『分析心理学セミナー:1925年、チューリッヒ』

カール・グスタフユング[ソヌ・シャムダサーニ,ウィリアム・マガイアー編|横山博監訳|大塚紳一郎・河合麻衣子・小林泰斗訳]
(2019年10月16日刊行,みすず書房,東京, 8 color plates + xxxvi + 213 + 38 pp., 本体価格3,600円, ISBN:9784622088431版元ページ

ワタクシの書棚の奥に重い石版のように鎮座している『赤の書』の手がかりになる講義録とのこと.とてもみすず書房らしい本.

『女王の肖像:切手蒐集の秘かな愉しみ』

四方田犬彦
(2019年10月30日刊行,工作舎,東京, 10 color plates + 285 pp., 本体価格2,500円, ISBN:9784875025139版元ページ

「月島物語」でも「由良君美」でもなく,ディープな切手蒐集に関わる私的きわまりない自伝であるところにとても惹かれる.蒐集は業である.装幀がとても上質なのでスリスリしている.

『中国くいしんぼう辞典』

崔岱遠(文)・李楊樺(画)[川浩二訳]
(2019年10月16日刊行,みすず書房,東京, xiv + 365 + VIII pp., 本体価格3,000円, ISBN:9784622088271版元ページ

秋になって “きのこ本” が豊作だなあと思ったら,今度は中国おいしい本.みすず書房,いったいどーしたんだ.読みます.

『ベトナムの大地にゴングが響く』目次

柳沢英輔

(2019年11月1日刊行,灯光舎,京都, x+311+6 pp., 本体価格2,700円, ISBN:978-4-909992-00-0 → 版元ページ著者サイト

本書はゴングが母国ベトナムの中部高原先住民族の中でどのように音楽文化として継承されてきたのかを探った研究書だ.とくに,楽器としてのゴングの音響的特徴やチューニングそして演奏法に関してとてもくわしく調べられていて興味が湧く.かつて十数年前に新宿区民オペラがプッチーニの歌劇〈トゥーランドット〉を上演したとき,ワタクシは木琴奏者(シロフォンとバス・シロフォン)として参加した.総譜には「中国ゴング(Gong Chinesi)」を用いるよう指定されているが,この上演に際しては12個ひとそろいのベトナム製ゴングセットをレンタルした(→ 日録2006年8月27日).オーケストラピットの背後からゴングの音圧に終始押された体感を今でも覚えている.本書を手に取ったのもきっと何かのご縁だろう.


【目次】
カラー口絵(4 pp.)
凡例 vi
動画リスト・音声リスト vii

第1章 ゴングに魅せられて 1
第2章 ベトナムのゴング文化 45
第3章 ゴングを奏でる 71
第4章 ゴングの演奏機会 109
第5章 ゴングを作る 149
第6章 ゴングを調律する 195
第7章 ゴングの音を分析する 227
第8章 ゴング演奏を分析する 249
第9章 ゴング文化を守る 269

おわりに 283

参考文献・資料 287
付録 301

あとがき 307

人名索引 [5-6]
事項索引 [1-4]

『東洋/西洋を越境する:金森修科学論翻訳集』目次

金森修小松美彦・坂野徹・隠岐さや香編]
(2019年10月10日刊行,読書人,東京, 1 plate + xvi + 187 + 51 pp., 本体価格3,800円, ISBN:9784924671416版元ドットコム

あえて釣り上げた.ダーウィニズムと進化学に関する大辞典として稀有の規模を誇る Patrick Tort (ed.) 1996. Dictionnaire du darwinisme et de l'évolution(全3巻)PUF, Paris に寄稿された金森修の分担項目も訳出されている.


【目次】
口絵
推薦の辞 —— 越境のスリル、そして輝き[芳賀徹] i
まえがき[小松美彦] iii
第1章 宮沢賢治――ある詩人の物質的読解[隠岐さや香訳] 3
第2章 ガストン・バシュラールにおける実験装置の科学認識論[近藤和敬訳] 33
第3章 一瞬の形態を固定する(ベルクソン論)[山口裕之訳] 57
第4章 ある「改革派」農民の肖像――二宮尊徳をめぐって[東慎一郎訳] 79
第5章 日本の「社会ダーウィニズム」の思想家(加藤弘之論)[田中祐理子訳] 115
第6章 丘浅次郎  一八六八‐一九四四年[田中祐理子訳] 137
第7章 下村寅太郎とその機械観[香川知晶訳] 157
第8章 リスクと不安[田口卓臣訳] 171

金森修 研究業績一覧[稲田祐貴作成] [4-51]
金森修 略年譜[奥村大介作成] [2-3]
初出一覧 [1]

『地質学者ナウマン伝:フォッサマグナに挑んだお雇い外国人』目次

矢島道子
(2019年10月25日刊行,朝日新聞出版[朝日選書・990],東京, 4 color plates + viii + 320 + 45 pp., 本体価格1,700円, ISBN:9784022630902版元ページ

ナウマンナウマンゾウだけではなかった!」と言われたら手に取るしかないじゃない.


【目次】
カラー口絵(4 pp.)
はじめに 3
第1章 「日本へ行ってみるかい」 一八五四 – 七五 7
第2章 フォッサマグナとの出会い 一八七五 – 七六 25
第3章 お雇い外国人による地質調査競争 一八七六 – 七七 39
第4章 東京大学地質学科初代教授 一八七七 – 七八 71
第5章 地質調査所の創設へ 一八七八 – 八〇 97
第6章 結婚、決闘、離婚 一八八〇 – 八二 125
第7章 地質調査、そして地質調査 一八八二 – 八四 171
第8章 日本地質図の完成へ 一八八四 – 八五 205
第9章 帰独、凱旋講演、森鴎外との論争 一八八五 – 八八 233
第10章 日本は遠く 一八八七 – 一九二七 273
おわりに 307

用語解説 309
エドムント・ナウマン略年譜 312
ナウマン著以外の引用文献 [39-45]
ナウマンの著作目録 [31-38]
注 [14-30]
索引 [1-13]

『小檜山賢二写真集 TOBIKERA』読売新聞書評

小檜山賢二
(2019年7月19日刊行,クレヴィス,東京, 127 pp., 本体価格4,500円, ISBN:9784909532299版元ページ

読売新聞ヴィジュアル評が公開された:三中信宏小檜山賢二 写真集「TOBIKERA」 」(2019年10月20日掲載|2019年10月30日公開)



 真っ黒な表紙に『TOBIKERA』とだけ書かれた書名を見てもほとんどの読者には何のことだかわからないだろう。しかし、あえて先入観なしに、美麗な深度合成カラー写真の数々を鑑賞する方がかえって効果的だ。

 この稀有な写真集の被写体は、ほんの数ミリから数センチという微小な“自然の芸術的形態”だ。その精緻きわまりないヴィジュアルデザインは、微細な砂粒を城壁のようにきっちり石組みし=写真=、落ち葉をみごとな曲線で切り出して綴り合わせ、小枝を彫刻のように組み上げたオブジェとして形づくられている。写真なのに思わず触りたくなるリアリティーは読む者の目を惹き付けてやまない。/p>

 これらの秀逸な“アート”がトビケラという虫の水生幼虫の巣だとはきっと想像もできないだろう。名もなき“昆虫アーティスト”たちはかくもみごとな“延長表現型”の作品群を渓流のなかで創り続けている。(クレヴィス、4500円)

三中信宏[進化生物学者]読売新聞書評(2019年10月20日掲載|2019年10月30日公開)