『絶滅危惧の地味な虫たち:失われる自然を求めて』感想

小松貴
(2018年3月10日刊行,筑摩書房ちくま新書・1317],東京, 8 color plates + 318 pp., 本体価格950円, ISBN:9784480071262目次版元ページ

とても長い第1章「コウチュウ目」を読み進む.本書は,著者の形容を借りるならば「筆舌に尽くしがたいほど」ジミ〜な虫たちへの「偏愛の書」である.いくらなんでも小さすぎるしジミすぎるでしょという虫たちがオムニバス主役のように登場する.蝶よ花よと愛でられる「スター生物たち」とは対極的だ.すばらしい! しかも,電子本だと写真はすべてカラーらしい.“真鍮色” に輝く「ドウイロハマベゴミムシ」とか,“ガーネットを削り出したような” 「ナカオメクラチビゴミムシ」のカラー写真を電子本読者しか鑑賞できないとは残念至極.生まれて初めて電子本買うかな(マジで).続けて「チョウ目」(実際は “ガ” が主役),「ハエ目」,「カメムシ目」の章をどんどん読み進む.いたるところ “蟲愛” があふれまくる新書だ.さらに続いて「ハチ目」と「バッタ目」,「クモガタ類」,最後は「多足類の仲間など」.偏愛にして遍愛.やはりカラー電子本を見たい.