図師宣忠
(2021年4月30日刊行,慶應義塾大学出版会,東京, viii+235 pp., 本体価格2,400円, ISBN:978-4-7664-2559-8 → 版元ページ)
近くのリブロの棚に並んでいたことは新刊のときから知っていたのだが,半年あまりそのまま放置したら,何とも寝覚めが悪いので,一念発起してレジへ.
【目次】
凡例 v
序 1
『薔薇の名前』の解読 3『薔薇の名前』と西洋中世研究 4
エーコと「中世」との距離 6
美学から記号論へ 8
知の巨人エーコ、小説を書く 9
I 『薔薇の名前』の舞台 13
物語の枠組み 15プロローグ──時代背景 16
宗教と政治──教権と俗権の対立 19
宗教と社会──異端と教会改革 22
民衆的異端の拡大──ヴァルド派とカタリ派 24
托鉢修道会の成立──ドミニコ会とフランチェスコ会 26
一四世紀における聖俗権力の対立構図 29
中世の世界へ──舞台としての修道院 31
修道院の建物の配置──ザンクト・ガレン修道院の平面図 36
修道院の生活──『聖ベネディクトゥスの戒律』 42
吹きすさぶ雹──アデルモの死 47
血の甕──ヴェナンツィオの死 49
迷宮の謎 53
アドソの冒険 56
茶色く変色した指と真黒な舌──ベレンガーリオの溺死 59
再び迷宮へ──〈アフリカノ果テ〉 60
渾天儀──セヴェリーノの惨殺と「奇妙な書物」の行方 62
異端審問官ベルナール・ギー 65
千匹もの蠍の毒──マラキーアの死 66
『キュプリアヌスの饗宴』 67
〈四ツノ第一ト第七デ〉 68
ホルヘとの最後の対決 69
世界燃焼──崩れ落ちる図書館 71
最後の紙片 73
言うまでもなく、中世から 73
II 『薔薇の名前』の構造 77
『薔薇の名前』の読み方 79メルクのアドソ 81
バスカヴィルのウィリアム 84
『ヨハネの黙示録』とアドソの幻視 89
修道院の殺人と『ヨハネの黙示録』 97
ブルゴスのホルヘ 103
笑いと破壊、あるいは神聖なる秩序の行方 108
イマジネールの怪物たち 115
バベルの塔としてのサルヴァトーレ 118
村の娘とアドソの恋 121
迷宮としての図書館 125
始まりと終わり──タイトルとその意味 130
III 『薔薇の名前』の世界への鍵 137
写本と羊皮紙 139巻物から冊子へ 146
写字室と写本の製作 147
読むことと眼鏡 152
聖なる読書から学者の読書へ 160
写本製作の新時代 165
紙の製造 167
異端の烙印 169
「キリストの清貧」をめぐって 173
『ヨハネの黙示録』と終末論 178
異端審問と刑罰 182
異端審問記録の作成・保管・利用 185
ある異端審問記録の数奇な運命 190
失われてしまった写本をめぐる物語 196
書物は何を伝えるか──世界を読み解くとは? 202
注 211
参考文献 217
あとがき 231
図版出典一覧 [235-234]