『新種発見に挑んだ冒険者たち:地球生命の驚異に魅せられた博物学の時代』

リチャード・コニフ[長野敬・赤松眞紀訳]

(2012年2月7日刊行,青土社,東京,479+55 pp., 本体価格3,600 円,ISBN:9784791766369版元ページ

ナチュラリスト列伝.原書:Richard Conniff『The Species Seekers: Heroes, Fools, and the Mad Pursuit of Life on Earth』(2011年刊行,W. W. Norton, New York, xii+464 pp.,ISBN:9780393068542 [hbk] / ISBN:9780393341324 [pbk]).日経サイエンス誌から書評依頼.これまた原書を読む前に翻訳が出てしまった.原書には人名と事項を含む詳細な索引があるのだが,翻訳に際して人名索引のみに省略されたのは残念.

【目次】


序章 見知らぬものと見知らぬ土地 11

 「いけにえ、奇妙な通貨」/「奇妙な魚」/「この上ない喜び」/際限ない発見


第1章  巨大な獣のような町 29

 「有識人階級」/「モグラのためのラム酒」/ロンドンの野獣たち/「センザンコウのはらわた」/「電気の火花(スパーク)」


第2章  糸を探しあてる 49

 自然の迷路/秩序への逃避/非難に値する意見/「わずかずつの移行」


第3章  収集と征服 73

 「有用な知識」/愛と野心/自然および国家のために/帝国の子どもたち/ジョアンナの最後


第4章  貝殻に夢中 95

 貝殻マニア/「見事な館」/自分の目で見る/非凡な洞察力を持つアンボンの盲人


第5章  絶滅 111

 「食うか食われるか」/充満の問題/ジェファーソン流の解剖


第6章  よみがえり 125

 ラッパが響いて/「部分の相関」/時の限界を破る


第7章  西に向かって流れる川 143

 海の怪獣の蒸気船/ちぐはぐな同行者/種を記述する方法/ラフィネスクへの数少ない優しい言葉


第8章  「もしも彼らが頭の皮を失うことになったら」 163

 「アメリカの大砂漠」/古風な不調和/荒野に迷う/死者の町


第9章  重荷になる標本 179

 殺しの芸術/野外での作製


第10章 ヒ素と不死 191

 親切な友人たち/「ジャッコ」 と 「ピニャータ」/魔術と魔力/永遠の始まり


第11章 「私は人間ではないのか、そして兄弟ではないのか」 209

 「べた一面のそばかす」/平等と顔の角度


第12章 頭蓋骨への渇望 223

 アメリカのゴルゴタ/嫌悪の理論/聖書を吹き飛ばす/「科学的なたわごと」


第13章 「自然に首ったけ」 241

 「あの搾取する鬼、倦怠(アンニュイ)」/注文の多い文通相手/「素晴らしい三葉虫」/神の御業は讃えられよ


第14章 ひっくり返された世界 261

 「ミミズとサル」/普通の人向けの科学/「全くの文字書き」/安定性/「賞賛どころかひどい仕打ち」/「ミスター・アルスロバラヌス」 との出遭い/「巧妙な仮説」


第15章 サヴェージという名の霊長類 283

 魂(ソウル)と種(スピーシーズ)を求めて/「尋常ではない特色を持つ動物」/不適切な野心/ゴリラ・カドリール


第16章 「種の人たち」301

 人生最良の年月/「奇妙な使命を帯びた奇妙な人物」/外見を超えたものを見る/「身持ちの悪い生活」


第17章 「野外の労働者」 315

 東方の陽の中へ/野外(フィールド)からの覚え書き


第18章 自然のゆっくりした力 329

 ハトとスピタルフィールドの織工/激動の年、一八五七年/冷笑/最適者の生き残り/「私のすべてのオリジナリティー」/「著名な人々」/神と甲虫の翅/我々の好み、我々の必要性、我々のうぬぼれ


第19章 ゴリラ戦争 355

 「ある最悪の生物」/敵意/黒塗りの顔/「樽の中の黒人」/アフリカに戻る


第20章 大きな鼻の人々とお茶を飲む小さな人々 379

 「動物のウェストミンスター寺院」/はるかなる中国/「私はあらゆることに慣れている」/「手斧の音が聞こえる」/救われた種


第21章 産業スケールの自然史 399

 「なんてこった!・・・・・・底がない!」/呼び物としての自然/大きいことは良いことだった/「重複したものがない」/後記


第22章 良きスカートの恩恵 421

 「乙女のモラル」/スカートの下のズボン/至福と恐怖/印的な後記


第23章 蚊の中にひそむ怪物 435



第24章 「なぜ実験を試みないのか」 445

 「私は理論を立てた」/「ドアの鍵は開かれた」/「財宝を集める」/自然選択を脱出する


終章  発見の新時代 467



謝辞 473
訳者あとがき 475


図版クレジット [54-55]
参考文献 [36-53]
原註 [17-35]
物故者名簿 [5-16]
人名索引 [1-4]