『中国性愛博物館』

劉達臨

(2006年2月23日刊行,原書房ISBN:4562039817



【書評(まとめて)】

おお,これは…….総天然色というのがスバラシイ!が,何よりもよくぞここまで“蒐集”し尽くしたものよと感動すること請け合い.あれまあ,なんと.ほほー,そーですか.うわっ.まずは第4章の中ほどまで150ページほど読む.大量の図版がー(百聞は一見に如かず,なんちゃって).

続く第4章から第7章まで200ページほど.連射のごとく繰り出される天然色写真の数々にお腹いっぱいでございます.とりわけ,第7章の主題である「春宮画」のコレクションはすごい! 本棚に並んだままの中野美代子肉麻図譜:中国春画論序説』(2001年11月15日刊行,作品社[叢書メラヴィリア8],ISBN:4878937580)の中心テーマでもある.いやいや,これはこれは.もう絶句でございます.

第8〜9章.50ページ弱.宗教(道教密教)と性との話題がおもしろい.実に sachlich (?) な中国の“歓喜天”は,日本でも見られるのかしら? と思って,ちょっと調べてみたら,何のことはない,ぼくの実家のある山の上の〈御蔵山聖天〉が実はそうだった.とはいえ,ここはその昔,虫取りに興じていただけで,そういうご本尊を見たことはなかったよーな.

本書の先駆として,ロベルト・ファン・フーリック『古代中国の性生活:先史から明代まで』(1989年3月刊行,せりか書房ISBN:4796701532)が挙げられている.またフーリクか.そういえば,フーリク『中国のテナガザル』(1992年9月25日刊行,博品社,ISBN: 4-938706-04-0→紹介)の訳者のひとりは中野美代子だったことにいま気づいた.コンパクトな人的ネットワークができているようだ.

当然,本書のあとは,中野美代子本でキマリでしょうなあ.