Max Fürbringer
(1888年刊行,Van Holkema,Amsterdam,1751 pp. [2 Bände])
先月から実に一ヶ月あまりにわたってすったもんだし,PayPal での支払いがやっと完了した本がベルリンから満を持して着便した.40×40×15 cm3という巨大な箱はじずっしりと重く,郵送料をよけいに取られただけのことはある.厳重すぎるほどの梱包の理由は箱を開いてみて判明した. 背は取れて「紙束」になっているし,紙自体も酸性化でぼろぼろに…….要するに「本」としての原形をとどめないほど崩壊が進行していたということだ.破れ目のウラには漆喰のようなぼろぼろの厚紙が顔をのぞかせている.触るだけで崩れる状態の粗悪な紙質.造本はすでに完全崩壊していて,上下巻計1800ページの紙の「束」がずっしりと.一部,120年も前の本だからという理由だけではないことはもちろん,書店側の責任でもないようで,もともと原本の紙質も劣悪で,造本も堅牢ではなかったのだろう.それでも石版画図版の美しさはさすがにオリジナルのことだけはある.「系統樹思考」と「分類思考」の対比を図示した最後の数葉の図版のために,この鳥類体系学の大著を購ったようなものだ.天がアンカットなので,最初どういう状態だったかが興味深い.いずれにせよ,これからの保管には十分に注意しないといけない.入手したい本ほど手間ひまがかかっているような記憶がある.それだけに無事にはるばる極東まで旅してきた本書は大切に思える.