『月刊みすず』書評用セレクション5冊+次点5冊

2006年以来,毎年恒例になっている『月刊みすず』の年頭「読者アンケート特集」への寄稿.昨年一年間で印象に残った本をピックアップせよとの依頼だ.「ダーウィン年」だったことを考慮して探索開始.最終的に,チャールズ・ダーウィンとエルンスト・ヘッケルで二冊ずつ,最後の一冊は“眼福”な本に決めた

【書名】種の起源(上)
【著者】チャールズ・ダーウィン渡辺政隆訳]
【刊行】2009年9月20日
【出版】光文社,東京
【ISBN】978-4-334-75190-6
【目次】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20100101/1262042832


【書名】種の起源(下)
【著者】チャールズ・ダーウィン渡辺政隆訳]
【刊行】2009年12月20日
【出版】光文社,東京
【ISBN】978-4-334-75196-8
【目次】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20100101/1262042833
【短評】「ダーウィン年」だった昨年を思い起こしつつ,まずはダーウィンの記念碑的著作の新訳を.


【書名】The Complete Work of Charles Darwin Online
【運営】John van Wyhe
【期間】2002〜2010[継続中]
【URL】http://darwin-online.org.uk/
【短評】このサイトのおかげで,世界中からインターネット経由でダーウィンの「一次資料」に触れることができるようになった.


【書名】生物の驚異的な形
【編著】エルンスト・ヘッケル[小畠郁生監修|戸田裕之訳]
【刊行】2009年4月30日
【出版】河出書房新社,東京
【ISBN】978-4-309-25224-7
【目次】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20090426/1240192128
【短評】この『Kunstformen der Natur』が翻訳されたこと自体がサプライズ.


【書名】The Tragic Sense of Life:
      Ernst Haeckel and the Struggle over Evolutionary Thought

【編著】Robert J. Richards
【刊行】2008年5月13日
【出版】The University of Chicago Press, Chicago
【ISBN】978-0-226-71214-7
【目次】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20080617/1213281266
【短評】エルンスト・ヘッケル伝の大著.


【書名】聚珍録(全3冊)[第一篇:字體/第二篇:書體/第三篇:假名]
【編著】府川充男
【刊行】2005年2月23日
【出版】三省堂,東京
【ISBN】978-4-385-36232-8
【参照】http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/syuchinroku.html
【短評】一度はあきらめていたこの和文タイポグラフィー資料集が,いくつかの偶然の連鎖で入手できたのは実に幸運なことだった.

以下は“次点”クラスの5冊.

【書名】西洋美術書誌考
【著者】西野嘉章
【刊行】2009年1月29日
【出版】東京大学出版会,東京
【ISBN】978-4-13-080211-6
【目次】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20090321/1236295578
【短評】本書を手に取って十年前の『裝釘考』を思い出しました.しあわせです.


【書名】書肆ユリイカの本
【著者】田中栞
【刊行】2009年9月15日
【出版】青土社,東京
【ISBN】978-4-7917-6465-5
【紹介】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20090930/1254608253
【短評】今はない出版社が出した本を調べ尽くそうという姿勢がすさまじい.真性「本」中毒でしょう.


【書名】ダーウィン種の起源』を読む
【著者】北村雄一
【刊行】2009年2月12日
【出版】化学同人,京都
【ISBN】978-4-7598-1170-4
【目次】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20090203/1233752646
【短評】『種の起源』を章ごとにたどって解説した本.ダーウィン年にふさわしかった.


【書名】The Trees of the Genealogia Deorum of Boccaccio
【編者】Ernest Hatch Wilkins
【刊行】1923年
【出版】The Caxton Club, Chicago
【紹介】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20090411/1238702888
【短評】『デカメロン』の作者ジョバンニ・ボッカチオがまとめた『異教の神々の系譜』の図像史.160部予約限定本の一冊で,本書に出会えたのはまさに一期一会.


【書名】The Early Iconography of the Tree of Jesse
【著者】Arthur Watson
【刊行】1934年
【出版】Oxford University Press, London
【紹介】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20090314/1235976947
【短評】旧約聖書に登場する〈エッサイの樹〉の中世図像学に関する本.系譜学史のルーツに到達するために.

毎年,年頭に一年間を振り返ると,印象に残る本が必ず何冊かは脳裏に浮かぶ.昨年は系統樹や【種】に関する文献を漁ることが多かったので,多かれ少なかれそのテーマに関わりを持つ本たちが選ばれた.