『醤油』(第5〜10章)

吉田元
(2018年3月15日刊行,法政大学出版局ものと人間の文化史・180],東京, 2 color plates + iv + 269 pp., 本体価格2,600円, ISBN:9784588218019目次版元ページ

読了.日本の醤油の海外輸出(第5章),日本国内でのローカルな醤油(第6章),中国産の醤油(第7章)と続く.第8章「豆味噌と溜り醤油」は,東海地方ローカルな醸造製品であるいわゆる「八丁味噌」とそれを絞った「溜り醤油」に光を当てている.通常の濃口醤油は原料として大豆と小麦を等量用いるのに対し(p. 24),豆味噌(八丁味噌)は大豆のみを原料とする(p. 195).第9章では明治以降の近代を,そして最後の第10章は現代の醤油醸造と国内での地域差を取り上げる.日本酒醸造と醤油醸造は “姉妹群” の関係にある.重要な税収源である日本酒醸造は国による積極的なてこ入れがあったのに対して,より規模の小さな醤油醸造はそれほど重視されなかったために産業としての近代化が遅れたと著者は指摘する.

Cf: 第1〜4章の感想