『教養の近代測地学:メフィストのマントをひろげて』目次

石原あえか
(2020年11月25日刊行,法政大学出版局,東京, 8 color plates + 358 + 13 pp., 本体価格3,500円, ISBN:978-4-588-35234-8版元ページ


【目次】
カラー口絵(8 pp.)

はじめに 紙の地図とデジタルの地図 9

 1 地図と近代測量 9
 2 陸地測量部から地理調査所への変身──国家機密と製図技術 12
 3 地図の変身──「陸測五万分一」地形図のその後 17
 4 地図を「読む」、地図を「作る」──本書執筆の動機 19

第1章 地図と戦争──軍用地図と外邦図の行方 27

 1 文・理が融合した豊かな地図の世界 27
 2 ゲーテと地図 32
 3 ヴァイマル公カール・アウグストと軍用地図 35
 4 国土地理院のドイツ軍用地図 39
 5 全国に散らばる外邦図 45
 6 比較対象として──戦後のドイツ測量機関の行方 48

第2章 地球儀と本当の地球──ベハイムの〈地球林檎〉とオイラーの予言 53

 1 地球儀の歴史──ドイツ語圏を中心に 53
 2 回転楕円体の地球と近代ヨーロッパにおける三角測量 63
 3 地球の姿から内部へ──地軸変動とオイラーの予言 72
 4 「柔らかい地球」のための国際緯度観測事業 76

第3章 水沢の緯度観測所──木村榮と宮澤賢治 87

 1 師走の風物詩──ベートーヴェンの『第九』とシラー 87
 2 緯度観測所設置前夜──麻布の東京天文台 92
 3 ヘルメルトとポツダムの王立測地学研究所 99
 4 田中舘の交渉と木村のZ項発見 105
 5 夏目漱石の苦言とZ項の謎解明 111
 6 『風野又三郎』と高層気象観測 115

第4章 ツァイス、ヴァンシャフ、バンベルク──ドイツ製望遠鏡からプラネタリウムまで 131

 1 ツァイスの望遠鏡──水沢の浮遊天頂儀 131
 2 カール・ツァイスと双子都市ヴァイマル/イェーナ 138
 3 ベルリンの専門工房──カール・バンベルクヴァンシャフ 142
 4 金星の太陽面通過──十八世紀からの国際天文観測プロジェクト 153
 5 「アルビレオの観測所」と現代の宇宙の三角測量 156
 6 ツァイスのプラネタリウム 164

第5章 日本水準原点とアナログ図化機──標高を知り、空から地上を撮る 181

 1 日本水準原点──高さを示す基準 181
 2 日本がお手本としたドイツ水準原点の歴史 187
 3 オランダお雇い技師リンドと東京湾平均海面 190
 4 銀板写真から航空測量へ 195
 5 ツァイスの一等図化機(ステレオ・プラニグラフ) 203
 6 ツァイスの傑作レンズ「トポゴン」と外邦図 210

第6章 変化し続ける地球──地震地磁気・重力 223

 1 近代までの大地震の記録と原因解明の試み 223
 2 世界初の地震学会設立と地震計 230
 3 濃尾地震地磁気計測──バートンの写真集『日本の地震』 240
 4 「重力点TOKYO–B」──重力と標高 252
 5 ガウスヴェーバーの電磁式通信 257
 6 地磁気逆転と〈チバニアン〉 266

第7章 続『劒岳』──南極大陸立山カルデラ 281

 1 〈日本アルプス〉と氷河 281
 2 『ファウスト』と小氷期──ゲーテの氷河理論 288
 3 厳寒の発見とゴシック小説『フランケンシュタイン』 299
 4 極地探検の歴史──文学作品や絵画を手掛かりにして 301
    その一 ナドルニーの小説『緩慢の発見』 301
    その二 ランスマイアーの冒険小説『氷と闇の恐怖』 308
    その三 立松和平の小説『南極にいった男』 310
 5 続『劒岳』──立山ガイドのその後 313
 6 もうひとつの立山──カルデラと砂防 319
 7 大規模崩壊地と「SABO」──赤木正雄のオーストリア留学 326
 結び──ゲーテ花崗岩 336

あとがき・謝辞 351
主要文献リスト [1-13]
主要人名索引 [i-vi]