『本,そして人』

神谷美恵子

(2005年7月7日刊行,みすず書房ISBN:4622081857



第I部を読了.100ページほど.「ミッシェル・フーコーとの出会い」(pp. 42-53)が印象に残った.神谷が訳したフーコー臨床医学の誕生』(1986年,みすず書房ISBN:4622022176)について,こう語っている:



臨床医学の誕生』は,医学全体の認識論的基盤を問うている.十八世紀には植物学におけるリンネらの分類学のアナロジーから,疾病分類学も種々試みられた.『狂気の歴史』には,それらの「図表[タブロー]」のいくつかが載せられている.それはもちろん,精神疾患の分類であるが,『臨床医学の誕生』では,身体病をも含めたあらゆる疾患を,一つの平面の中におさめた図表のことが書いてある.初期の臨床では,医師はいわばこの図表を頭に入れて患者に接した.(pp. 49-50)


分類学史でいうところの「2次元マップ」が医学の世界でも見られたということなのだろう.今度機会を見つけてフーコーの本をひもといてみよう.※普遍分類学に関わる『言葉と物:人文科学の考古学』(1974年6月刊行,新潮社,ISBN:410506701X)しかいま手元にないので.