『飲み・食い・書く』書評

獅子文六 (1961年11月15日刊行、角川書店、東京, 1 plate + 278 pp. → 目次) 【書評】※Copyright 2024 by MINAKA Nobuhiro. All rights reserved飲み食いは人生そのものどこかで見たような書名ではあるが(笑)、ワタクシがこっそりパクったわけではない。…

『研究者、生活を語る——「両立」の舞台裏』感想

岩波書店編集部(編) (2024年10月18日刊行、岩波書店、東京, x+252 pp., 本体価格2,400円, ISBN:978-4-00-061661-4 → 目次|版元ページ)それぞれの研究者に降りかかる人生の現実問題への対処(本書では「育児」と「介護」が中心となる)を知る上で良書。…

『菌類の隠れた王国——森・家・人体に広がるミクロのネットワーク』日経サイエンス書評

キース・サイファート[熊谷玲美訳] (2024年6月24日刊行、白楊社、東京, 351 pp., 本体価格2,700円, ISBN:978-4-8269-0260-1 → 目次|版元ページ)ワタクシの書評は日経サイエンスの最新号2024年11月号に掲載される:三中信宏「【書評】つながる広がる菌類…

『忘れられた日本人』感想と目次

宮本常一 (1984年5月16日刊行、岩波書店[岩波文庫・青164-1])、東京, 334 pp., 本体価格553円, ISBN:4-00-331641-X → 版元ページ)ワタクシが本書を読んだのはいつだろうかと検索してみたら、なんと四半世紀前の2001年12月10日にかつてのオンライン書店 …

『『忘れられた日本人』の舞台を旅する——宮本常一の軌跡』読了

木村哲也 (2024年7月20日刊行、河出書房新社[河出文庫・き17-1]、東京, 343 pp., 本体価格980円, ISBN:978-4-309-42125-4 → 目次|版元ページ)読了。宮本常一の故郷・周防大島は松山の対岸にある。本書に登場する土佐の檮原、内子や大洲など西予・南予の…

『読む・打つ・書く——読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々』書評拾い(60)

三中信宏 (2021年6月15日第1刷刊行|2021年10月5日第2刷刊行,東京大学出版会[東京大学出版会創立70周年記念出版],東京,xiv+349 pp., 本体価格2,800円(税込価格3,080円), ISBN:978-4-13-063376-5 → コンパニオン・サイト|版元ページ) yuku kawa「三…

『なぜ人はアートを楽しむように進化したのか』日本経済新聞書評

アンジャン・チャタジー[田沢恭子訳] (2024年6月27日刊行、草思社、東京, 346 pp., 本体価格2,700円, ISBN:978-4-7942-2733-1 → 目次|版元ページ)日本経済新聞にワタクシの書評が載りました —— 三中信宏「脳内で協調 発現する美意識」(2024年8月10日)

『死の貝:日本住血吸虫症との闘い』読了

小林照幸 (2024年5月1日刊行、新潮社[新潮文庫・こ-28-2]、東京, 333 pp., 本体価格670円, ISBN: 978-4-10-143322-6 → 目次|版元ページ)機中読了本といえば、この『死の貝』もとても読み応えのある疾病史本だった。風土病としての日本住血吸虫がどのよ…

『犬が星見た:ロシア旅行』読了

武田百合子 (1979年2月25日刊行、中央公論社、東京, 331 pp.)機中読書本:武田百合子『富士日記(上):不二小大居百花庵日記』(1977年10月20日刊行、中央公論社、東京, 1 plate + 333 pp.))と同『富士日記(下):不二小大居百花庵日記』(1977年12月1…

『定食屋「雑」』感想

原田ひ香 (2024年3月23日刊行、双葉社、東京, 300 pp., 本体価格1,600円, ISBN:978-4-575-24727-5 → 版元ページ)道後温泉寝読み本として読了。本文ストーリーよりも作中レシピの方についつい気を取られるのはワルい読み手だったか。本書を読むほどに、いつ…

『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』週刊文春書評

アリク・カーシェンバウム[穴水由紀子訳] (2024年4月17日刊行、柏書房、東京, 426 pp., 本体価格2,800円, ISBN:978-4-7601-5563-7 → 目次|版元ページ)ワタクシの書評が『週刊文春』2024年6月6日号と文春オンラインに掲載されました:【文春図書館】三中…

『恋人選びの心(I,II)』書評

ジェフリー・F・ミラー[長谷川眞理子訳] (2002年7月15日刊行、岩波書店、東京, I: pp.i-viii, 1-314 / II: pp.i-viii, 315-618, [1-60], 本体価格各2,800円, ISBN:4-00-022823-4 [I] / ISBN:4-00-022824-2 [II]) 【書評】※Copyright 2024 by MINAKA Nobu…

『物ぐさ道草:多田道太郎のこと』読了

荒井とみよ (2023年3月15日刊行、編集工房ノア、大阪, 252 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-89271-366-8 → 目次)読了。早逝したひとり娘・多田謡子のことは最後の最後に出てくるが、もう少し深く描いてほしかった気がする。著者のこの “距離感” だとあま…

