「匿名オンライン書評の読み方」

匿名オンライン書評の読み方 —— とくにインターネットに流される匿名書評の場合(私信でもときどきあるけど),ほとんど「罵倒」のような感想文に出くわすことがある.著者によってはそうとう凹んでしまう方もいるようだが,それらの書評 を集積して確率分布(評価値を変量とする)を構築したとき「3σ」を外れた書評は無視してもかまわないと思う.誉め過ぎ/貶し過ぎの感想文は“外れ値(outlier)”だから放置しよう.要するに,ヘンなネット書評に悩まないためには「書評確率分布」をつくるしかないということだ.『分類思考の世界』の書評確率分布では文体嗜好で評価が割れる傾向が見られる.世の中には「2時間で食べきれる流動食みたいな新書」もたくさんあるので,拙著もそのつもりでまちがって口にしてしまったんでしょうね.研究者が一般向けの本を書くときには,いつも同様の問題が浮上してくるはずだろう.そもそも流麗な文体でものが書ける科学者なんて数えるほどしかいないのだから.