『読書とは何か —— 知を捕らえる15の技術』一期一会の読書術(24)

三中信宏
(2022年1月30日刊行予定,河出書房新社河出新書・046],東京, 292 pp., 本体価格880円, ISBN:978-4-309-63147-9コンパニオンサイト目次版元ページ

『進化と人間行動・第2版』目次

長谷川寿一長谷川眞理子・大槻久
(2022年4月20日刊行,東京大学出版会,東京, vi+331 pp., 本体価格2,500円, ISBN:978-4-13-062230-1版元ページ

実に22年ぶりの改訂とは.


【目次】
第2版まえがき i

I 進化とは何か 1

第1章 人間の本性の探求 3
第2章 古典的な進化学 25
第3章 現代の分子進化学 47
第4章 「種の保存」の誤り 75

II 生物としてのヒト 97

第5章 霊長類の進化 99
第6章 人類の進化 119
第7章 ヒトの生活史戦略 143
第8章 血縁淘汰と家族 159
第9章 血縁によらない協力行動の進化 193
第10章 雄と雌:性淘汰の理論 219
第11章 ヒトにおける性淘汰 245

III 心と行動の進化 273

第12章 ヒトの心の進化へのアプローチ 275
第13章 ヒトにおける文化の重要性 293

 

引用文献 311
人名索引 325
事項索引 327

『読書とは何か —— 知を捕らえる15の技術』一期一会の読書術(23)

三中信宏
(2022年1月30日刊行予定,河出書房新社河出新書・046],東京, 292 pp., 本体価格880円, ISBN:978-4-309-63147-9コンパニオンサイト目次版元ページ

『皮膚、人間のすべてを語る:万能の臓器と巡る10章』目次

モンティ・ライマン[塩﨑香織訳]
(2022年5月9日刊行,みすず書房,東京, x+ 270 +xxxiv pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-622-09092-2版元ページ


【目次】
名称と用語について i
プロローグ 1
第1章 マルチツールのような臓器:皮膚の構造とはたらき 7
第2章 皮膚をめぐるサファリ:ダニやマイクロバイオームについて 31
第3章 腸感覚:身体の内と外のかかわり 56
第4章 光に向かって:皮膚と太陽をめぐる物語 84
第5章 老化する皮膚:しわ、そして死との戦い 111
第6章 第一の感覚:触覚のメカニズムと皺 132
第7章 心理的な皮膚:心と皮膚が互いに及ぼす影響について 169
第8章 社会の皮膚:刻んだ模様の意味 196
第9章 分け隔てる皮膚:ソーシャルな臓器の危険な側面──疾病、人種、性別 221
第10章 魂の皮膚:皮膚が思考に及ぼす影響──宗教、哲学、言語について 250

 

謝辞 264
本書に寄せて[椛島健治] 267
参考文献 [xvi-xxiv]
用語解説 [vii-xv]
索引 [i-vi]

『Index, A History of the: A Bookish Adventure』書評

Dennis Duncan
(2021年9月刊行,Allen Lane / Penguin Books, London, xii+340 pp., ISBN:978-0-241-37423-8 [hbk] → 目次版元ページ

これまでの読書メモをまとめて束ねました.

【書評】※Copyright 2022 by MINAKA Nobuhiro. All rights reserved

索引は “人格” をもっている

索引(インデックス)の歴史的成立,地道な索引づくりを手掛けてきた索引作成者(インデクサー)たちの人間模様,そして “検索マニア” が蔓延する現状を論じる.

 

序章「Introduction」(pp. 1-17)冒頭から「索引のない本なんて想像できるか」と書かれていて,首がもげそうなほどうなずいている.単に「Ctrl+F」ですむ話ではない.続く第1章「Point of Order — On Alphabetical Arrangement」(pp. 19-47)では,アルファベット順の「目次(index)」のもつ機能と「目次作成者(indexer)」の深謀遠慮(あるいは陰謀)について,さまざまな事例を散りばめながら論じられている.

