『〈極限の思想〉バタイユ:エコノミーと贈与』

佐々木雄大
(2021年10月12日刊行,講談社講談社選書メチエ le livre],東京, 362 pp., 本体価格2,500円, ISBN:978-4-06-523948-3版元ページ

講談社選書メチエの中に新シリーズ〈le livre〉が創刊された.この新刊は大澤真幸熊野純彦編集による〈極限の思想〉叢書の1冊.これまでのメチエとはちがって,仮フランス装っぽい厚手の表紙にくるまれた特装本.

『読む・打つ・書く』書評拾い(30)

三中信宏
(2021年6月15日刊行,東京大学出版会東京大学出版会創立70周年記念出版],東京,xiv+349 pp., 本体価格2,800円(税込価格3,080円), ISBN:978-4-13-063376-5コンパニオン・サイト版元ページ

『アカデミアを離れてみたら:博士、道なき道をゆく』感想

岩波書店編集部(編)『アカデミアを離れてみたら:博士、道なき道をゆく』(2021年8月4日刊行,岩波書店,東京, viii+238 pp., 本体価格2,000円, ISBN:978-4-00-061483-2版元ページ

人それぞれの経験談.アカデミアの内と外を行き来することのハードルは,当事者ごとに大きく変わる.最年長の嘉田由紀子が「アカデミアを離れてみたら,三途の川があった」(p. 174)と言う時代も確かにあった,一方,若い世代の寄稿者が “運” と “縁” と “恩” に恵まれて超えていく体験談はそれぞれに読み応えがある.

『中国料理の世界史:美食のナショナリズムをこえて』目次

間一弘
(2021年9月20日刊行,慶應義塾大学出版会,東京, xii+571+67 pp., 本体価格2,500円, ISBN:978-4-7664-2764-6版元ページ

中国の食文化が全世界にどのように伝播していったかをさまざまな資料に基づいて考察している.いわゆる “料理エッセイ本” とはまったく異なる食文化進化本.中国料理にまつわるさまざまな “俗説” や “うわさ話” を心地よく成敗してくれるらしい.読むのが楽しみ.650ページ超の大冊にもかかわらず,本体価格2,500円とはまさに価格破壊.慶應義塾大学出版会は太っ腹!


【目次】
序章 中国料理から見える世界史 1

第一部 中国料理の形成――美食の政治史

第1章 清国の料理――宮廷料理から満漢全席へ 35
第2章 近代都市文化としての中国料理――北京・上海・重慶・香港の料理 61
第3章 中国の国宴と美食外交――燕の巣・フカヒレ・北京ダック 101
第4章 ユネスコ無形文化遺産への登録申請――文思豆腐から餃子へ 134
第5章 台湾料理の脱植民地化と本土化――昭和天皇・圓山大飯店・鼎泰豊 150
第6章 豆腐の世界史――ナショナリズムからグローバリズムへ 181

第二部 アジアのナショナリズムと中国料理

第1章 シンガポールとマレーシア――海南チキンライス・ホーカー・ニョニャ料理の帰属 197
第2章 ベトナム――フォーとバインミーに見る中国とフランスの影響 240
第3章 タイ――パッタイ国民食化・海外展開へ至る道 265
第4章 フィリピン――上海春巻きや広東麺が広まるまで 288
第5章 インドネシア――オランダ植民地・イスラーム教と中国料理の苦境 303
第6章 韓国――ホットク・チャプチェ・チャンポン・チャジャン麺 325
第7章 インド――赤茶色の四川ソース 359

第三部 米欧の人種主義とアジア人の中国料理

第1章 アメリカ合衆国――チャプスイからパンダエクスプレスまで 367
第2章 イギリス――チャプスイ・中国飯店・中国料理大使 435
第3章 ヨーロッパ・オセアニアラテンアメリカ――中国料理の文化的意味の多様性 461

第四部 日本食と中国料理の境界――世界史のなかの日本の中国料理  

第1章 近代という時代――偕楽園・チャプスイ・回転テーブル・味の素 499
第2章 近代から現代へ――ラーメン・陳建民・横浜中華街・中華おせち 528
終章 国民国家が枠づける料理のカテゴリー 557

 

後記 565

 

註 [44-67]

 

図版出典一覧 [42-43]
主要参考文献 [16-41]
索引 [1-15]

『学術出版の来た道』目次

有田正規
(2021年10月7日刊行,岩波書店[岩波科学ライブラリー・307],東京, vi+148+10 pp., 本体価格1,500円, ISBN:978-4-00-029707-3版元ページ

これはとてもそそられるテーマ.学術書と学術誌のたどってきた道のりと現状を知る上で参考になる.著者は国立遺伝研の生命情報・DDBJセンター長.


【目次】
第1章 学術出版とは何か 1
第2章 論文ができるまで 9
第3章 学会出版のはじまり 29
第4章 商業出版のはじまり 43
第5章 学術出版を変えた男 55
第6章 学術誌ランキングの登場 73
第7章 オープンアクセスとビッグディール 89
第8章 商業化した科学と数値指標 109
第9章 データベースと学術出版 125

 

おわりに 143

 

注 [1-10]

『読む・打つ・書く』書評拾い(29)

三中信宏
(2021年6月15日刊行,東京大学出版会東京大学出版会創立70周年記念出版],東京,xiv+349 pp., 本体価格2,800円(税込価格3,080円), ISBN:978-4-13-063376-5コンパニオン・サイト版元ページ

  • アマゾン・カスタマーレビュー —— ツマ井秀カズ「蔵書の山。」(2021年10月4日) https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R2B0L7B5KY90VR/ ※ぜひお買い上げいただいて,本の山の “標高” を更新してください.
  • @ConGrazie ツイート(2021年10月7日) https://twitter.com/ConGrazie/status/1445954638864261120 ※本の集合体としての “図書館” を重視するバイヤール本『読んでいない本について堂々と語る方法』からは,「ある本を読まずにすませるには,他の本をもっとたくさん読みなさい」というとてもコワいメッセージしか私は読み取れませんでした.タイトルを真に受けてはいけないですね.の母集団からの読書サンプリングが十分であれば,タイトルの通りに, “読まなくてもいい” 場合は出てくるでしょう.著者はごく当たり前のこと—— 読書に王道なし ——を別の言葉で言い換えているだけだとワタクシは感じました.

『世界を一枚の紙の上に —— 歴史を変えたダイアグラムと主題地図の誕生』

大田暁雄
(2021年12月刊行予定,オーム社,東京, 本体価格4,500円, ISBN:978-4-274-22785-1版元ページ

帯の “檄文” はワタクシが寄稿しました.社会統計と地図制作に関わるビジュアライゼーション史を丹念に追った良書です.

『遺伝子命名物語:名前に秘められた生物学のドラマ』

坪子理美・石井健一
(2021年10月10日刊行,中央公論新社中公新書ラクレ・742],東京, 318 pp., 本体価格900円, ISBN:978-4-12-150742-6版元ページ

生物の命名と同じく,遺伝子の “命名” にも数々の逸話がある.遺伝子命名法の伝統と文化がすでにできつつあるとは興味深い.