錦三郎
(2005年6月25日刊行, 笠間書院, ISBN:4305702800).
最初の60ページほどを読む.蜘蛛が糸を吐いて飛翔する“雪迎え(gossamer)”のその瞬間に遭遇するまでの苦労が縷々綴られている.ファーブルのような根気強い観察が印象的.井上靖の『しろばんば』のキーワード“しろばんば”とは“雪虫”ではなく“雪迎え”のことではないか,という問題提起とか,アリストテレスの動物学書を英訳した D'Arcy Thompson が“gossamer”のことに言及しているとか,ときどき新聞ネタになったこともあるとか,それはそれは幅広く資料を渉猟している.