Scott Camazine et al.
(2001年4月1日刊行,Princeton University Press,ISBN:0691012113 [hbk] / ISBN:0691116245 [pbk]→目次)
全21章の翻訳のうち,やっと第20章の半ばを過ぎて,頂上が見えてきた.しかし,登頂間近だからといってうかうかしていられない.膨大な数の図版とそのキャプションを含むゲラのチェックが下山路で待ち構えている.しかし,今は何はともあれ登頂することだけを考えよう.秋の昆虫学会大会には間に合いますか.できれば,その前の進化学会大会に滑り込めればいいのですが,ムリかな?
これまで登攀してきた道を振り返ってみると,粘菌のパターン形成をはじめとして,魚群の構造化や,ハチ・アリなどの社会性昆虫における自己組織化現象(巣作りや集団形成など)を中心に,「自己組織化(self-organization)」を手がかりにして自然現象がどこまで説明できるかを論じた大著であることを再認識する.理論的な部分は最初の百ページほどで,残る四百ページは個別事例のコンパイルしている.同じ自己組織化の本でも,Stuart Kauffman(1993)の“理論電話帳”とは趣きがだいぶちがっている.
—— 筆頭著者のホームページに本書のコンパニオン・サイトが置かれていることに今になって気づいた.
[翻訳情報]スコット・カマジン他(松本忠夫・三中信宏訳)『生物システムにおける自己組織化(仮題)』(2007年刊行予定,海游舎)