「論文を頭から読むのは「書く側に回らない人」という見方」

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同じ研究業界の「なかのひと」だったらショートカット読みしてもきっとだいじょうぶなんだろうなあ.ワタクシの仕事柄,単発の論文ではなく,まとまった量の「本」を読む機会が多い.研究者諸氏が研究上関係のある「本」をどのように読んでいるかは日頃から気になっている.論文に関して言えば,ある研究者の論文「すべて」とか,場合によってはあるジャーナルのバックナンバー「すべて」というように,「すべて読み」をワタクシは過去にしてきたが,最近はそういうのは流行らないのだろうか.

専門分野の単行本にしても,論文集ではなく単著の場合でさえ,最初から最後まで「通読」することを前提にしていない傾向があるようだ.来年 Springer から出る予定の進化ゲノム学の単著では,章ごとに参考文献を末尾にまとめるようにとの執筆要領だったと著者から聞いた.電子本にしたとき「章単位」で販売できるようにとの思惑らしい.せわしなくなってきた研究者にとっては一冊の本をじっくり「すべて読み」するというのは現実的にムリになってきて,必要箇所だけをピックアップする「そこだけ読み」ですませるしかないのか.単発の論文にしても,電子化されるようになり,しかも要点のみ記載する形式は最初から「そこだけ読み」を前提としている.ジャーナルとしての造本体裁は,「紙」時代の遺物であって,もはや必要ない.

きわめてワタクシ的には,本を最初から最後まで読み切るとかバックナンバーを全部読むという「すべて読み」は研究者としての Bildung にとっては最良のトレーニングだろうと思う.しかも,それができるのは大学院生時代まで.