「網羅的な研究出力リストの効用」

若いうちから研究活動履歴としてのウェブサイトをつくり続けていれば,のちのち物忘れする年代になっても,漏れ落ちのない “ライフログ” として役に立ちます.論文リスト・学会発表リストを含めてすべて公開するように心がけると,結局は自分のためになるとワタクシは考えています.将来,いつかリタイアするときのためにも,完璧な「全業績リスト」を本人が前もって用意しておけばのちのちまで尊敬されるにちがいありません.

そのような網羅的リストはえてして長くなることがあるが,それはまったく問題ありません.むしろ長いことはいいことです.研究キャリアが長くなるにつれて,過去のこまごましたアウトプットの詳細を,他人はもちろんのこと,本人自身が思い出せないことがしばしばあります.そういう経験がワタクシにもありましたので,京大生態学研究センター所長だった川那部浩哉の方針に従い,網羅的に “出力リスト” をつくっています.ワタクシの場合,学部の卒論以降すべてのアウトプットを網羅的にリストアップして現在にいたりますが,現時点でテキストファイルにして274KBに達しています.ワタクシ自身は自分の出力の詳細はすっかり忘却していますが,リストがちゃんと覚えていてくれるので安心です.

年長の研究者の出力リストがとても長くなるのは当たり前です.そう見えるのは,まちがいなく「整数倍の威力」なので,研究キャリアが長くなれば誰でもアウトプットは単調に増加していくでしょう.研究上の “長期蓄積量” よりもむしろ “短期成長量” の方が大事ではないかとワタクシは思います.