 

第2章「The Birthes of the Index — Preaching and Teaching」(pp. 49-84)からは「目次」の歴史をたどる.13世紀イングランド神学者 Robert Grosseteste は「tabula」を用いて書物に記された概念と体系を整理しようとした.また,同時代のフランスの神学者 Hugh of St Cher も用語索引(コンコーダンス)を発明した.目次(table of contents)は本の内容を順序立てて示すのに対し,索引(index)は順序にはこだわらない.たとえば,Grosseteste が作成した「Tabula distinctionum」(p. 70)は “事項索引” に相当するものだった.それは一冊の本にとどまらず,複数の関連本の索引でもあった.13世紀に同時多発的に生じた「索引」というシステムは,読書(読者)のための “位置づけ(locate)” の便宜を図るためにあった.

 

第3章「Where Would We Be Without It? — The Miracle of the Page Number 」(pp. 85-112)では,冊子体の本の「ページ付け」について考察される.索引が各項目の “位置” のリストであるならば,その位置の標識となるのは “ページ” である(p. 88).中世から現代にいたるまで,紙の本ならばページが付けられる.これに対して現代のリフロー型の電子本では,たとえばキンドルの「loc#」のようなまったく別のロケーターが必要になる(p. 99).最初の索引は Johannes Gutenberg と同時代(15世紀)の Werner Rolevinck (p. 86)と Peter Schöffer だった(p. 102).冊子体におけるシートとページの関係(pp. 106-108)はとてもわかりやすい.

 

第4章「The Map or the Territory — The Index on Trial」(pp. 113-135)では,索引づくりの試行錯誤の歴史をたどる.索引のできがよければ,読書への時間の投資の可否を的確に判断できる(p. 117).索引を “読む” ことで,その本の全体的内容を把握できるだろう(p. 119).その索引はテクストではなくヴィジュアルに描かれた事例もある(p. 120).あえて,目次を付けないことをセールスポイントにした本もあった(p. 123).索引は本文の “後” に付けるものと現代の読者は先入観をもつが,逆に本文の “前” でもいいじゃないかと Conrad Gessner は考えたらしい(p. 128).索引の機能と形態がまだ不確定だった時代の話だ.

 

第5章「‘Let No Damned Tory Index My History’ — Sparring in the Back Pages」(pp. 136-170)では,索引づくりを仕事とする “インデクサー” が登場する.インデクサーの(ときに政治的な)主義主張が索引の仕上がりは大きく変わる.著者は17世紀の Charles Boyle と Richard Bentley の事例(pp. 142 ff.)を挙げ,インデクサー William King による索引を分析する.続いて,King は1660年創刊の王立協会学術誌 Philosophical Transactions の索引づくりをも手掛けた.時代が下ると索引づくりを専業とするインデクサーが現れるようになる(p. 163).

 

第6章「Indexing Fictions — Naming was Always a Difficult Art」(pp. 171-202).小説に索引が付く例はワタクシは知らないが,本章ではその事例が挙げられている.たとえば,Lewis Carroll の 家族誌 Rectory Magazine の目次にはインデクサーの署名が入っている(p. 179). “索引の索引” (p. 195)なるものまである.フィクションの索引はそれ自体が “作品” であると著者はみなしているようだ.

 

第7章「A Key to All Knowledge — The Universal Index」(pp. 203-229)では,「普遍索引(The Universal Index)」なる概念が出てくる.複数の書物にまたがる索引を作成することにより,ある分野全体のチャートをつくろうという大規模な目論見だ(p. 211).19世紀後半にはライブラリアンの国際会議が開催され,普遍索引をどのように作成するかが議論されたという(pp. 209 ff.).その気運は「索引学会(the Index Society)」という学会の創立にいたった.広範な知識の樹(tree of knowledge: p. 218)の体系化としての普遍索引の意義はともかく,その実践には解決すべき問題が山積していたので,けっきょく数年後にはこの学会はなくなってしまったという(p. 219).その一方で,複数の雑誌を横断的に総括する索引づくりはライブラリアン個人の仕事としてこつこつ続けられた.その一例として,William Poole による長年にわたる雑誌索引の業績が挙げられている(pp. 221-228).

