『ダークデータ:隠れたデータこそが最強の武器になる』目次

デイヴィッド・J・ ハンド[黒輪篤嗣訳]
(2021年2月28日刊行,河出書房新社,東京, 322+18 pp., 本体価格2,600円, ISBN:978-4-309-25420-3版元ページ

著者 David J. Hand は元英国王立統計学会会長.多変量解析が専門で,著者は多変量解析が専門で,むかしむかし1981年に出た彼のクラスター分析の著書:David J. Hand 1981. Discrimination and Classification. John Wiley & Sons, Chichester をワタクシは手にしたことがある.


【目次】
まえがき 9

第 I 部 ダークデータ――その原因と結果 11

第1章 ダークデータ――見えないものによって築かれている世界 12
第2章 ダークデータを見つける――何を集め、何を集めていないか 39
第3章 定義とダークデータ――何を知りたいか? 83
第4章 意図せぬダークデータ――言うは易く行うは難し 109
第5章 戦略的ダークデータ――つけ入り、フィードバックループ、情報の非対称性 125
第6章 意図的なダークデータ――詐欺と策略 151
第7章 科学とダークデータ――発見とはいかなる営みか 178

第 II 部 ダークデータを照らし出し、利用する 233

第8章 ダークデータに対処する――光を当てる 234
第9章 ダークデータの活用――問いをリフレーミングする 272
第10章 ダークデータを分類する――迷路を抜けるルート ダークデータの分類法 わからないことを明らかに 302

訳者あとがき 319
原註 [6-18]
索引 [1-5]

『教養の近代測地学:メフィストのマントをひろげて』目次

石原あえか
(2020年11月25日刊行,法政大学出版局,東京, 8 color plates + 358 + 13 pp., 本体価格3,500円, ISBN:978-4-588-35234-8版元ページ


【目次】
カラー口絵(8 pp.)

はじめに 紙の地図とデジタルの地図 9

 1 地図と近代測量 9
 2 陸地測量部から地理調査所への変身──国家機密と製図技術 12
 3 地図の変身──「陸測五万分一」地形図のその後 17
 4 地図を「読む」、地図を「作る」──本書執筆の動機 19

第1章 地図と戦争──軍用地図と外邦図の行方 27

 1 文・理が融合した豊かな地図の世界 27
 2 ゲーテと地図 32
 3 ヴァイマル公カール・アウグストと軍用地図 35
 4 国土地理院のドイツ軍用地図 39
 5 全国に散らばる外邦図 45
 6 比較対象として──戦後のドイツ測量機関の行方 48

第2章 地球儀と本当の地球──ベハイムの〈地球林檎〉とオイラーの予言 53

 1 地球儀の歴史──ドイツ語圏を中心に 53
 2 回転楕円体の地球と近代ヨーロッパにおける三角測量 63
 3 地球の姿から内部へ──地軸変動とオイラーの予言 72
 4 「柔らかい地球」のための国際緯度観測事業 76

第3章 水沢の緯度観測所──木村榮と宮澤賢治 87

 1 師走の風物詩──ベートーヴェンの『第九』とシラー 87
 2 緯度観測所設置前夜──麻布の東京天文台 92
 3 ヘルメルトとポツダムの王立測地学研究所 99
 4 田中舘の交渉と木村のZ項発見 105
 5 夏目漱石の苦言とZ項の謎解明 111
 6 『風野又三郎』と高層気象観測 115

第4章 ツァイス、ヴァンシャフ、バンベルク──ドイツ製望遠鏡からプラネタリウムまで 131

 1 ツァイスの望遠鏡──水沢の浮遊天頂儀 131
 2 カール・ツァイスと双子都市ヴァイマル/イェーナ 138
 3 ベルリンの専門工房──カール・バンベルクヴァンシャフ 142
 4 金星の太陽面通過──十八世紀からの国際天文観測プロジェクト 153
 5 「アルビレオの観測所」と現代の宇宙の三角測量 156
 6 ツァイスのプラネタリウム 164

第5章 日本水準原点とアナログ図化機──標高を知り、空から地上を撮る 181

 1 日本水準原点──高さを示す基準 181
 2 日本がお手本としたドイツ水準原点の歴史 187
 3 オランダお雇い技師リンドと東京湾平均海面 190
 4 銀板写真から航空測量へ 195
 5 ツァイスの一等図化機(ステレオ・プラニグラフ) 203
 6 ツァイスの傑作レンズ「トポゴン」と外邦図 210

