「Togetter - 本の帯とカバーをめぐる話」

 → http://togetter.com/li/260170

鎌倉にある出版社〈港の人〉の宣言「帯を捨てよ、書物の姿とは何か。」(2012年1月25日)が話題になっている.しかし,本“本体”の「延長表現型」としてオビやカバージャケットを考えるならばワタクシには異論がある.たとえば,講談社現代新書は基本装丁が画一的なので(カバージャケットも色の差のみ),むしろオビで勝負しているところがある.現代新書二冊とNHKブックス一冊を出した経験ではオビの図柄と文章にはかなり手間がかかっている.著者として制作に参加したので思い入れもある.以前,うちの職場の図書室に自分の新刊本を献本したとき,目の前でオビとカバージャケットを当然のごとく剥ぎ取られたときは,延髄反射で「ちゃぶ台返し」しそうになった.ライブラリアンとしてはデフォルトの対応だったのかもしれないが.幸いなことに,現代新書の二冊『系統樹思考の世界』と『分類思考の世界』はカバージャケットの「ウラ側」にも本文とは独立した図版と説明文が印刷されているので,カバーだけ剥ぎとって処分することはそもそもできないようにしてある.新書とか選書みたいに本そのものの「基本フォーマット」(造本や装丁)が既定の場合,オビやカバージャケットで「差異化」をひねりだすしかないというどうしようもない理由もあるのだけれど.