『東大駒場寮物語』

松本博文

(2015年12月10日刊行, 角川書店, 東京, 287pp., 本体価格1,800円, ISBN:9784041032770版元ページ

駒場の講義から帰ってきてすぐに,駒場寮史の本が届くとはグッドタイミング.ここに描かれているのは1990年代前半.ワタクシが駒場寮に棲息していたのは,さらに15年ほどさかのぼった1970年代後半のことだった.駒場寮はキャンパス内の「閉じた生活の場」だったので,ありとあらゆることが起きていた記憶がある.

【目次】
プロローグ:1993年春、駒場 3


第1章 ある駒場寮生の話 11

それぞれへの地図 11/1992年、駒場 14/地方の浪人生 17/ようこそ駒場寮へ 19/入寮選考 25/安い、広い、自由 26/部屋探し 29/牧野寮委員長 30/寝たきり寮生 33/寮と麻雀 35/麻雀亡国論 vs 麻雀興国論 39/同室者 43/新しい部屋 45/コマ猫と寮生 47/寮の朝 49/駒場飲食店案内 51/殺風景な炊事場 54/寮風呂 57/電話と手紙 62/寮フさん 65/寮勤 67/寮に降る雨 70/寮祭 74/都市伝説か現実か 76/犬鍋伝説 79/焼き犬事件始末記 80/ハンガーストライキ 86/試験対策委員会 88/ “Shrinking Universe” 90/駒場寮廃寮問題 92

第2章 自由の駒場寮史 95

向ヶ丘から駒場の寮へ 96/寮自治の構図 98/合理と非合理 102/一高の移転をめぐって 105/戦時中の寮 109/敗戦後の一高 113/学制の移行 115/新しい寮規約 116/地方出身者の宿 119/寮食堂史 I・賄征伐 122/寮食堂史 II・従業員雇用問題 125/寮食堂史 III・界隈の飲食店との競合 129/寮食堂史 IV・駒場小劇場誕生 132/駒場寮と汚さ 135/女学生アルバイト論争 138/大掃除敢行 142/土足厳禁の掟 144/盗難との闘い 149/ストーム 152/文部省の学寮政策 154/受益者負担主義 157/負担区分をめぐって 158/負担区分論争 161/運命の寮委員長選挙 163/84合意書とその後 165/三鷹寮 167/そして廃寮問題へ 169/廃寮反対方針の確立 171

第3章 駒場寮存続運動 173

抗議活動 174/さくらんぼの実る頃 177/ストライキ 180/ダンスホール 184/時には昔の話を 186/晩餐会 189/冬の駒場寮 192

第4章 一寮委員の記憶 195

1994年、春 196/連続停電事件 200/ビラと落書 202/留学生たち 205/OBたち 207/行動の中のセンチメンタル 212/寮の屋上 217/寮の一週間 219/それぞれの事情 224/ドロップ 227/野球対決 230/一局の人生 234

第5章 駒場寮最後の日々 237

長期戦の中で 238/過ぎていく時間 242/寮内バー 245/強行手段開始 248/「知のモラル」とは 251/大学自治の原理原則 254/大学自治と警察 258/法的措置 260/絶望の裁判所 262/立てこもり 264/女子入寮解禁 266/ライフゴーズオン 268/コンサートと、その後で 270/最後の寮生たち 274


エピローグ:文化の光を照らす場所 281