第6章 変化し続ける地球──地震地磁気・重力 223

 1 近代までの大地震の記録と原因解明の試み 223
 2 世界初の地震学会設立と地震計 230
 3 濃尾地震地磁気計測──バートンの写真集『日本の地震』 240
 4 「重力点TOKYO–B」──重力と標高 252
 5 ガウスヴェーバーの電磁式通信 257
 6 地磁気逆転と〈チバニアン〉 266

第7章 続『劒岳』──南極大陸立山カルデラ 281

 1 〈日本アルプス〉と氷河 281
 2 『ファウスト』と小氷期──ゲーテの氷河理論 288
 3 厳寒の発見とゴシック小説『フランケンシュタイン』 299
 4 極地探検の歴史──文学作品や絵画を手掛かりにして 301
    その一 ナドルニーの小説『緩慢の発見』 301
    その二 ランスマイアーの冒険小説『氷と闇の恐怖』 308
    その三 立松和平の小説『南極にいった男』 310
 5 続『劒岳』──立山ガイドのその後 313
 6 もうひとつの立山──カルデラと砂防 319
 7 大規模崩壊地と「SABO」──赤木正雄のオーストリア留学 326
 結び──ゲーテ花崗岩 336

あとがき・謝辞 351
主要文献リスト [1-13]
主要人名索引 [i-vi]


『近代測量史への旅:ゲーテ時代の自然景観図から明治日本の三角測量まで』目次

石原あえか
(2015年9月25日刊行,法政大学出版局,東京, 9 color plates + viii + 259 + 75 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-588-37123-3版元ページ


【目次】
カラー口絵(9 pp.)

はじめに 1

 1 本書のねらい 近代科学史の一研究として 2
 2 調査の対象と研究方法について 7
 3 本書の構成 10

第1章 地球の形状と三角測量 17

 1 地球の真実の形状をめぐる議論 17
 2 モーペルテュイとラップランド測量遠征 22
 3 ペルー遠征隊のゆくえ その成果と再発見 28
 4 植物学領域での貢献 ジュシューとキナノキ 36
 5 カッシーニ三代とフランス測地図 42
 6 原初メートル ドゥランブルとメシャンのパリ子午線計測 44

第2章 テューリンゲン測量とミュフリング大尉 53

 1 パリとゴータ間の相互影響関係 ラランド、ツァッハ、ガウス 53
 2 ゲーテの『親和力』とミュフリング大尉 76
 3 ジャン・パウルの小説『カッツェンベルガー博士の湯治旅行』
    凛々しき登場人物・トイドバッハ大尉 82
 4 トランショとミュフリングによるライン地方地図測量 88
 5 ミュフリングとプロイセン測量 92

第3章 学術図版と自然景観図 95

 1 ゲーテヴァイマル自由絵画学校 95
 2 イェーナ大学専属絵画教師 101
 3 気圧計を用いた標高測定 114
 4 ゲーテ時代の自然景観図 139

第4章 江戸時代の日欧相互学術交流 161

 1 江戸時代の天文学 ラランドと天文方・高橋至時 161
 2 ナデシュダ号艦長クルーゼンシュテルンとサハリン
   あるいはゲーテと日本の間接的結びつき 172
 3 地質学者レオポルド・フォン・ブーフと日本の火山 183
 4 伊能忠敬の『大日本沿海與地全図』とシーボルトの『原図日本国図』 194
 5 アンナ・アマーリア公妃図書館所蔵の二枚のシーボルト
   ザクセン=ヴァイマル=アイゼナハ大公国の日本への飽くなき関心 216

第5章 日本におけるプロイセン式三角測量 223

 1 日本の三角測量の基礎を築いた田坂大尉 223
 2 日本アルプスの測量調査 241

終わりに 251

謝辞 256
注 [33-75]
文献リスト [7-32]
主要人名索引 [1-5]


『世界の紙を巡る旅』目次

浪江由唯
(2021年1月31日刊行,烽火書房,京都, 254 pp., 本体価格2,600円, ISBN:978-4-9911160-3-2版元ページ


【目次】
はじめに 2
カラー口絵 4

アジア 10

タイ —— 始まりの国,タイ 13

アメリカ 38

カナダ —— 初めてのアジアの外 41
アメリカ —— クラフトマンの街 57
メキシコ —— ふっと思い出す風景のあるメキシコ 71

バルト三国 88

リトアニア —— 小さな憧れを抱き続ける 91
ラトビア —— 憧れのラトビアへ 103
エストニア —— やわらかに過ぎていく日々 123

ヨーロッパ 136

ドイツ・デンマーク —— 誰かの旅とともに 139
イギリス —— 似ている夕焼けの国 147

アジア 164

インド —— かつて恋焦がれた場所 167
ネパール —— 世界の紙を巡る旅の原点 181
ベトナム —— 同じ志を持つ人に初めて出会った国 195
ラオス —— そこはまるでユートピア 207
タイ —— ボートに乗って始まりの国タイへ 217
韓国 —— 最後の国、韓国を駆け巡る 225
日本 235

