『進化の運命:孤独な宇宙の必然としての人間』

サイモン・コンウェイ・モリス[遠藤一佳・更科功訳]

(2010年7月下旬刊行予定,講談社,本体価格2,800円,729 pp., ISBN:9784062131179

七夕の前夜,音羽から闇夜の飛脚あり.えっ,あのモリス本がついに店頭に並ぶのですかっ.長い道のりだったなぁ.

この『進化の運命』はいわば「収斂進化百科」で,宇宙から生物そしてミクロな世界にいたるまで,「収斂(convergence)」がいかに普遍的に生じているかを網羅することで,ヒトの出現は「偶然」ではなく「必然」であると主張する.コンウェイ・モリスの目標は,ヒトの出現は偶然に過ぎないと言い続けたスティーヴン・J・グールドの『ワンダフルライフ』的スタンスの完全粉砕にあり,その点で2003年に原書が出たこの本が翻訳された意義は大きい.同じバージェス動物相を出発点としても結論はかくも異なる.

コンウェイ・モリスの翻訳草稿の紙束とともに,草津温泉にある講談社の保養所に監禁されたのは五年前(2005年)のお盆の数日間(8月12日, 13日14日,そして15日)だった.もともとが脚注だらけのたいへんな本だったが,何はともあれ出版までこぎ着けることができたのは幸いだった.講談社からの情報によると,『進化の運命』は第二週末に見本刷が届き,7月22日には書店店頭に並ぶとのこと.700ページ超の部厚い翻訳書を本体価格「2,800 円」に抑えるために,初刷は「ええっ!? それは強気ですなぁ〜」というくらい刷るらしい.太っ腹っ.

なお,ワタクシは「編集協力者」として奥付に名前が入っています.

原書は:Simon Conway Morris 『Life's Solution: Inevitable Humans in a Lonely Universe』 (2003年刊行, Cambridge University Press, Cambridge, xxii+464 pp.,ISBN:0521827043 [hbk] / ISBN:0521603250 [pbk] → 目次).