『「蓋然性」の探求:古代の推論術から確率論の誕生まで』

ジェームズ・フランクリン[南條郁子訳]
(2018年5月15日刊行,みすず書房,東京, viii+609+88 pp.[付表1葉], 本体価格6,300円, ISBN:9784622086871版元ページ

確率論史の超弩級本.700ページ超の厚さに文字テキストがみっしり詰まる.原註にいたってはOED縮刷版を読む視力が必要.「二千年以上にわたる蓋然性の歴史を、法・科学・商業・哲学・論理学を含む圧倒的に広範な領域で調べ上げ、ハッキングの『確率の出現』の成功以来信憑されてきた単純すぎる確率前史を塗り替える」(版元ページから)— 確かに,ある研究分野の歴史は調べれば調べるほど予想以上に錯綜してくる.ハッキングの確率論史本:イアン・ハッキング[広田すみれ・森元良太訳]『確率の出現』(2013年12月28日刊行,慶應義塾大学出版会,東京,viii+394 pp., 本体価格3,800円,ISBN:9784766421033版元ページ)ですでにおなかいっぱいだったが,それを「塗り替える」となれば,また完読しないわけにはいかない.束の厚みが4センチもあるんだけど.

【目次】
凡例 vi
序 1
第1章 古代の証明法 9
第2章 中世の証拠法 —— 嫌疑、半証拠、審問 26
第3章 ルネサンスの法 69
第4章 疑う良心・道徳的確実性 106
第5章 弁論術、論理学、理論 166
第6章 ハードサイエンス 214
第7章 ソフトサイエンスと歴史学 260
第8章 哲学 —— 行為と帰納 312
第9章 宗教 —— 神の法、自然の法 365
第10章 射倖契約 —— 保険、年金、賭博 411
第11章 サイコロ 460
第12章 結論 510
エピローグ 非定量的蓋然性のサバイバル 572


2015年版への後記 591


訳者あとがき 599


原註 [35-88]
訳註 [26-34]
文献案内 —— 1660年以前の確率について [13-25]
索引 [1-12]