『カムイのフクロウ —— シマフクロウを追う』
早矢仕有子
(2026年4月30日刊行、東京大学出版会、東京, viii+165+10 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-13-063968-2 → 目次|版元ページ)
ご恵贈ありがとうございます。 “シマフクロウ” という和名よりも “Blakiston's Fish Owl” という英語名の方が印象に残る。北海道での40年にも及ぶ地道な個体追跡調査により解明されたシマフクロウ一族の生活史(家族史)の詳細が興味深い(第3章「繁殖生態」、第4章「行動圏・環境利用・出生地からの分散」)。シマフクロウの父親は寛大なのか、節操がないのか。母親は “かかあ天下” で過保護なのか。それとも子どもたちがいつまでも親のスネをかじり過ぎなのか。それは読んでのお楽しみ。寿命30歳というシマフクロウの長い “鳥生” に立ちはだかるさまざまな試練は、自然環境下での餌不足や捕食によるものだけでなく、近年は人為的な原因(交通事故や関連事故など)が半分を占めるという(第5章「シマフクロウ保護増殖の歴史と未来」)。著者の “シマフクロウ愛” が行間からにじみ出る。カバージャケットのシマフクロウのイラストは、左側の背後を振り返っているので、京都・永観堂の「見返り阿弥陀」でしょう。