「古い辞書は捨ててはならぬ」

新版が出たからといって,旧版の辞書を捨てるのは禁物.昔の辞書はその時代の “言語状況” を保存するツールなので,昔の本を読むときは昔の辞書が役に立つ.新しい版の辞書では対応できない場面がある.かつて,岩波『生物学辞典(第4版)』(1996年3月刊行…

「網羅的な研究出力リストの効用」

若いうちから研究活動履歴としてのウェブサイトをつくり続けていれば,のちのち物忘れする年代になっても,漏れ落ちのない “ライフログ” として役に立ちます.論文リスト・学会発表リストを含めてすべて公開するように心がけると,結局は自分のためになると…

「文献・註・索引」の三点セット

Takuji Hashizume ツイート(2021年8月23日) https://twitter.com/leeswijzer/status/1429587403199586304 「文献・註・索引」の三点セットを本の本体ではなく,版元ウェブサイトで電子公開するという “裏ワザ” が広まっているようです.もしそれをするなら…

「ネット中傷やデマ対策の“盲点”」について

ハフポスト日本版「ネット中傷やデマ対策の“盲点”、Amazonレビューが温床に。識者から「透明化」求める声——著者への悪質なレビュー投稿は、精神的な苦痛を与えるだけではない。」(2021年8月21日) https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_610b9b9be4…

「 “積ん読” の御利益」

いわゆる “積ん読” はワルくないですよ.本を読まずに何年も静かに積み重ねておくと,買った本人が知らないうちに熟成感が漂ってきて,あるとき本の方から「おい,いまが “読み頃” だぞ」と声がかかります.著者の側からいえば,「せっかく書いたんだから最…

「なぜ “理系の本” は書評されないのか?」

2021年8月12日(木)の読売新聞インタビューでは,「なぜ “理系の本” は書評されないのか?」という話題も出た.新聞書評に関して言えば,新刊理系本の情報が潜在的書評者集団に届かないことが大きなハードルで,どうせ献本するなら個人よりは新聞社へ送った…

「文献渉猟いとをかし」

清田雅智・陶山恭博 2021. 文献渉猟いとをかし:文献学の手法が臨床疑問の解へ導く. 週刊医学界新聞,第3431号(2021年8月2日発行) https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2021/3431_01 「タイトルやアブストラクトを読んだだけの引用では,あたか…

参照表現あれこれ

原稿執筆時に「上述したように」とか「前章で説明したが」とかつい書いてしまうクセがワタクシにはあるようだ.しかし,読者にとってはこういう参照表現はきっとイライラのもとになるにちがいない.ましてや「賢明な読者ならおわかりだろうが」などと書くの…

読売新聞読書委員の任期を終えて

読売新聞読書委員会の納会(2020年12月15日)から一夜が明けて,ワタクシは晴れて “自由の身” となった.二年前に読書委員になったときから,居室の書棚の一角に「読売新聞書評担当本の棚」をわざわざ用意した.そして任期を終えてみると,その棚には前後二…

「7日間ブックカバーチャレンジ(バトン2)」

第二のバトンもめでたく大団円を迎えたので,下記にまとめる. 【2–一日目】松本零士『男おいどん(1)』(1976年12月20日刊行,講談社[講談社漫画文庫・MA56], 220 pp., 本体価格280円)※最終巻:松本零士『男おいどん(9)』(1977年8月15日刊行,講談社…

「7日間ブックカバーチャレンジ(バトン1)」

「7日間ブックカバーチャレンジ」なるバトンが同時に2本も回ってきたので,律儀にもちゃんとお務めを果たすことになった.もちろん,次々に他人にバトンを受け渡すのはためらわれるので,ワタクシが勝手にお務めしてそれでオシマイということにする.まずは…

「『月刊みすず』「読書アンケート」用セレクション5冊+次点5冊(2020年)」

毎年恒例の『月刊みすず』の「読書アンケート」.今年は下記の5冊を選んだ.次点5冊と合わせてリストアップする. 今年の5冊【書名】『アリストテレス 生物学の創造[上・下]』 【著者】アルマン・マリー・ルロワ[森夏樹訳] 【刊行】2019年9月17日 【出版…

「読売新聞読書委員会慰労会(代読メッセージ)」

昨夜の大手町では読売新聞読書委員会の慰労会が開催されたのだが,高知巡業と真正面からバッティングしてしまったので,慰労会で代読してもらう下記のメッセージを事前に送った: 今日の読書委員会慰労会には万難を排して参加したかったのですが,折悪しく高…

「図書にふせんをつけると図書が傷むというがその根拠はあるか」

レファレンス協同データベース>レファレンス事例詳細(2019年3月15日) https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000253054 図書をきれいに “保存” するためのさまざまな教訓はえてしてユーザー(読者)の便宜をぜんぜん考えていない.読…

献本する/される

出版TIMES「献本はなんのためにある?→献本する意味や実際の手順をかんたん理解」(2019年4月23日)という記事を読んだ.いただいた本に対して「こんな新刊出たぞ!」ツイートを書影付きでつぶやくことは,ワタクシ的には最大の謝意表明だ.著者や出版社に個…

