田中栞
(2009年9月15日刊行,青土社,東京,4 + 246 + 24 pp., 本体価格2,400円,ISBN:9784791764655 → 版元ページ)
こういう「本の本」を読んでいると,中に書かれている内容はぜんぜんわからない(というか,著者自身がそんなことはどうでもいいと思っているにちがいない)のに,「もの」としての「本」の存在感がどんどん大きくなっていくのがはっきり体感できる.それも,タイプとしての本ではなく,トークンとしての本.活字印刷された刊本ではなく,むしろ昔の「写本」と同様のかけがえのない個物としての本がもつ存在感.書肆ユリイカが出した本はそういうものだったのだろう.ユリイカ本に対する飽くなき蒐集慾の成果が本書として結実したのだろう.ごちそうさまでした.