 

第8章「Ludmilla and Lotaria — The Index in the Age of Search」(pp. 230-260)は本書全体の総括に当たる部分だ.本を読むことと索引づくりとはまったくの別物だ(pp. 230, 232).インデクシングはインデクサーによる本の内容の “分析” という介入が不可欠だからだ.コンピューターを用いてコンコーダンスを自動作成するアプリはすでに出回っている.しかし,そのようにしてつくられたコンコーダンスはそのまま索引として使えるわけではない.現在では「インデクサー協会(the Society of Indexers')」(p. 258)が活動していて,インデクシングの技法は長足の進歩を遂げている.今なお索引づくりにはインデクサーの “人力” が必要とされている(p. 250).そのときインデクサーの大半は “無名の” 女性であるという現実は認識するべきだ(p. 260).著者は歴史に名を残さなかった数多の女性インデクサーたちに今ふたたび光を当てるべきだと言う.1950年代以前は「コンピューター(computer)」といえば,機械としての「計算機」ではなく,生身の人間としての「計算者」だった(Cf: David Alan Grier 2005. When Computers Were Human. Princeton University Press, Princeton).その計算者としての仕事を担ったのもやはり “無名の” 女性が大半だった.

 

最後の「Coda — Archives of Reading」(pp. 261-270)は,索引の本質を簡潔に述べている:「索引には人格(personality)がある.それに対して,コンコーダンスや検索バーには人格はない」(p. 264).巻末の「Appendix: A Computer-generated Index」(pp. 303-307)にはアプリを使ってコンピューターで自動生成された索引が掲載されている.インデクサーによるチェックが入らないと明らかな間違いや不都合がそのまま残ってしまう.他方,専門のインデクサーである Paula Clarke Bain の手になる32ページにも及ぶ索引「Index」(pp. 309-340)が付けられている.機械生成された索引とマニュアルでつくられた索引とのちがいは誰の目にも歴然としている.

 

ワタクシは本書で初めて索引づくりの歴史を知った.一年前から手元にあるインデクシングの教科書:Nancy C. Mulvany『Indexing Books, Second Edition』(2005年11月刊行, The University of Chicago Press[Chicago Guides to Writing, Editing, and Publishing], Chicago, xiv+315 pp., ISBN:0-226-55276-4 [hbk] → 目次版元ページ)を手にとる意欲がやっと湧いてきたように感じる.

 

なお,カバージャケットの「アルファベットの樹」の出典はこちら:Geiler von Kaysersberg 1490. Wikimedia Commons [jpeg]

 

三中信宏(2022年5月12日公開)

『読書とは何か —— 知を捕らえる15の技術』一期一会の読書術(22)

三中信宏
(2022年1月30日刊行予定,河出書房新社河出新書・046],東京, 292 pp., 本体価格880円, ISBN:978-4-309-63147-9コンパニオンサイト目次版元ページ

『わたしの学術書:博士論文書籍化をめぐって』目次

春風社編集部(編)
(2022年4月15日刊行,春風社,横浜,494+vi pp., 本体価格2,000円, ISBN:978-4-86110-761-0版元ページ

58名の著者が学位論文を “本” として春風社から出版した経緯をつづる.知らない学問分野ばかりだがおもしろい.500ページで2000円という価格設定に驚倒するワタクシ.


