『宮本常一:逸脱する民俗学者』読了

『宮本常一:逸脱する民俗学者』
岩田重則
(2024年5月30日刊行、河出書房新社、東京, 304 pp., 本体価格2,800円, ISBN:978-4-309-25759-4 → 目次|版元ページ)

読了。たくさんの著書・論考を書き続けた宮本常一だったが、彼の生涯をたどることで、ある著作がいつどういう状況で書かれたのか、背後の事情や相互のつながりはどうだったかが見えるとてもいい伝記だった。こういう「著作マップ」はほんとうは著者自身が書くのがいいとワタクシは思うが、生きるのに忙しすぎた宮本常一にはそういう時間はきっとなかったのだろう。

『フォルモサ南方奇譚』目次

『フォルモサ南方奇譚』
倉本知明
(2025年4月20日刊行、春秋社、東京, 16 color plates + xiv + 350 pp., 本体価格2,500円, ISBN:978-4-393-42463-6 → 版元ページ)


【目次】
カラー口絵(16 pp.)
はじめに i
1 羅漢門の皇帝陛下 3
2 客家と仮黎 よそ者たちが唱った故郷 19
3 清あるを知って日本あるを知らず 六堆客家興亡史 33
4 左営旧城三百年のマジナイ 49
5 高雄版ドラゴンクエスト 曹公と龍の母子たち 65
6 伝説の黄金郷を探して 83
7 浸水営古道クロニクル 忘れられた騒乱 99
8 亡霊たちの眠る町 タイワンザルと博物学者 121
9 荖濃渓サバイバル 帰ってきた紅毛の親戚と合従連衡するマイノリティ 137
10 瑯嶠八宝公主譚 カミさまとなったおひいさま 155
11 1871漂流民狂詩曲 177
12 ワタシハダレ? 台湾出兵と忘れられた拉致事件 201
13 「鬼」をもって神兵となす 223
14 神を燃やす 241
15 土匪と観音、ときどきパレスチナ 261
16 フォルモサ水滸伝 285
17 生きべくんば農民と共に、死すべくんば農民のために 315

主要参考文献 345

『宮本常一:逸脱する民俗学者』目次

『宮本常一:逸脱する民俗学者』
岩田重則
(2024年5月30日刊行、河出書房新社、東京, 304 pp., 本体価格2,800円, ISBN:978-4-309-25759-4 → 版元ページ)

道後樋又の大学図書館には “宮本常一本” がたくさんあるので、伝記を一冊借りてきた。2013年8月刊行の旧版『宮本常一:逸脱の民俗学者』(河出書房新社)の改題新装版。


【目次】
はじめに 1

第 I 章 故郷周防大島からの出発 11

 生活体験の客体化 11
 調和と共同 15
 生活体験の延長線上に 35

第 II 章 逸脱の「民俗誌」学者 66

 柳田民俗学と渋沢民具学の学習 66
 地域「生活誌」学者としての出発 108
 保守主義者としての完成 138

第 III 章 創造的人文科学者の誕生 164

 社会経済史学者としての再出発 164
 保守主義者のかなしみ・疑問・批判 201
 総合社会史学としての完成 237

むすび 281
註 288
参考文献 294
あとがき 303

『動物系統分類学』着弾!

『動物系統分類学』
柁原宏・島野智之(編集主幹)|岡本卓・自見直人・中野隆文・松沼瑞樹・山崎博史(編)
(2026年9月10日刊行、中山人間科学振興財団/中山書店、東京, xxviii+1,499 pp., 本体価格4,500円, ISBN:978-4-521-75157-3 → 版元ページ|twitter(𝕏))

このページ数でこの値段は文字通りの価格破壊本。

『紙の上で考えることの歴史——手帳が人類にもたらしたもの』目次

『紙の上で考えることの歴史——手帳が人類にもたらしたもの』
ローランド・アレン[小林玲子訳]
(2026年9月4日刊行、柏書房、東京, 518 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-7601-5677-1 → 版元ページ)


