「姉妹本3冊を書き終えて」

昨年4月に出した『思考の体系学:分類と系統から見たダイアグラム論』を皮切りに,今年4月刊行の『系統体系学の世界:生物学の哲学とたどった道のり』,そして翌5月刊行の『統計思考の世界:曼荼羅で読み解くデータ解析の基礎』と,この一年の間に3冊の単著…

『Species: The Evolution of the Idea, Second Edition』落丁事案

John S. Wilkins (2018年2月刊行, CRC Press[Series: Species and Systematics], Boca Raton, xxxviii+389 pp., ISBN:9781138055742 [hbk] → 目次|版元ページ) 日頃の行ないが良いせいか,和書・洋書を問わず,落丁本や乱丁本に遭遇したことはこれまで…

「築地本マルシェ:鼎談〈学術書を読む−−「専門」を超えた知を育む〉」

ベルサール汐留での〈築地本マルシェ〉の大学出版部協会企画として開催された鼎談「学術書を読む−−「専門」を超えた知を育む」(2018年2月18日(日)14:00〜15:00)では,学術書を「読む」&「書く」という観点から話をした.どんな先端的な科学研究でも歴史…

「文献リストの “闇” はさらに深い(ある顛末)」

先日書いた記事「文献リストの “闇” はさらに深い」で取り上げた論文: Bather, Francis A. (1927). Biological classification: Past and future. An Address to the Geological Society of London at its Anniversary Meeting on the Eighteenth of Februa…

「研究者とライターとの関係」

つい先日まで,プロの翻訳者の手になる下訳原稿をかなりリライトに没頭していた.ワタクシには自分なりの「文章のリズム」があるので,それに合わない箇所はもれなく書き換えてしまう癖がある.今回はちゃんとした下訳だったので,作業工程でいえば「五合目…

「文献リストの “闇” はさらに深い」

以下の事例もまた “闇” のひとつといえるかもしれない.Francis A. Bather のロンドン地質学会会長演説(Bather 1927)は,90年も前の記事であるにもかかわらず,分類学と系統学との関係を論じるとき,現在でもときどき引用(言及)される基本文献である.問…

「文献リストの “闇” は深い」

2017年の師走に脱稿した:三中信宏『系統体系学の世界:生物学の哲学がたどってきた道』(2018年4月刊行予定,勁草書房[けいそうブックス])は文献リストが未完成だった.一念発起して各章末に分散していた文献リストを束ねてみたら,重複項目を除いてちょ…

「“スーパーバイザー” というお仕事」

年末年始を返上してかかりきりになっている監訳の作業は連休三日目の今日も続いている.ワタクシはこれまで単行本の著者だったり翻訳本の訳者だったり論文集の編者となったことは何度もあるが,「監修」とか「監訳」という “役付き” になったのは今回が初め…

「『月刊みすず』「読書アンケート」用セレクション5冊+次点5冊(2017年)」

昨年の暮れに,毎年恒例の『月刊みすず』の「読書アンケート」原稿依頼が届いていた.今年は下記の5冊を選んだ.次点5冊と合わせてリストアップする. 今年の5冊【書名】『 The Book of Circles: Visualizing Spheres of Knowledge』 【著者】Manuel Lima 【…

「誰がために本を書く?」

2017年12月22日(金)に開催された岡山大学農学部の第349回昆虫学土曜セミナーで,ワタクシは「分類学と系統学の世界観:多様性はどのように可視化されてきたか」なる講演をした.その質疑時間に,「ミナカさんが本を書かれるときは読者層に合わせてどのよう…

「註のはなし」

マジな話,本の「註」—— 頁下や章末や巻末にまとめられているアレ —— ってどうやって “読む” べきなのか迷うことがある.本文中に註の指示があるたびにページをあちこちめくったり戻ったりするのは読書の「動線」をぶった切る行為だとワタクシは思う.ガマン…

「ISO 4: Information and documentation – Rules for the abbreviation of title words and titles of publications」

→ http://www.uai.cl/images/sitio/biblioteca/citas/ISO_4_1997en.pdf [pdf]雑誌名の略記様式に関するISO基準.この ISO 4 に準拠した雑誌名の略記リスト:ISSN-LTWA: List of Title Word Abbreviations が公開されている.ワタクシが本を書くときには,文…

「蔵書はすべて売り払え」

ワタクシもそろそろ年貢の納め時なので,長年にわたって蒐め続けた蔵書の山をどうしようかと考えることが(たまに)ある.最近の世知辛い大学や研究機関に寄付したいと言ったところで,イヤな顔をされるのが関の山だろう.むりやり押し付けても整理されない…

〈leeswijzer〉のアクセスが安定の「400万台」に!

