カール・ジンマー[長谷川眞理子日本版監修]
(2012年5月29日刊行,岩波書店,東京,xii+417 pp., 本体価格5,600円, ISBN:9784000054676 → 版元ページ1|版元ベージ2 ※省略された文献リストはここからpdfファイルとしてダウンロードできる)
フルカラー版の現代進化学教科書.原書は Carl Zimmer『The Tangled Bank: An Introduction to Evolution』(2009年刊行,Roberts and Company Publishers, Greenwood Village, ISBN:9780981519470 → 版元ページ).今から8年前に出版された同じ著者の前著:カール・ジンマー[渡辺政隆訳]『「進化」大全 —— ダーウィン思想:史上最大の科学革命』(2004年11月25日刊行,光文社,東京,493 pp.,本体価格6,000円,ISBN:4334961738 → 書評|目次|版元ページ)と同じ路線で,フルカラー版の特長を生かしつつ,ヴィジュアルにかつ最新の話題を盛り込んで進化研究のたどってきた歴史を振り返りつつ,現在進行中の最前線まで読者を案内する.
【目次】
監修者の言葉(長谷川眞理子) v
1 進化――はじめに 3
2 生物学――自然哲学からダーウィンへ 17
《コラム》進化思想のルーツは「暗黒の中世」を突き抜ける(三中信宏) 363 岩石が語ること 39
《コラム》全球凍結イベントが生物進化を促したか?(田近英一) 614 系統樹 65
《コラム》分子系統樹とバイオインフォマティクス(田村浩一郎) 915 進化をもたらす分子 95
《コラム》遺伝子にハマって進化する(小林一三) 1116 変わっていく方法――突然変異,浮動,淘汰 115
《コラム》集団サイズや遺伝子流動が進化に与える影響を樹木に見る(舘田英典) 1467 私たちの遺伝子に書かれた歴史 149
《コラム》種の系統関係と遺伝子の系統関係(颯田葉子) 1718 適応――遺伝子から形質へ 175
《コラム》霊長類型3色型色覚をめぐる「謎」(河村正二) 2089 種の起源 211
《コラム》視覚の適応による種分化(岡田典弘) 23310 適応放散と絶滅――時を経て変わる生物多様性 237
《コラム》ネズミ類の放散と日本列島(鈴木仁) 26811 緊密な種間関係――種はどのようにして互いに適応するのか 271
《コラム》ゾウムシの矛とツバキの盾の軍拡競争(佐々木顕) 29312 性と家族 297
《コラム》共同を保つ個体の免疫と社会の免疫(辻和希) 32613 進化医学 329
《コラム》人類進化と高血圧(井ノ上逸朗) 36314 心と微生物――行動の進化 367
《コラム》ヒトの脳の進化の舞台裏(山極寿一) 397
読書案内(長谷川眞理子) 399
図版出典 402
索引 406
なお,この訳本には各章ごとに日本人進化学者によるコラム記事の寄稿が載っている.ワタクシのコラム記事「進化思想のルーツは「暗黒の中世」を突き抜ける」は pp. 36-37 に掲載されている.セビリアのイシドール,アタナシウス・キルヒャー,フィオーレのヨアキム,そしてボッカッチォが登場する.