『ナチス機関誌「女性展望」を読む:女性表象、日常生活、戦時動員』

桑原ヒサ子
(2020年9月29日刊行,青弓社,東京, 428 pp., 本体価格4,800円, ISBN:978-4-7872-2090-5版元ページ

このところナチス関連の新刊がよく並んでいることがあり,分厚いのにかぎって向こうから寄ってくる.本書は第三帝国の女性観に関する本.

『ミツバチと文明:宗教、芸術から科学、政治まで 文化を形づくった偉大な昆虫の物語』

クレア・プレストン[倉橋俊介訳]
(2020年9月25日刊行,草思社,東京, 220+xviii pp., 本体価格1,800円, ISBN:978-4-7942-2471-2版元ページ

ミツバチと人間との長きにわたるつきあいを考察する.ミツバチはなんてったって “家畜” ですから.

『賦霊の自然哲学:フェヒナー、ヘッケル、ドリーシュ』

福元圭太
(2020年10月10日刊行,九州大学出版会,福岡, xii+473+xl pp., 本体価格8,800円, ISBN:978-4-7985-0288-5版元ページ

このカバージャケットからしてまた中世思想史の本かと思ったら大違い.19世紀から20世紀にかけての自然哲学(ネオロマン主義)の大著だった.登場するのは刺激応答の「フェヒナーの法則」で知られるグスタフ・フェヒナー,進化学者エルンスト・ヘッケル,そして全体論者ハンス・ドリーシュ.これら3名の主役は,いったん自然科学の洗礼を受けた後に,ネオ・ロマン主義的自然哲学に “戻ってきた” 人物として描かれている.

『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか:人糞地理学ことはじめ』

湯澤規子
(2020年10月10日刊行,筑摩書房ちくま新書・1523],東京, 247 pp., 本体価格840円, ISBN:978-4-480-07330-3版元ページ

前著:湯澤規子『胃袋の近代:食と人びとの日常史』(2018年6月30日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, viii+325+18 pp., 本体価格3,600円, ISBN:978-4-8158-0916-4目次版元ページ)に続く第二弾は “人糞地理学” の世界.人糞地理学というネーミングが…… 人糞…

食事の合間にごろ寝読みしている.とてもおもしろい “うんこ本” なので,書名にたじろぐことなく手に取ればシアワセな “うんこ読書” が満喫できる.石川英輔大江戸神仙伝』(1979年刊行,講談社,東京/1992年2月20日復刻刊行,評論社,東京,423 pp., ISBN:4-566-05258-3)の主人公・速水洋介が,タイムワープした江戸時代の糞尿事情と下肥売買について興味をもつくだり(pp. 328-331)は,本書『ウンコはどこから』と内容的に共鳴していて,これまたおもしろい.痛快にして爽快な書きぶりで強くオススメしたい.