「ライトニング・ビブリオトーク」の効用

総務省統計局の公表データ「書籍の出版点数と平均定価」によれば,ここ数年の書籍出版点数は漸減しつつも毎年7万冊あまりとのこと.ということは,毎月6千冊もの新刊が出版されていることになる.ワタクシが大手町の隔週の読書委員会で毎回目にする書評候補…

「『月刊みすず』「読書アンケート」用セレクション5冊+次点5冊」

毎年恒例の『月刊みすず』の「読書アンケート」.今年は下記の5冊を選んだ.次点5冊と合わせてリストアップする. 今年の5冊【書名】『「蓋然性」の探求:古代の推論術から確率論の誕生まで』 【著者】ジェームズ・フランクリン[南條郁子訳] 【刊行】2018…

「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ(引越のお知らせ)

旧本録〈leeswijzer: boeken annex van dagboek〉 ※2005年1月9日から2018年9月6日まで ↓ 新本録〈leeswijzer: een nieuwe leeszaal van dagboek〉 ※2018年9月6日以降〜先月末にアナウンスされた:はてなダイアリー日記「2019年春「はてなダイアリー」終了の…

「姉妹本3冊を書き終えて」

昨年4月に出した『思考の体系学:分類と系統から見たダイアグラム論』を皮切りに,今年4月刊行の『系統体系学の世界:生物学の哲学とたどった道のり』,そして翌5月刊行の『統計思考の世界:曼荼羅で読み解くデータ解析の基礎』と,この一年の間に3冊の単著…

『Species: The Evolution of the Idea, Second Edition』落丁事案

John S. Wilkins (2018年2月刊行, CRC Press[Series: Species and Systematics], Boca Raton, xxxviii+389 pp., ISBN:9781138055742 [hbk] → 目次|版元ページ) 日頃の行ないが良いせいか,和書・洋書を問わず,落丁本や乱丁本に遭遇したことはこれまで…

「築地本マルシェ:鼎談〈学術書を読む−−「専門」を超えた知を育む〉」

ベルサール汐留での〈築地本マルシェ〉の大学出版部協会企画として開催された鼎談「学術書を読む−−「専門」を超えた知を育む」(2018年2月18日(日)14:00〜15:00)では,学術書を「読む」&「書く」という観点から話をした.どんな先端的な科学研究でも歴史…

「文献リストの “闇” はさらに深い(ある顛末)」

先日書いた記事「文献リストの “闇” はさらに深い」で取り上げた論文: Bather, Francis A. (1927). Biological classification: Past and future. An Address to the Geological Society of London at its Anniversary Meeting on the Eighteenth of Februa…

「研究者とライターとの関係」

つい先日まで,プロの翻訳者の手になる下訳原稿をかなりリライトに没頭していた.ワタクシには自分なりの「文章のリズム」があるので,それに合わない箇所はもれなく書き換えてしまう癖がある.今回はちゃんとした下訳だったので,作業工程でいえば「五合目…

「文献リストの “闇” はさらに深い」

以下の事例もまた “闇” のひとつといえるかもしれない.Francis A. Bather のロンドン地質学会会長演説(Bather 1927)は,90年も前の記事であるにもかかわらず,分類学と系統学との関係を論じるとき,現在でもときどき引用(言及)される基本文献である.問…

「文献リストの “闇” は深い」

2017年の師走に脱稿した:三中信宏『系統体系学の世界:生物学の哲学がたどってきた道』(2018年4月刊行予定,勁草書房[けいそうブックス])は文献リストが未完成だった.一念発起して各章末に分散していた文献リストを束ねてみたら,重複項目を除いてちょ…

「“スーパーバイザー” というお仕事」

年末年始を返上してかかりきりになっている監訳の作業は連休三日目の今日も続いている.ワタクシはこれまで単行本の著者だったり翻訳本の訳者だったり論文集の編者となったことは何度もあるが,「監修」とか「監訳」という “役付き” になったのは今回が初め…

「『月刊みすず』「読書アンケート」用セレクション5冊+次点5冊(2017年)」

昨年の暮れに,毎年恒例の『月刊みすず』の「読書アンケート」原稿依頼が届いていた.今年は下記の5冊を選んだ.次点5冊と合わせてリストアップする. 今年の5冊【書名】『 The Book of Circles: Visualizing Spheres of Knowledge』 【著者】Manuel Lima 【…

「誰がために本を書く?」

2017年12月22日(金)に開催された岡山大学農学部の第349回昆虫学土曜セミナーで,ワタクシは「分類学と系統学の世界観:多様性はどのように可視化されてきたか」なる講演をした.その質疑時間に,「ミナカさんが本を書かれるときは読者層に合わせてどのよう…

「註のはなし」

マジな話,本の「註」—— 頁下や章末や巻末にまとめられているアレ —— ってどうやって “読む” べきなのか迷うことがある.本文中に註の指示があるたびにページをあちこちめくったり戻ったりするのは読書の「動線」をぶった切る行為だとワタクシは思う.ガマン…

「ISO 4: Information and documentation – Rules for the abbreviation of title words and titles of publications」

→ http://www.uai.cl/images/sitio/biblioteca/citas/ISO_4_1997en.pdf [pdf]雑誌名の略記様式に関するISO基準.この ISO 4 に準拠した雑誌名の略記リスト:ISSN-LTWA: List of Title Word Abbreviations が公開されている.ワタクシが本を書くときには,文…