『科学革命の構造』

トーマス・クーン[中山茂訳]

(1971年3月5日刊行[1993年10月5日第25刷],みすず書房,東京, xii+278 pp., ISBN:4622016672版元ページ

今朝,ゴミ出しに行ったら他の雑本と一緒に縛られて捨てられていたので回収.どこぞの医大検収印が押されている(ほかしてええのん?).ほとんど読まれた形跡がない美本.

ワタクシの世代の自然科学分野の研究者にとって,“科学哲学” は今の世代よりももっと身近な学問分野だったので,1970年代以降に立て続けに翻訳されたクーンやポパーやファイアーアーベントの著作群は日本人の手になる科学哲学書とともに本棚に並んでいた.

ワタクシの研究分野ではポパーは “毛語録” と同じくつねに持ち歩かなければならない本だったが,個人的にはやや鬱屈したイムレ・ラカトシュの方が好きだったかも.のちに,ラカトシュがファイアーアーベントの友だちであることを知り,ファイアーアーベントの『Against Method』とペアーになるはずの『For Method』をラカトシュが書く前に彼が亡くなったのは残念だった.

さすがに最近はポパー『科学的発見の論理』をひもとく機会はめっきり少なくなってしまったが,それでも書き込みしまくりの蔵書はワタクシの “森” の目立つ棚を専有している.

そういえば,クーンの『科学革命の構造』は〈統一科学運動叢書〉の一冊だったことをいま思い出した.