『ダーウィン家の人々:ケンブリッジの思い出』

グウェン・ラヴェラ[山内玲子訳]

(2012年9月14日刊行,岩波書店岩波現代文庫・文芸208],東京,xii+404 pp., 本体価格1,220円,ISBN:9784006022082版元ページ

チャールズ・ダーウィンの次男ジョージの長女グウェン・ラヴェラのロングセラーが岩波現代文庫に入った.本書の原書 Gwen Raverat『Period Piece: A Cambridge Childhood』(1952年刊行)はダーウィン一族の家族模様を描いた伝記としてとても有名.翻訳の初版は20年以上前に出た:グウェン・ラヴェラ[山内玲子訳]『思い出のケンブリッジダーウィン家の子どもたち』(1988年5月刊行,秀文インターナショナル,東京,vi+426pp.,ISBN:4879633968目次・書評).この元本はクロス装ハードカバー・グラシン紙包み・函入りという今ではありえないゴージャスな造本だったが(だから高かった),文庫本になって価格がほぼ1/3になったので,本書を手に取る読者はこれからきっと増えるだろう.

今回の復刊に際しては,長谷川眞理子による解説が付けられている.グウェン・ラヴェラは画家・イラストレーターとして活躍したこともあり,本書には味わいのある挿し絵がたくさん載っている.エティおばさん,やっぱり変人.なお,Gwen Raverat の伝記もすでに出版されている:Frances Spalding『Gwen Raverat: Friends, Family, and Affections』(2001年6月21日刊行,The Harvill Press,ISBN:1860467466目次).

Gwen Raverat の妹 Margaret Keynes もダーウィン家の伝記『A House by the River: Newbham Grange to Darwin College』(1976年刊行,Privately printed, Cambridge, xviii+259 pp. → 目次)を著しているが,こちらは未邦訳.Margaret Keynes の夫 Geoffrey は,経済学者 John Maynard Keynes の弟だったりする.広がる広がる血のつながり.