『Nabokov's Butterflies: Unpublished and Uncollected Writings』

Vladimir Nabokov / Brian Boyd & Robert M. Pyle

(2000年刊行,Beacon Press,Boston,xiv + 782 pp. with 16 color plates,ISBN:0807085405 [hbk] → 目次



800ページもあるとても重い電話帳だったのだが,TX車内に持ちこんで,つまみ読みする.買ったときはまさに“積ん読”状態だったのだが,あらためてぱらりぱらりとしてみると,昆虫学者としてのウラジーミル・ナボコフの底力が感じられる.もちろん,【種】に関わる部分を中心にチェックしているのだが,関連する記述がなかなかおもしろい.ナボコフはマイアの生物学的種概念は「鳥には役に立っても蝶には役立たない」とはっきり言っている.自伝である『記憶よ,語れ』にも当時の昆虫学のありように関する痛烈な批判が書かれていたりするが,『賜物』の未発表の原稿には分類理論や種概念に関する考察が述べられている.

本書の詳細な書評は〈The Complete Review〉にオンライン掲載されている.