『定食屋「雑」』感想

原田ひ香
(2024年3月23日刊行、双葉社、東京, 300 pp., 本体価格1,600円, ISBN:978-4-575-24727-5版元ページ

道後温泉寝読み本として読了。本文ストーリーよりも作中レシピの方についつい気を取られるのはワルい読み手だったか。本書を読むほどに、いつも通っている道後温泉街の定食屋〈坊ちゃん〉が思い浮かぶ。あえてたとえるなら、常連の客筋は安倍夜郎の連載漫画『深夜食堂』に出てきそうな面々だし、厨房の “ママさん” は作中の定食屋〈雑〉に登場する “みさえさん” のようだ。〈坊ちゃん〉には外国人客もよく来る。税込500円で定食が食べられるとSNSで広まっているらしい。昨日、隣席には韓国から一人旅で来た若者が山盛りごはんに呆然としていたので、「ちょっとでも残したら、ママさんに叩き出されるよ」と激励した。ご飯を残す食文化はここでは通用しない。たくさん食べればシアワセになれる。その彼は四国を10日間かけて旅行するとのことだった。よいお遍路を。