『高学歴ワーキングプア:「フリーター生産工場」としての大学院』

水月昭道

(2007年10月20日刊行, 光文社[光文社新書322], ISBN:9784334034238



こりゃまた“きゃっちー”なタイトルですこと.しかし,全体をぱらぱらと見るかぎり,結論を出すまでの「サンプリング」が全体的に足りないのではないかと感じた.これだけ大きな「母集団」がすでにあるのだから,その中身のばらつきは予想以上に大きいだろう.だからこそ,“3σ”から外れたような少数例を,さも“平均値”に近い多数例であるかのような書き方をするのは誤解を招くと思う.また,この「黒幕」糾弾のスタイルはぼくの好みではない.もちろん,著者の問題意識は重要であり,そのような問題が現実にあることを知らせることには大きな意味があると思う.



【目次】
はじめに 3
第1章 高学歴ワーキングプアの生産工程 13
第2章 なぜか帳尻が合った学生数 55
第3章 なぜ博士はコンビニ店員になったのか 73
第4章 大学とそこで働くセンセの実態 99
第5章 どうする? ノラ博士 133
第6章 行くべきか,行かざるべきか,大学院 167
第7章 学校法人に期待すること 195
おわりに 215