『古川ロッパ昭和日記・戦前篇:昭和9年−昭和15年[新装版] 』

古川ロッパ滝大作監修)

(2007年2月10日刊行,晶文社ISBN:9784794930163



20年前に同じ出版社から出た4巻本(1987〜89年)の新装版(価格は約半分になった).今月出た第1巻「戦前篇」は2段組で800ページ超というボリューム.古川ロッパは,戦前戦後を通して有名な喜劇役者だったが,それと同時に,美食家・読書家・日記魔でもあったそうだ.

全4巻の次号以降の続刊は,第2巻「戦中篇:昭和16年−昭和20年」 ;第3巻「戦後篇:昭和20年−昭和27年」;第4巻「晩年篇:昭和28年−昭和35年」.来月以降毎月刊行される予定.なお,20年前の初版の各巻には〈緑波写真館〉が別冊附録の分冊として付けられていたが,今回の再刊では全巻予約購読または各巻のオビの引換券を集めて送れば別途もらえるらしい.

個人的な記憶だが,エノケンやロッパが活躍した時代は体験したことがない.花菱アチャコだったらテレビで何度も見たことがある.幼い頃に,吉本新喜劇松竹新喜劇を呼吸しつつ育ってしまうと,特有の笑いのリズムや間が刷り込まれてしまうので,成長してから地方に下ると(=東京に出ると)とまどうことがよくある.

第1巻をざっとブラウズしてみて感じるのだが,ロッパさん,高座の合間にうまいもん喰いまくってるなあ.仕事してるのか喰うてるのか,どっちが本業だか.どこぞの日録でも年柄年中喰うたもんを書いてるお人がいやはるけど…….あ,そういうたら,「大食いの美食家で,身長一六八センチ・体重八六キロの堂々たる体躯で劇場を沸かせていた」(オビ)というあたり,なんやしらん表現型的に収斂しているともいえるやん.

版元ページ