【目次】
はじめに:砂時計のオリフィスとして(三浦衛) 9

 

1. 時を経ても 田中典子(言語学) 13
2. 批判的思考への入口 石川文也(言語学) 21
3. 研究者人生の「背骨」 水野剛也(歴史学) 31
4. より多くの読者に届けるため 渡部森哉(中南米考古学) 39
5. 遠い遠いプーシキンへの道 小林実(日本近代文化史) 47
6. ゾラと荷風とオペラとわたし 林 信蔵(日仏比較文学 55
7. 出版から広がる人の輪 岡本亮輔(宗教学) 63
8. 自論を見直し磨く訓練 金香淑(神話研究) 71
9. 様々な機会への扉 石黒武人(異文化コミュニケーション学) 79
10. 偶然の翼に乗って 花本知子(イタリア現代文学) 87
11. 失われるもの、ひらかれるもの 平畑奈美(日本語教育) 95
12. 教わる、教えるの連鎖のなかで 山口未花子(文化人類学) 103
13. 新たな研究に踏み出すため 吉田早悠里(文化人類学) 111
14. 学問を実践につなげる手段として 岩崎大(哲学) 121
15. わたしはなぜ「出かける」のか 土井清美(文化人類学) 129
16. ありのままの姿を描く 金縄初美(文化人類学) 137
17. たびたびの奇縁 四方田雅史(近代日本・アジア経済史) 145
18. 研究の節目として 内村琢也(日本宗教学) 153
19. 新しい学問領域を開拓する魅力 牧野冬生(文化人類学) 161
20. 書くことで現在地を知る 奥田若菜(文化人類学) 169
21. 学術書が築いてくれる縁 石垣千秋(比較政治) 177
22. 時間をかけて向き合う 田中英資(社会人類学) 185
23. 「ご縁」に導かれて 那須理香(比較文化) 193
24. 「見る」を考える本は手触りを大事にした 宗洋(英文学・映像メディア) 203
25. 軛であり翼であり 村上晶(宗教社会学) 211
26. 弟との対峙 杉田浩崇(教育学) 219
27. 敗者を記録する 住江淳司(歴史学) 227
28. それは一つの質問から 栗田奈美(認知言語学) 235
29. 「遅い」は理由にならない 福井崇史(一九世紀末アメリカ文学) 243
30. 「プラットフォーム」から次へ 早川公(文化人類学) 251
31. それは倫理だった 橋本憲幸(国際教育開発論・教育哲学) 259
32. 「日本」を相対化する 芳賀理彦(比較文学) 269
33. つながりを書く、つながらないことを書く 椿原敦子(文化人類学) 277
34. 教育の公共性と正義を求めて 生澤繁樹(教育哲学) 285
35. 「憧れと錯覚」が生み出すもの 関根裕子(ウィーン世紀転換期文学) 295
36. それは番付の整理から始まった 寺田詩麻(演劇学) 305
37. 国際的な発信を目指して 阪本公美子(開発学) 313
38. フィールドでの約束 茶谷智之(文化人類学) 321
39. 付箋への応答 坂本薫(日本語学) 329
40. わずかな、始まりの一歩 石田智恵(文化人類学) 337
41. 学問領域の境界を超える 外山健二(アメリカ文学・英語文学) 345
42. 書くことによる人間形成 山田直之(教育哲学) 353
43. 女性の尊厳を考える 甲斐田きよみ(ジェンダーと開発) 361
44. 教える立場の語りを伝える 瀬尾悠希子(日本語教育学) 369
45. 子どもと一緒に本を生む 問芝志保(宗教学) 377
46. そこから何かが始まる 佐藤憲一(アメリカ文学) 385
47. 結び、そして繋ぐ 埋忠美沙(演劇学) 393
48. ともに成長する 横田祥子(社会人類学) 401
49. 行雲流水の研究歴 吉田亞矢(アメリカ文学) 411
50. 書籍化への原動力の源は 石原美奈子(文化人類学) 421
51. 民衆の視点から捉える民族対立 眞城百華(エチオピア史)431
52. 女子教育の行く末を探る 山内由賀(フランス女子教育史)439
53. 書籍というモノになること 中村美帆(文化政策研究) 447
54. タイトルという指標 長岡慶(医療人類学) 455
55. 学際的な研究への架け橋 坂口真康(教育社会学・比較教育学)463
56. 分岐点に戻る 小川史(社会教育史) 471
57. そのスケールの大きさ 佐藤陽祐(現代哲学) 479
58. スリルを味わう 島克也(現代アメリカ文学) 487

 

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