『Index, A History of the: A Bookish Adventure』読書進捗(2)

Dennis Duncan
(2021年9月刊行,Allen Lane / Penguin Books, London, xii+340 pp., ISBN:978-0-241-37423-8 [hbk] → 目次版元ページ

第3章「Where Would We Be Without It? — The Miracle of the Page Number 」(pp. 85-112)では,冊子体の本の「ページ付け」について考察される.索引が各項目の “位置” のリストであるならば,その位置の標識となるのは “ページ” である(p. 88).中世から現代にいたるまで,紙の本ならばページが付けられる.これに対して現代のリフロー型の電子本では,たとえばキンドルの「loc#」のようなまったく別のロケーターが必要になる(p. 99).最初の索引は Johannes Gutenberg と同時代(15世紀)の Werner Rolevinck (p. 86)と Peter Schöffer だった(p. 102).冊子体におけるシートとページの関係(pp. 106-108)はとてもわかりやすい.

続く第4章「The Map or the Territory — The Index on Trial」(pp. 113-135)では,索引づくりの試行錯誤の歴史をたどる.索引のできがよければ,読書への時間の投資の可否を的確に判断できる(p. 117).索引を “読む” ことで,その本の全体的内容を把握できるだろう(p. 119).その索引はテクストではなくヴィジュアルに描かれた事例もある(p. 120).あえて,目次を付けないことをセールスポイントにした本もあった(p. 123).索引は本文の “後” に付けるものと現代の読者は先入観をもつが,逆に本文の “前” でもいいじゃないかと Conrad Gessner は考えたらしい(p. 128).索引の機能と形態がまだ不確定だった時代の話だ.