【目次】
序章 7
第1章 ノート以前  地中海――紀元前一〇〇〇年~西暦一二五〇年 13
第2章 赤い本、白い本、布の本  会計学の誕生――一二九九年、プロヴァンスとフィレンツェ 33
第3章 「小さなノートに簡単な線で描いて……」  スケッチブック――フィレンツェ、一三〇〇~一五〇〇年 51
第4章 リコルディ、リコルダンツィ、ジバルドーネ  家庭のノート――フィレンツェ、一三〇〇~一五〇〇年 69
第5章 アレキサンドリアの胡椒  ロードス島のミカーリの書――一四三四年、ヴェネツィア 87
第6章 放埓な妻たち、羊毛でふさがれた口  イギリスに上陸したノート――一三七二~一五一七年 107
第7章 LHD二四四の長い生涯  声を揃えて歌う――一四五〇~一六〇〇年頃、ボローニャ 119
第8章 「ああ、これでは何ひとつ仕上がらない……」  イタリアのノート使いの二紳士――一四五五~一五一九年 127
第9章 「おお、他人の話を記録する忍苦と労力よ!」  コモンプレイス・ブック――一五一二年~現在 157
第10章 「一番目と二番目の海峡は東から西へと延びている」  大航海時代――一五一九~二二年 175
第11章 ニシンの王   魚の書 ――一五七〇年、オランダ 187
第12章 「下らぬ阿蘭陀の流行りよ!」  友情の本――一六四五年、北ヨーロッパ 197
第13章 「旅の途中で愛した名品」  技術観察――一五九八年、ドイツおよびイタリア 207
第14章 「永く留まってはならぬ」  旅人とノート――一四七〇年~現在 217
第15章 継父と息子の雑記帳  数学――一六一二年、リンカーンシャー 241
第16章 二冊の黒いスクラップブック  フーケとコルベール――一六六一~八〇年、パリ 259
第17章 「わずか一八ペンスの現金……そしてテーブルブック」  テーブルブック――一五二〇~一六七〇年代、イギリスとオランダ 275
第18章 アホウドリを撃つな  航海記――一六九九年、ロンドンからアモイへ 289
第19章 「私が思うに」  博物学者のノート――一五五一~一八五九年 301
第20章 心の支えと慰め  日記の時代――一六〇〇年~現在 323
第21章 ビートを外れてはならない  イギリスの警察官のノート――一八二九年~現在 349
第22章 「イエス――歯医者は死んでいるほうがいい」  作家たちのノート――一八九四年~現在 357
第23章 保存と調理   レシピ本――一六三九年~現在 371
第24章 自分を語る  セルフケアとしての日記――一九六八年~現在 381
第25章 青、緑、赤、黄  選挙運動――一九七七~二〇〇三年、フロリダ州 393
第26章 「一筋縄ではいかない」  航海日誌――一八五〇年~現在 405
第27章 特性に合わせる  バレットジャーナル――二〇一〇年、ブルックリン 415
第28章 失われた時を求めて  患者日記――一九五二年~現在 431
第29章 「この地球上の何もノート以上に……」  ノート研究――一八八三年~現在 445
第30章 脳の異なる部位  アーティスト観察――二〇二二年 467
終章 オットー、ノートを持ち歩く  拡張された心――一九三八年~現在 479

 

謝辞 490
訳者あとがき 492
補足および文献 [507-496]
図版クレジット [510-508]
索引 [518-511]

『本棚の記憶 —— みなか先生の読書人生と〈みなか食堂〉の自炊爛漫』集音帖(12)

『本棚の記憶 —— みなか先生の読書人生と〈みなか食堂〉の自炊爛漫』
三中信宏
(2026年6月10日刊行、灯光舎[本と人生・2]、京都, xiv+277+17 pp., 本体価格2,300円, ISBN:978-4-909992-11-6 → 目次|版元ページ|コンパニオンサイト)

『オオウミガラス——種の絶滅をめぐる物語』読了

『オオウミガラス——種の絶滅をめぐる物語』
ギースリ・パウルソン[上田一生・沼田美穂子訳]
(2026年7月10日刊行、青土社、東京, 8 color plates + 382 pp., 本体価格3,600円, ISBN:978-4-7917-7764-8 → 目次|版元ページ)

読了。オオウミガラスを求めて1858年、はるばるイギリスからアイスランドに渡ったジョン・ウォリーとアルフレッド・ニュートンの二人は、生きたオオウミガラスそのものには出会えなかったが(その二十年ほど前から目撃情報はなかった)、オオウミガラスを見た・捕まえた・捌いたなどの関連情報を丹念に記録した『ゲアファウル・ノート』を遺した。

