『読む・打つ・書く』書評拾い(36)

三中信宏
(2021年6月15日第1刷刊行|2021年10月5日第2刷刊行,東京大学出版会東京大学出版会創立70周年記念出版],東京,xiv+349 pp., 本体価格2,800円(税込価格3,080円), ISBN:978-4-13-063376-5コンパニオン・サイト版元ページ

  • 本の雑誌』2021年9月号に紹介記事が出ていたことを知人から知らされた.あとで現物を確認しないことには,著者名も記事名もわからない./ブツが届いたので確認したら:冬木糸一「コロナに立ち向かった英雄的な人々」『本の雑誌』2021年9月号, pp. 52-53 に取り上げられた1冊として書評されていた(p. 53).

『味の台湾』

焦桐[川浩二訳]
(2021年10月18日刊行,みすず書房,東京, xii+376 pp., 本体価格3,000円, ISBN:978-4-622-09045-8版元ページ

一昨年出た『中国くいしんぼう辞典』の姉妹本かな.最近は台湾の本が頻繁に探書アンテナに捕捉される.何のまちがいか2冊も同時届いてしまったが,さてさてどないしまひょ?(´・_・`)

『進化理論の構造 I・II』ついに刊行!

ティーヴン・ジェイ・グールド[渡辺政隆訳]
(2021年11月20日刊行,工作舎,東京, 808 + 1,120 pp., 本体価格9,000円 [I]/11,000円 [II],ISBN:978-4-87502-534-4 [I] | ISBN:978-4-87502-535-1 [II] → 版元ページ [I]版元ページ [II]

ご恵贈まことにありがとうございます.20年がかりで翻訳された “鈍器本” . “鈍器本” というネーミングはこの本のためにあるようなもの.全2巻計1,907ページ.『進化理論の構造』がもうちょい早く出版されていれば,ワタクシの『読書とは何か —— 知を捕らえる15の技術』に “鈍器本” の代表例として挙げていただろうなあ.

ずっと待たれていた翻訳本がやっと世に出たからには,1400ページの原書:『The Structure of Evolutionary Theory』(2002年刊行,Harvard University Press, Cambridge, xxiv+1433 pp., ISBN:0-674-00613-5目次版元ページ)も “ついでに” 買っておいた方がいいかもね.ワタクシの手元には保存用の一冊と,読書用に “切り刻んだ” もう一冊がある.2002年出版時点で Harvard UP のハードカバー版は US$30 という廉価だったけど,現在はどうなっているんだろう.

『時をかける台湾Y字路:記憶のワンダーランドへようこそ』読了

栖来ひかり(2019年10月31日刊行,ヘウレーカ,東京, 246 pp., 本体価格1,700円, ISBN:978-4-909753-05-2版元ページ

読了.ワタクシの記憶をたどると,本書は読売新聞読書委員会の新刊棚で書評候補本としてピックアップしたものだ.

しかし,たまたま別の台湾本:郭怡青(文)・欣蒂小姐(絵)・侯季然(映像)[小島あつ子・黒木夏兒訳]『書店本事:台湾書店主43のストーリー』(2019年6月27日刊行,サウザンブックス,東京, 432 pp., 本体価格2,600円, ISBN:978-4-909125-12-5目次版元ページ映像リスト《書店裡的影像詩Ⅰ-日文字幕版》 [YouTube])の読売新聞実書評(2019年10月13日掲載|2019年10月21日公開)が出てしまったのはタイミングが悪かったというしかない.

時をかける台湾Y字路』は台湾の毛細血管みたいな路地に入り込む心地がする.ちょうどいま焦桐[川浩二訳]『味の台湾』(2021年10月18日刊行,みすず書房,東京, xii+376 pp., 本体価格3,000円, ISBN: 978-4-622-09045-8 → 版元ページ)を寝読みしているところなので,こちらの方から見ればタイミングはとてもよかった.

『El infinito en un junco: La invención de los libros en el mundo antiguo』

Irene Vallejo
(2020年10月刊行,Ediciones Siruela[Biblioteca de Ensayo / Serie mayor 105], Madrid, 452 pp., ISBN:978-84-18436-20-8 [hbk] → 版元ページ

書名は『葦のなかの無限:古代における本の発明』.風にそよぐパピルスが表紙を飾る.本書は,前半第I部「ギリシャから見える未来(Grecia imagina el futuro)」と後半第II部「ローマへの道(Los caminos de Roma)」の2部構成.時代と地域を飛び越えるエッセイみたい.