『菌類の隠れた王国——森・家・人体に広がるミクロのネットワーク』日経サイエンス書評

キース・サイファート[熊谷玲美訳]
(2024年6月24日刊行、白楊社、東京, 351 pp., 本体価格2,700円, ISBN:978-4-8269-0260-1目次版元ページ

ワタクシの書評は日経サイエンスの最新号2024年11月号に掲載される:三中信宏「【書評】つながる広がる菌類の輪」p. 109。

『統計学再入門 —— 科学哲学から探る統計思考の原点』目次

森元良太
(2024年9月30日刊行、近代科学社[〈統計スポットライト・シリーズ〉第7巻]、東京, 本体価格3,000円, ISBN:978-4-7649-0707-2版元ページ


【目次】
統計スポットライト・シリーズ刊行の辞[島谷健一郎・宮岡悦良] i
まえがき iii

1. 統計学を使うときに抱く後ろめたさ:帰納推論

 1.1 統計学的推論の中核は帰納 1
 1.2 帰納の諸問題 16

2. 帰納がもたらす後ろめたさへの対応策

 2.1 ポパー反証主義による対応策 29
 2.2 ベイズ主義による対応策 34

3. 統計思考にまつわるモヤモヤ感:誤差論的思考と集団的思考

 3.1 アリストテレスの自然状態モデル 53
 3.2 誤差論的思考 57
 3.3 集団的思考 75

4. 帰無仮説有意性検定を使うときに抱くモヤモヤ感:有意性検定と仮説検定

 4.1 検定理論の繰り返される誤解と誤用 97
 4.2 フィッシャー流の有意性検定 103
 4.3 ネイマン-ピアソン流の仮説検定 122
 4.4 フィッシャー流の有意性検定とネイマン-ピアソン流の仮説検定の違い 144

 

あとがき 166
参考文献 169
索引 179

『穢れた聖地巡礼について』読了

背筋
(2024年9月3日刊行,KADOKAWA,東京, 8 color plates + 280 pp.,本体価格1,300円, ISBN:978-4-04-738044-8版元ページ

前著:背筋『近畿地方のある場所について』(2023年8月30日刊行,KADOKAWA,東京, 334 + 袋綴じ取材資料[8 pp.],本体価格1,300円, ISBN:978-4-04-737584-0感想版元ページ)に続く第二弾。イッキ読みで読了したが、回収されないままのプロットが残されたように感じた。そこがまたよい(=コワい)のかも。

『忘れられた日本人』感想と目次

宮本常一
1984年5月16日刊行、岩波書店岩波文庫・青164-1])、東京, 334 pp., 本体価格553円, ISBN:4-00-331641-X版元ページ

ワタクシが本書を読んだのはいつだろうかと検索してみたら、なんと四半世紀前の2001年12月10日にかつてのオンライン書店 bk1 に書評を投稿していた事実が判明した。読んだだけではなかった。もちろん、当時の書評リンクはとっくに消え去っているが、手元にある書評原稿をここにそのまま再録しておこう。



「仄暗い実話」の数々

本書のすべては実話なのだが,まさに民話のようだ.聞き取りをした著者の表現が魅力的なことももちろんだが,話し手の話力がとりわけ印象的.同時代にタイムスリップできたとしたら,さしずめ「現代民話」集とでも呼べるものなのかもしれない.「土佐源氏」や「土佐寺川夜話」が漂わせる仄暗さは,最近経験したことのないタイプのものだ.

宮本常一は,「私の祖父」や「世間師」では舞台上で自らを語っているが,それを除けば.背景で歩き回りながら黒衣に徹している.

今の社会に残されている「現代民話」も,あと数十年もすれば,こういう色合いが着いてくるのか,それとも消えていくだけか.


