慶應義塾図書館(編)
(2020年10月刊行,慶應義塾図書館[第32回慶應義塾図書館貴重書展示会],東京, vi+144 pp., 税込価格1,000円)
丸の内のオアゾ丸善で開催された展示会の図録.こういう “灰色文献” は運よく出会ったときに身柄を確保しないとのちのち後悔する.
中村好文
(2020年10月20日刊行,学芸出版社,京都, 127 pp., 2,700円, ISBN:978-4-7615-2753-2 → 版元ページ)
機能的で美しい厨房の設計事例.いいないいなあ.
高山なおみ
(2020年10月30日刊行,朝日新聞出版,東京, 375 pp., 本体価格2,000円, ISBN:978-4-02-333346-8 → 版元ページ)
日常レシピ集.今夜は何にしようかと考え始めるたびに “自分会議” が招集される.
大塚淳
(2020年10月30日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, iv+242 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-8158-1003-0 → 版元ページ)
川田伸一郎(著)・浅野文彦(絵)
(2020年10月8日刊行,ブックマン社,東京, 335 pp., 本体価格2,600円, ISBN: 978-4-89308-934-2 → 版元ページ)
読売新聞小評が公開された:三中信宏「標本バカ 川田伸一郎著」(2020年11月15日掲載|2020年11月24日公開)
博物館に陳列されているさまざまな動物の剥製標本は来館者の好奇心をふくらませ想像力をかきたてる。野生では絶滅してしまった動物の剥製もある。しかし、いずれもきれいに整形された標本は展示室の中でまるで生きているかのような独特の存在感を放って動き回る。それらの標本は展示だけでなく科学研究の基礎データとしても貴重だ。
本書は国立科学博物館研究主幹の著者が雑誌『ソトコト』に長期連載してきたコラムの単行本化だ。著者はもともとモグラの研究者だが、キリンやクジラまでありとあらゆる動物の標本づくりに国内を東奔西走する。各コラム冒頭を飾るユーモラスなイラストとともに語られるバックヤードでの奮闘エピソードの数々は一気読みまちがいなしだ。
標本づくりは熟達した“匠”の技の賜物である。死体につきものの“腐敗”という無慈悲な運命のもと、手際よく皮をはいで解体し、余分な肉をそぎ取り、いったん土に埋めて微生物などに分解させ、最後に残った骨格を標本にする。こんな仕事は確かに“標本バカ”でなければ続かないにちがいない。(ブックマン社、2600円)
三中信宏[進化生物学者]読売新聞書評(2020年11月15日掲載|2020年11月24日公開)
標本づくりに東奔西走するモグラの先生が描く博物館バックヤード逸話の単行本化.イラストが微笑ましい.〈ソトコト〉誌での連載が今も続いているので,続刊もありなんじゃないでしょうか.標本づくりは話のネタとしてはとてもおもしろい.某大学の理学部2号館屋上で動物のご遺体を “風葬” していたところ,カラスだか猛禽だかがホネをかっさらって,隣接する北白川の住宅街の路上に放り投げたため,警察が出動したのしないのというお話を某名誉教授からうかがったことがありますな.それとは別に,カバだかサイだかの巨大なご遺体を犬山城下のおサルの楽園に運び込んで一悶着あったという話を某遺体科学のセンセイに本郷でうかがったこともありますな.
中野知律
(2020年9月30日刊行,水声社,東京, 469 pp., 本体価格5,800円, ISBN:978-4-8010-0515-0 → 版元ページ)
プルースト文学と美食との関係を論じた500ページ.紅茶に浸したマドレーヌだけじゃなかったんだー.