──「大鹿歌舞伎」と「ろくべん」 106
3 江戸の芝居見物──一日がかりの大娯楽 109
4 芝居茶屋の食事──『宴遊日記別録』 から 113
5 食べながらの芝居見物 117
6 「かべす」の楽しみ 119
7 歌舞伎の変身──大衆演劇から芸術へ 127

第4章 駅弁  旅情を楽しむお弁当 131

1 フランス、パリ・リヨン駅の駅弁テスト販売 131
2 駅弁の魅力──「掛紙」 134
3 「駅弁」お弁当箱の魅力 139
4 駅弁の「盛り付け」の魅力 144
5 駅弁の歴史 147
6 駅弁販売法今昔 158

第5章 松花堂  おもてなしのお弁当 165

1 「松花堂」の誕生 165
2 「松花堂」の工夫 166
3 「松花堂」と茶道 169
4 「松花堂」と「懐石」 174
5 「松花堂」考案者、湯木貞一 177

第6章 食の思想とお弁当 183

1 神への畏敬と感謝から 183
2 命への畏敬──「包丁式」 190
3 「食法一体」──食と生き方を重ねる 195
4 『赴粥飯法』──受食の作法 200
5 食の思想の浸透 206

第7章 社会の変化とお弁当 211

1 お弁当の社会的役割 211
2 ライフスタイルの変化と価値観の多様化 216
3 ICTとお弁当 226
4 「手作り弁当」の趣味化 232


おわりに 239
参考文献資料 242
あとがき 249

『まとまりがない動物たち:個性と進化の謎を解く』

ジョン・A・シヴィック[染田屋茂・鍋倉僚介訳]
(2020年5月28日刊行,原書房,東京, 8+255 pp., 本体価格2,400円, ISBN:978-4-562-05764-1版元ページ

メインタイトルを見ただけではわからないが,動物の「個性(=パーソナリティ?)」を論じた本.

『サードプレイス:コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」』目次

レイ・オルデンバーグ[忠平美幸訳]
(2013年10月25日刊行,みすず書房,東京, 480+xxxv pp., 本体価格4,200円, ISBN:978-4-622-07780-0版元ページ

みすず書房の本なのに(←ここ重要)10刷とはおそるべし.確かに “場の居心地” はとても大事.


【目次】
はしがき 5
第二版へのはしがき 11
序論 33
謝辞 37

第 I 部

第1章 アメリカにおける場所の問題 40
第2章 サードプレイスの特徴 64
第3章 個人が受ける恩恵 98
第4章 もっと良いこと 131

第 II 部

第5章 ドイツ系アメリカ人のラガービール園 162
第6章 メインストリート 185
第7章 イギリスのパブ 211
第8章 フランスのカフェ 244
第9章 アメリカの居酒屋 273
第10章 古典的なコーヒーハウス 299

第 III 部

第11章 厳しい環境 324
第12章 男女とサードプレイス 366
第13章 若者を締め出すということ 414
第14章 めざすは、よりよい時代……と場所 447

解説[マイク・モラスキー] 467
註 [xxi-xxxv]
参考文献 [xi-xx]
索引 [i-x]

『専門知を再考する』感想

H・コリンズ,R・エヴァンズ[奥田太郎監訳|和田慈・清水右郷訳]
(2020年4月25日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, viii+179+30 pp., 本体価格4,500円, ISBN:978-4-8158-0986-7目次版元ページ

読了.最後まで手強かったなこれは.従来的な「貢献型専門知」に対する新手の「対話型専門知」の関わりがクローズアップされている.とくに,これまできちんと論議されてこなかった「対話型専門知」をどのようにとらえるかについて,実験研究をも実施して解明しようとしているところが目を惹く.ワタクシ的には,ふたつの専門知の相互関係を描いた図4(p. 87)を見ながら,生物体系学と生物学哲学の関わりを思い浮かべていた.表1「専門知の周期表」(p. 17)が本書全体の “大黒柱” に相当するが,専門領域の「内と外」をどのようにイメージ化するかによって,本書の主張をどこまで広げられるかが変わってくるだろう.ワタクシ的には科学と哲学との関係にしぼりこんでとらえるかぎり比較的わかりやすい議論だった.

『90年版 岩波文庫解説総目録 1927~2016』

岩波文庫編集部(編)
(2017年9月27日刊行,岩波書店,東京, viii+1287 pp., 本体価格4,500円, ISBN:978-4-00-061209-8版元ページ

新刊の『岩波新書解説総目録 1938-2019』を手にして,そういえば岩波文庫の解説総目録もアップデートされていたなと思い出した.夢枕に立たれるとコワいので速攻で発注.以前のバージョンは大判ハードカバーだったり,文庫版3冊揃だったりしたが,今回のは函入りでまるで広辞苑みたいな装幀だ.