【目次】
凡例 5
対馬にて 11
村の寄り合い 36
名倉談義 59
子供をさがす 100
女の世間 105
土佐源氏 131
土佐寺川夜話 159
梶田富五郎翁 171
私の祖父 193
世間師(一) 214
世間師(二) 238
文字をもつ伝承者(一) 260
文字をもつ伝承者(二) 282
あとがき 304
注(田村善次郎) 311
解説(網野善彦) 321

『『忘れられた日本人』の舞台を旅する——宮本常一の軌跡』読了

木村哲也
(2024年7月20日刊行、河出書房新社河出文庫・き17-1]、東京, 343 pp., 本体価格980円, ISBN:978-4-309-42125-4目次版元ページ

読了。宮本常一の故郷・周防大島は松山の対岸にある。本書に登場する土佐の檮原、内子や大洲など西予・南予の地名がすぐわかるのは高校周りしたからかも。そういえば、宮本常一忘れられた日本人』(1984年5月16日刊行、岩波書店岩波文庫・青164-1])、東京, 334 pp., 本体価格553円, ISBN:4-00-331641-X版元ページ)をワタクシが読んだのはいったいいつの頃だっただろうか。

『現代思想2024年10月臨時増刊号 総特集=ダニエル・C・デネット――1942-2024 意識と進化の哲学』目次

青土社
(2024年9月6日刊行、青土社、東京, 278 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-7917-1470-4版元ページ

ワタクシの寄稿:三中信宏「『ダーウィンの危険な思想』再読 —— 万能酸、スカイフック、クレーン」(pp.62-70)。


【目次】

discussion

ツールボックスとしてのデネット――その哲学的遺産を引き継ぐ[木島泰三戸田山和久] 8

free will

愛すべき煮え切らなさと、嘆くべき戯画化――デネット/カルーゾー/戸田山の自由意志論[青山拓央] 22
デネットの自由意志論[山口尚] 33
デネットと操作論証――『自由意志対話』読解[高崎将平] 47

evolution

ダーウィンの危険な思想』再読――万能酸、スカイフック、クレーン[三中信宏] 62
ハードな工学的世界観から、やわらかな有機的世界観へ[鈴木大地] 71
ライフモードとマインドモード――知性モデル試論[下西風澄] 84

essay

デネットを三たび肯定する――批判者、調停者、職人のための職人[吉川浩満] 106

(non-)religion

無神論と科学、そして無知でいる権利――ダニエル・デネットの逝去に想うこと[塚原東吾] 108
無神論運動は現代社会に何を遺したか[藤井修平] 121

consciousness

パターンの哲学者としてのデネット[ジミー・エイムズ] 135
意識にクオリアはいらない――ラッセル的一元論がデネットから学ぶべきこと[髙村夏輝] 154
届かない応答――「デネットフッサール」とその余白[植村玄輝] 168
デネットの志向的スタンス論と素朴心理学の二面性[藤原諒祐] 183
デネットをWEターンする――「有用な虚構としての自己」から「多層的わたし」へ[出口康夫] 197

desert

刑罰を語るデネット――カルーソーとの『自由意志対話』を読む[十河隼人] 210
「HAL」がしたこと ロボット責任論序説、のようなもの[太田雅子] 225

speculative realism

アルゴリズム進化へ――デネット、グールド、ホワイトヘッド、メイヤスーをめぐって[飯盛元章] 237
追悼不可能性――デネット自然主義と思弁的実在論のあいだで[仲山ひふみ] 251

bibliography

デネット主要著作解題[木島泰三] 261

『南方熊楠の生物曼荼羅——生きとし生けるものへの視線』目次

志村真幸[編著]
(2024年2月26日刊行、三弥井書店、東京, IV+vi+325 pp., 本体価格2,800円, ISBN:978-4-8382-3414-1版元ページ


【目次】
南方熊楠への招待状 i
第1章 自由ミナカタ学[安田忠典] 1
第2章 「南方二書」と紀南の神社林[田村義也] 15
第3章 「南方二書」と紀伊半島の森林の現在[土永知子] 26
第4章 神社合祀反対と継承される獅子舞――南方熊楠と上富田の神社[三村宣敬] 72
第5章 蟻のマンダラ――高山寺蔵新出土宜法龍宛南方熊楠書簡一通[末木文美士] 105
第6章 けものたちへの視線――世界の動物園・博物館をめぐる旅[松井竜五] 124
第7章 熊楠と菌類図譜[細矢剛] 163
第8章 南方熊楠コレクション――エコロジストとしての視点を探る[吉村太郎] 191
第9章 南方熊楠と同時代の生物学者たち[郷間秀夫] 227
第10章 絶滅に抗う方法――オオカミと「地域絶滅」という問題[志村真幸] 260
あとがき 321