「世界の紙を巡る旅」で見つけたもの 250


『オランダ絵画にみる解剖学:阿蘭陀外科医の源流をたどる』目次

フランク・イペマ,トーマス・ファン・ヒューリック[森望,セバスティアン・カンプ訳]
(2021年1月7日刊行,東京大学出版会,東京, iv+274 pp., 本体価格5,800円, ISBN:978-4-13-086061-1版元ページ


【目次】
日本語版への序文 i
序章 17/18世紀のアムステルダムにおける医療制度 1
1 セバスティアン・エグベルツェン[1]1601-1603 解剖学講義の源流 27
2 セバスティアン・エグベルツェン[2]1619 笑う骸骨:解剖は骨学から 45
3 ヨハン・フォンテイン 1625-1626 伝え遺されゆく頭蓋標本 69
4 ニコラス・テュルプ 1632 若きレンブラントの力作:前腕解剖の謎解き 77
5 ヨアン・デイマン 1656 円熟期レンブラントの脳解剖:焼け跡からの復活 107
6 フレデリク・レウィス[1]1670 ロシア皇帝を魅了した解剖学者 125
7 フレデリク・レウィス[2]1683 小児解剖にみる繋がりゆく生命 153
8 ウィレム・ロエル 1728 シルルゲイン組合組織の栄光と衰退 177
9 ペトルス・カンパー 1758 解剖学から人類学へ:18世紀最強の解剖学者による頸部解剖 197
終章 シルルゲインの幹部たち 223

参考文献 243
図版出典 255
索引 257
謝辞 263

訳者あとがき[森望] 267


『読む・打つ・書く —— 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々』目次案

三中信宏
(2021年6月刊行予定,東京大学出版会,東京)

駒場から再校ゲラ一式が着弾した.ワタクシの “書痴本” は東京大学出版会創立70周年記念出版の一冊として6月に刊行予定.着弾した再校ゲラを必死のパッチで読まないと! 

同封されていた〈東京大学出版会創立70周年記念リーフレット〉の宣伝文句:

「ようこそ,みなかワールドへ! 理系研究者を生業としながら,数多の本を読み,新聞やSNSに書評を打ち,そしていくつもの単独書を出版してきた著者が次世代の人たちへ贈る熱いメッセージ.さあ,まずはたくさん本を読もう」

ノンブルはまだ確定していないが,目次案は下記の通り:

目次案(2021年3月16日版)
================================

本噺前口上 —— 「読む」「打つ」「書く」が奏でる “居心地の良さ”

プレリュード —— 本とのつきあいは利己的に

 1. 読むこと:読書論
 2. 打つこと:書評論
 3. 書くこと:執筆論

第1楽章 「読む」—— 本読みのアンテナを張る

 1-1. 読書という一期一会
 1-2. 読む本を探す
  1-2-1. 探書アンテナは方々に張る
  1-2-2. “ランダム探書” がもたらす幸運
  1-2-3. 多言語が張る読書空間の次元
 1-3. 本をどう読むのか?: “本を学ぶ” と “本で学ぶ”
 1-4. 紙から電子への往路 —— その光と闇を見つめて
  1-4-1. 検索の舞台裏で
  1-4-2. タイプとトーク
  1-4-3. 薄切りされる電子本
  1-4-4. 知識の断片化と体系化
 1-5. 電子から紙への復路 —— フィジカル・アンカーの視点
  1-5-1. その電子本の原本は何か
  1-5-2. 物理的存在としての “フィジカル・アンカー”
  1-5-3. 電子本と原本との対応:ヘッケル『生物の一般形態学』を例に
 1-6. 忘却への飽くなき抵抗 —— アブダクションとしての読書のために
 1-7. “紙” は細部に宿る —— 目次・註・文献・索引・図版・カバー・帯
 1-8. けっきょく,どのデバイスでどう読むのか

