『飼い喰い:三匹の豚とわたし 』

内澤旬子

(2012年2月22日刊行,岩波書店,東京,viii+306 pp., 本体価格1,900円,ISBN:9784000258364版元ページ|著者ブログ〈空礫絵日記〉)

先月,千駄木往来堂書店にてブツをゲットした.最初の豚の「種付け」から始まって「最後」に喰うまでの物語.飼って喰うんだから,確かに「飼い喰い」だ.『世界屠畜紀行』(2007年2月10日刊行,解放出版社ISBN:9784759251333書評目次)と同じ流れの本なので,予習しておくと,本書の文脈がよくわかる.最後の写真はオランダ絵画の「Vanitas」そのもの.この点は,著者の前著『身体のいいなり』(2010年12月17日刊行,朝日新聞出版,東京,ISBN:9784022508195版元ページ)を読んでいれば,さらに味わい深いかも.さっそく読み始めると,三元豚バイオトイレ・豚舎づくり etc. と突撃レポートが次々に展開する.このアップテンポなストーリー展開が心地よい.前半の「飼い」から後半の「喰い」へ.美味な結末に堪能した.豚,喰うしかない.全編にわたって豚のイラストが.持ち歩くときはもちろんカバー不要.豚だらけ.

【目次】
はじめに:なぜ私は自ら豚を飼い,屠畜し,食べるに至ったか iii


見切り発車 1
三種の豚 18
システム化された交配・人工授精 33
分娩の現場で 47
いざ廃墟の住人に 63
豚舎建設 77
お迎え前夜 92
そして豚がやって来た 107
日々是養豚 122
脱走 136
餌の話 150
豚の呪い 166
豚と疾病 180
増殖と逡巡と 195
やっぱり,おまえを,喰べよう. 209
屠畜場へ 224
何もかもバラバラに 237
畜産は儲かるのか 253
三頭の味 270
震災が 286


あとがき 305