『菌類の隠れた王国——森・家・人体に広がるミクロのネットワーク』目次

キース・サイファート[熊谷玲美訳]
(2024年6月24日刊行、白楊社、東京, 351 pp., 本体価格2,700円, ISBN:978-4-8269-0260-1版元ページ


【目次】
序文[ロブ・ダン] 11
菌類の名称について 17
イントロダクション ダストの中の多様性 21

第I部 隠れた世界

第1章 コロニーの中の生活……菌類の進化 37
第2章 ともに生きる生物……相利共生から寄生、生物学的侵入まで 65

第II部 菌の惑星

第3章 森……木を見て菌を見る 93
第4章 農業……世界で七番目に古い職業と菌類 131
第5章 発酵……食品、飲料、堆肥 163
第6章 秘密のすみか……菌類と屋内環境 199
第7章 ホロビオント……マイコバイオームとヒトの体 221

第III部 菌糸革命

第8章 マイコテクノロジー……菌類のある暮らし 247
第9章 高度一万メートル……菌類と地球の持続可能性 279

 

謝辞 301
訳者あとがき 304
付録 菌類の分類 308
原注 [331-320]
参考文献 [346-332]
索引 [351-347]

『落語速記はいかに文学を変えたか』目次

櫻庭由紀子
(2024年3月31日刊行、淡交社、京都, 223 pp., 本体価格1,900円, ISBN:978-4-473-04586-7版元ページ


【目次】
はじめに 2

1章 演芸速記と言文一致の誕生 11

速記第一号!怪談牡丹燈籠 12
三遊亭圓朝が明治にもたらしたもの 22
小説とは何か 文壇の試行錯誤 31
二葉亭四迷の予想外な成功 39
夏目漱石と大衆の笑い 49

2章 高座を「読む」人情噺 59

やまと新聞と演芸速記 60
消えた江戸の幽霊、累とお岩 72
速記雑誌の誕生 85
新聞社同士の攻防戦 94

3章 「伝える」ための試行錯誤 105

江戸後期から幕末までの口語体 106
江戸っ子と文芸 117
高座の再現と独自性の表現 128
速記と芸人 138

4章 小説と話芸速記の境界線 147

演芸から小説、小説から演芸 148
伝説の『百物語』を読む 157
書き講談・立川文庫から大衆文学へ 166
探偵小説誕生前夜 179
涙香以降の名探偵たち 188

5章 演芸速記を読んでみると 199

絶滅危惧種の速記本 200
落語は文学か 207

 

おわりに 214
参考文献 219

『『忘れられた日本人』の舞台を旅する——宮本常一の軌跡』目次

木村哲也
(2024年7月20日刊行、河出書房新社河出文庫・き17-1]、東京, 343 pp., 本体価格980円, ISBN:978-4-309-42125-4版元ページ


【目次】
はじめに 3
1 ふるさとの島より――「私の祖父」「世間師(一)」山口県大島郡東和町長崎(現周防大島町)の旅 15
2 世間師に会いにゆく――「世間師(二)」大阪府河内長野市滝畑の旅 50
3 文字をもつということ――「文字をもつ伝承者(一)」島根県邑智郡瑞穂町田所鱒渕(現邑南町)の旅 87
4 篤農家の消えたあとで――「文字をもつ伝承者(二)」福島県いわき市平北神谷の旅 113
5 それぞれの「土佐源氏」――「土佐源氏高知県高岡郡梼原町茶や谷の旅 139
6 山に生きる人びと――「土佐寺川夜話」高知県土佐郡本川村寺川(現吾川郡いの町)の旅 176
7 海をひらいた人びと――「梶田富五郎翁」長崎県下県郡厳原町浅藻(現対馬市)の旅 201
8 島の文化――「対馬にて」「村の寄りあい」長崎県上県郡上県町伊奈・佐護・佐須奈(現対馬市)の旅 225
9 現代版「名倉談義」――「名倉談義」愛知県北設楽郡設楽町名倉の旅 256
10 ふたたび島へ――「女の世間」「子供をさがす」山口県大島郡東和町長崎・沖家室島、久賀町(現周防大島町)の旅 290
参考文献 320
おわりに 327
文庫版あとがき 334
[解説]若い頃に、こんな旅をしていたら 赤坂憲雄 338