『Interpreting the Hierarchy of Nature: From Systematic Patterns to Evolutionary Process Theories』

Lance Grande and Olivier Rieppel (eds.)

(1994年刊行,Academic Press, San Diego, x+298 pp., ISBN:0122951204 [hbk])

すでに遅れまくりだが,『思想地図β』の原稿を書き始めている.寄稿依頼されている特集は〈パターン〉なので,体系学的パターンをテーマにまとめようとしている.たまたまタイミングよく書評記事:Malte C. Ebach and David M. Williams (2010), [Review] Systematics and Biogeography: Cladistics and Vicariance. Systematic Biology, doi:10.1093/sysbio/syq050, 6 September 2010 が出たので,それを足がかりにして一点突破&全面展開をもくろむ.パターン分岐学の再検討が中心になるだろう.そのあたりの錯綜した議論は,私の『生物系統学』でもさんざん議論したが,現代への波及についてはさらに言うべき論点がいくつもありそうだ.

パターン分岐学が登場したころの「パターン vs. プロセス」論争のひとつの結節点が表記の論文集である.分子系統学の“大波”に現われる直前期に出版されたこの論文集では,被説明項としての「パターン」に対する説明項としての「プロセス」という対比のもとに,生物体系学は進化生物学に対してどのような立ち位置をとるべきかという論議が何人かの著者によってなされている. —— この論文集は,雑誌『海洋と生物』から依頼されて書評記事を書いた:三中信宏「[Book Review]系統関係から進化過程を推論する」,海洋と生物(生物研究社), 16(5): 364-365 (1994年10月).