本書はウォリーとニュートンの足跡をたどりながら、人為絶滅への道を突き進んだある海鳥の最後の一羽—— “エンドリング” ——探しの歴史を掘り起こす。ウォリーは若くして早逝してしまったが、もうひとりのニュートンは、アイスランド探検から帰国してまもなくイギリス鳥学会の創設者となり、機関誌 Ibis を創刊するとともに、ケンブリッジ大学で鳥類の人為絶滅と保全施策について講義したという。本書は19世紀半ばに姿を消したと推測される絶滅種の物語でありながら、それが現代の保全生物学にもつながっていることも明らかにする。

『台湾山地を愛した女——坂口䙥子の生涯と創作』目次

『台湾山地を愛した女——坂口䙥子の生涯と創作』
小笠原淳
(2026年2月20日刊行、明石書店、東京, 277 pp., 本体価格3,000円, ISBN:978-4-7503-6073-7 → 版元ページ)


【目次】

第1部 球磨川の流れる町――八代時代

第1章 䙥子の少女時代 16

第2部 文壇への扉――台湾時代

第2章 台湾への旅立ち 46
第3章 台湾文壇の扉 65
第4章 受難の花「時計草」 85
第5章 蕃地中原への疎開 106

第3部 蕃地をめぐる戦後創作――熊本時代

第6章 中央文壇への挑戦 128
第7章 「樹霊」と「蕃婦ロポウの話」 150

第4部 上京後の彷徨と郷愁――東京時代

第8章 生と死のさまよい 186

 

 結 208
 あとがき 228
 謝辞 230
 主要な引用・参考文献 231
 資料 242

『心理学は行動から何を語るか——主義と制約を超えて』目次

『心理学は行動から何を語るか——主義と制約を超えて』
福田実奈(編著)
(2026年10月20日刊行、北大路書房、京都, xii+339 pp., 本体価格4,200円, ISBN: 978-4-7628-3331-1 → 版元ページ)


【目次】
まえがき i
序章 「行動」から心理学を問い直すということ 福田実奈 1

第 I 部 「行動」を紐解く

第1章 行動と行動主義の歴史 高砂美樹 15
第2章 現代心理学の「心」の見方ともう一つの「心」の見方 丹野貴行 33
第3章 行動のメカニズムと理論 澤幸祐 75
第4章 生物諸科学に接続する行動主義 松井大 101

第 II 部 「行動」を縒り合わせる

第5章 神経科学における行動 鮫島和行 143
第6章 認知過程と刺激・反応――認知心理学における行動 武藤拓之 165
第7章 数理的解釈主義と合理性の心理学 清水裕士 191
第8章 行動主義はどうやって行動を説明するのか 森元良太 223

第 III 部 「行動」を編み直す

第9章 浅いは深いか――「氷山」モデルの死角と文脈主義的支援の可能性 武藤崇 261
第10章 文脈における行動の意味と支援――あらゆる支援を貫くパワフルで「優しい」枠組み 近藤鮎子 283
第11章 組織における素朴な心理主義と行動 八重樫勇介 299

 

終章 心理学は行動から何を語るか 福田実奈 313

 

あとがき 327
人名索引 330
事項索引 332
執筆者一覧 338

『百鬼園戰後日記(上・下)』読了

『百鬼園戰後日記(上・下)』
内田百閒
(上卷:1982年3月20日刊行,小澤書店、東京, 360 pp. → 目次|下卷:1982年4月20日刊行,小澤書店、東京, 367 pp. → 目次)

つくばでの寝読み読了本。今年の春くらいから寝床で読み始めたので、読了するのに半年もかかったということか。計700ページ超の分量なのでそれくらいはしかたがない。百鬼園先生はいつも “金欠” なのに、原稿依頼は片っ端から「ことわり」続け、お酒がなくなれば借金(いや「錬金術」)してでも用意し、稿料を前借りできれば気前よく配ってしまう。一日も途切れない日記を読む愉しみを満喫した。日記かくあるべし。百鬼園先生は随筆よりも日記の方がおもしろいようにワタクシは思う。版元である小澤書店の造本はいつもながら秀逸だ。クロス装幀の触り心地がとてもよい。