インターリュード(1):「棲む」—— “辺境” に生きる日々の生活

 1. ローカルに生きる孤独な研究者の人生行路
 2. 限界集落アカデミアの残照に染まる時代に
 3. マイナーな研究分野を突き進む覚悟と諦観

第2楽章 「打つ」—— 息を吸えば吐くように

 2-1. はじめに:書評を打ち続けて幾星霜
 2-2. 書評ワールドの多様性とその保全豊崎由美『ニッポンの書評』を読んで
 2-3. 書評のスタイルと事例
  2-3-1. ブックレポート的な書評:山下清美他『ウェブログの心理学
  2-3-2. 長い書評と短い書評:隠岐さや香『文系と理系はなぜ分かれたのか』
  2-3-3. 専門書の書評(1):倉谷滋『分節幻想』
  2-3-4. 専門書の書評(2):ジェームズ・フランクリン『「蓋然性」の探求』
  2-3-5. 闘争の書評,書評の闘争(1):Alan de Queiroz『The Monkey’s Voyage』
  2-3-6. 闘争の書評,書評の闘争(2):金森修『サイエンス・ウォーズ』
 2-4. 書評頻度分布の推定とその利用
  2-4-1. 書評執筆実験の試み:岡西政典『新種の発見』を素材として
  2-4-2. 頻度分布からわかること:書評の平均と分散と外れ値
  2-4-3. 書評者は著者と読者にいつも評価されている
 2-5. 書評メディア今昔:書評はどこに載せればいいのか
 2-6. おわりに:自己加圧的 “ナッジ” としての書評

インターリュード(2):「買う」—— 本を買い続ける背徳の人生

 1. 自分だけの “内なる図書館” をつくる
 2. 専門知の体系への近くて遠い道のり
 3. ひとりで育てる “隠し田” ライブラリー

第3楽章 「書く」—— 本を書くのは自分だ

 3-1. はじめに:“本書き” のロールモデルを探して —— 逆風に立つ研究者=書き手
 3-2. 「読む」「打つ」「書く」は三位一体
  3-2-1. 知識の断片から体系へ —— 本の存在意義
  3-2-2. 学術書と一般書は区別できるのか
  3-2-3. ライフスタイルとしての理系執筆生活
 3-3. 千字の文も一字から —— 超実践的執筆私論
  3-3-1. 言わぬが花,知らぬは恥 ……『過去を復元する』『生物系統学』
  3-3-2. 前を見るな,足元だけ見よ ……『系統樹思考の世界』『分類思考の世界』
  3-3-3. “シルヴィア前” と “シルヴィア後”
  3-3-4. いかなる進捗もすべて晒せ ……『系統樹大全』
  3-3-5. 「整数倍の威力」:塵も積もれば山となる ……『統計思考の世界』『思考の体系学』『系統体系学の世界』
 3-4. まとめよ,さらば救われん —— 悪魔のように細心に,天使のように大胆に
  3-4-1. チャートとしての目次
  3-4-2. 土俵としての文献リスト
  3-4-3. “初期値” からの山登り:書いた文章を作品にするには
  3-4-4. 註をどうするか
  3-4-5. 本文テクストと図版パラテクストの関係
  3-4-6. その他のパラテクストたち:索引・カバー・帯
 3-5. おわりに:一冊は一日にしてならず ……『読む・打つ・書く』ができるまで

ポストリュード —— 本が築く “サード・プレイス” を求めて

 1. 翻訳は誰のため?:いばらの道をあえて選ぶ
 2. 英語の本への寄稿:David. M. Williams et al.『The Future of Phylogenetic Systematics』
 3. “本の系統樹” : “旧三部作” から “新三部作” を経てさらに伸びる枝葉

本噺納め口上 —— 「山のあなたの空遠く 『幸』住むと人のいふ」

 

謝辞
文献リスト
事項索引
人名索引
書名索引

『A Standard Dictionary of the English Language』

(初版1890年/合本改訂版1907年, ca. 2,500 pp.,+ maps. Funk & Wagnalls Company, New York)

一世紀前の百科事典辞書が持ちこまれた.正式タイトルはとても長ったらしい:A Standard Dictionary of the English Language Upon Original Plans, Designed to Give, in Complete and Accurate Statement, in the Light of the Most Recent Advances in Knowledge, in the Readiest form for Popular Use, The Orthography, Pronunciation, Meaning, and Etymology of all the Words, and the Meaning of Idiomatic Phrases, in the Speech and Literature of the English Speaking Peoples. Complete in One Volume. A New Edition, Revised and Enlarged.束の厚さは約14cmもあって,崩壊した背を雑にガムテープ補修されている.総革装だが経年劣化のため触ると真っ茶色に汚れてもうタイヘン.百科事典的大英語辞書の名にふさわしく,ところどころに石版画(リソグラフ)の彩色図版が挿入されている.同時代のOED初版とはぜんぜんちがうみたい.組織改編に伴う居室の移転で “放出” された古書とのこと.国内の他の公的機関には所蔵されていないようなので(CiNii Books 曰く),とりあえずワタクシの部屋の一角に安置しておきましょうかね.そういう “漂流本” がほかにも多々あるので, “ご本人” にとっても居心地はきっと悪くないだろう.