この本録〈leeswijzer〉は本日7月7日をもって400万ページビューを越えた.2005年正月のプログ開設以来よく続いたものだ.300万PVに達したのが2014年11月1日だったから,2年8ヶ月かかったことになる.だいたい平均すれば2年半で100万PV増ということになる.本…

「『月刊みすず』「読書アンケート」用セレクション5冊+次点5冊(2016年)」

毎年恒例の『月刊みすず』の「読書アンケート」原稿依頼が年末に届いた.今年は下記の5冊を選び,次点5冊と合わせてリストアップする.書評原稿は正月三が日のうちに書き上げよう: 今年の5冊【書名】『早田文藏:臺灣植物大命名時代』 【著者】 吳永華 【刊…

『Mycophilia: Revelations from the Weird World of Mushrooms』

Eugenia Bone (2011年11月刊行,Rodale Books, New York, xx+348 pp., ISBN:9781605294070 [hbk] → 版元ページ) 翻訳新刊:ユージニア・ボーン[吹春俊光監修|佐藤幸治・田中涼子訳]『マイコフィリア きのこ愛好症:知られざるキノコの不思議世界』(201…

『マイコフィリア きのこ愛好症:知られざるキノコの不思議世界』

ユージニア・ボーン[吹春俊光監修|佐藤幸治・田中涼子訳] (2016年1月27日刊行,ピエ・ブックス,東京, 427+IV pp., 本体価格2,300円, ISBN:9784756244055 → 目次|版元ページ) テーマ的にはとても興味深い新刊なのだが,実に残念なことに,この訳本では…

「つくば市の書店「友朋堂書店」、全店舗閉鎖 」

ITmedia ニュース(2016年2月12日) → http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1602/12/news079.html 2月11日の吾妻店閉店に続き,翌12日には残る梅園店と桜店も閉店された.取次店である太洋社が廃業してしまったあおりで閉店のやむなきにいたったとのこと…

『月刊みすず(58巻1号[no. 645]2016年1-2月合併号)』

(2016年2月1日発行,みすず書房,東京,本体価格300円 → 版元ページ) 本を読む他者をうしろから覗き込んでいるようなそこはかとない後ろめたさがある〈読書アンケート特集〉.ワタクシの寄稿は pp. 79〜80 に載っている.ワタクシが挙げた本のリストはこち…

「忘れたいからメモを取る」

Wired「メモを取っても記憶は定着しない:研究結果」(2015年1月17日)には「メモを取れば、あなたの記憶をむしばむ。あなたの脳を救うには、鉛筆を置き、メモ帳から離れよう」と書かれている.えーっとね,ワタクシたちは「きれいに忘れたいからしっかりメ…

『月刊みすず』「読書アンケート」用セレクション5冊+次点5冊

毎年師走になると,みすず書房から『月刊みすず』の「読書アンケート」原稿依頼が届く.ワタクシ的には年の瀬の恒例行事である.原稿はまだだが,今年は下記の5冊を選び,次点5冊と合わせてリストアップする: 今年の5冊【書名】『Does Science Need a Globa…

「図書館は出版社の敵? 売り上げ悪影響を危惧」

日本経済新聞(2015年12月4日) → http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG02H9M_U5A201C1CC0000/ 「新潮社など複数の出版社と大手書店、有名作家らは連名で、一部の新刊本は貸し出し開始を発売から1年間遅らせるよう、年内にも図書館側に要請」洋書の場合…

「雑誌と論文にまつわるお金の問題」

世知辛い話題だが,だれも避けては通れないお金の問題: macroscope 「学術論文の「オープン化」と費用負担」(2015年11月19日)※「知識が提供されるためには、その費用をだれかが分担するように制度をつくっておくことが必要だ」. たゆたえども沈まず-有機…

「Q13:数学記号や分数などの書き順」

東京書籍:小学校「新しい算数」 → https://www.tokyo-shoseki.co.jp/e-mail/qanda/q-es-math.htm#q13 「教科書では演算記号や等号,分数の書き順が示してありますが,それには何か基準があるのですか。また,それは必ず守らなければならないものですか」と…

「図書分類と図書系統:図書館総合展〈分類フォーラム〉での議論から」

第17回図書館総合展の会期中,2015年11月12日(木)にパシフィコ横浜・会議センター501号室で開催された〈分類フォーラム〉第一部(13:00〜14:45)でのワタクシの高座は Ustream で録画が公開されている:第17回図書館総合展チャンネルE ― 分類フォーラム[…

〈第17回 #図書館総合展〉

→ http://togetter.com/li/897500 ただならぬ「長さ」である.さすがと言うべきか.

「本への「書き込み」について(続)」

筑波大学附属図書館「本に書き込みすることに関する資料集」(2014年1月20日)がしばらく見ないうちにさらに追補されていた.ワタクシの場合,本への「書き込み」とか「付箋貼り」は昔からしている.たとえば,下の写真の本は修士1年のときに読了した分岐学…

「(レッツeco活)ブックカバー、無駄やめて 「必要か」聞く書店・自作で愛着」

朝日新聞デジタル(2015年6月15日) http://digital.asahi.com/articles/DA3S11808993.html 「汚れを防いだり、読んでいる本を見られないようにしたりするため、定着しているブックカバー」は日本だけらしい.調べてみると,こんな記事もある:ハグルマ封筒…

「もっとうまく書けるかもという妄執をやめれば速くうまく書ける−遅筆癖を破壊する劇作家 北村想の教え」

読書猿Classic: between / beyond readers(2015年5月4日) → http://readingmonkey.blog45.fc2.com/blog-entry-759.html ポール・J・シルヴィア[高橋さきの訳]『できる研究者の論文生産術:どうすれば「たくさん」書けるのか』(2015年4月7日刊行,講談社…

「「活字離れ」論に最終決着?--電子書籍を含めれば「不読率」は激減している」

林智彦(2015年3月6日) CNet: http://japan.cnet.com/sp/t_hayashi/35061283/ 「本」は読まなくても「活字」は読んでいるという結論.確かに,「本」を「活字」に換算してしまえば結論は変わるだろう.しかし,それとは別に「本」というまとまった情報パッ…