『昆虫絶滅』日経サイエンス書評掲載

オリヴァー・ミルマン[中里京子訳] (2023年12月15日刊行、早川書房、東京, 292 pp., 本体価格2,300円, ISBN:978-4-15-210289-8 → 目次|版元ページ)ワタクシの書評記事:三中信宏「虫なき世界に明日はない」は、今月発売の『日経サイエンス・2024年4月号…

『ミミズの農業改革』書評掲載紙

金子信博 (2023年12月1日刊行、みすず書房、東京, 4 color plates + iv + 204+xii pp., 本体価格3,000円, ISBN:978-4-622-09640-5 → 目次|版元ページ)時事通信社から配信されたワタクシの書評は現時点で下記の各紙に掲載されました:「デーリー東北」(…

『読む・打つ・書く』書評拾い(59)

三中信宏 (2021年6月15日第1刷刊行|2021年10月5日第2刷刊行,東京大学出版会[東京大学出版会創立70周年記念出版],東京,xiv+349 pp., 本体価格2,800円(税込価格3,080円), ISBN:978-4-13-063376-5 → コンパニオン・サイト|版元ページ) 川塵録「飽く…

『分類思考の世界:なぜヒトは万物を「種」に分けるのか』残響(91)

三中信宏 (2009年9月20日第1刷刊行/2009年10月8日第2刷刊行/2009年12月3日第3刷刊行/2013年7月26日電子本刊行/2015年5月8日第4刷刊行/2018年1月19日第5刷刊行/2021年11月8日第6刷刊行,講談社[現代新書2014],本体価格900円(税込価格990円),328 …

『殉教の日本:近世ヨーロッパにおける宣教のレトリック』読了

小俣ラポー日登美 (2023年2月28日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, 404+188 pp., 本体価格8,800円, ISBN:978-4-8158-1119-8 → 目次|版元ページ)喘ぎつつもなんとか登攀完了。これで百万遍交差点で “磔刑” に処せられる心配はとりあえずなくなったか。日本…

『東京焼盡』再読(第42〜56章)

内田百閒 (1955年4月20日刊行,大日本雄辯會講談社,東京, 261 pp.)大戦末期になってくるともう何が何やらわからなくなってくる。連日の空襲警報、酒・煙草はもちろんのこと、配給米も滞り、罐詰泥棒の嫌疑まで降りかかる。百鬼園先生にとっては苦労の日々…

『東京焼盡』再読(第27〜41章)

内田百閒 (1955年4月20日刊行,大日本雄辯會講談社,東京, 261 pp.)寝読みはまだ続いている —— 1945年3月下旬以降は、米軍に陥落したばかりの硫黄島から襲来するB29やP51の編隊による本土空襲の記録ががぜん増えてくる。東京だけでなく日本各地が空襲被災…

『東京焼盡』再読(第1〜26章)

内田百閒 (1955年4月20日刊行,大日本雄辯會講談社,東京, 261 pp.)ふと思い立って読み返している。第二次世界大戦末期(1944年11月1日から1945年8月21日まで)の東京が米軍空襲で燃えていくようすを克明にしかも淡々と記録した80年前の “日記” は、今の時…

『京都食堂探究:「麺類・丼物」文化の美味なる世界』読了

加藤政洋・〈味覚地図〉研究会 『京都食堂探究:「麺類・丼物」文化の美味なる世界』(2023年11月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫・か-87-1], 東京,214 pp., 本体価格800円, ISBN:978-4-480-43920-8 → 目次|版元ページ)昨日の北陸新幹線車中本としてさく…

『セミコロン;かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』読了

セシリア・ワトソン[萩澤大輝・倉林秀男訳] (2023年9月15日刊行,左右社,東京, 188 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-86528-383-9 → 目次|版元ページ)やっと読了。「;」をめぐる歴史エピソードの数々はとても興味深かったが、何よりもこの “約物本” …

『未完の天才 南方熊楠』読了

志村真幸 (2023年6月20日刊行,講談社[講談社現代新書・2710],東京, 255 pp., 本体価格940円, ISBN:978-4-06-532636-7 → 目次|版元ページ)寝読み中、別の “鵼” に惑わされてしまったが、やっと読了。南方熊楠も十分につかみどころのないキャラクターだ…

『数の値打ち:グローバル情報化時代に日本文学を読む』日本経済新聞書評公開

ホイト・ロング[秋草俊一郎・今井亮一・坪野圭介訳] (2023年8月30日刊行,フィルムアート社,東京, 397+xvi pp., 本体価格4,000円, ISBN:978-4-8459-2130-0 → 目次|版元ページ)日本経済新聞書評が公開されました:三中信宏「日本文学を統計の目で探る」…

『鵼の碑』読了

京極夏彦 (2023年9月14日刊行,講談社[講談社ノベルス・キF-21],東京, 830 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-06-515045-0 → 版元ページ)連日の寝読み本やっと読了。「名前も実体もなかった魔物が、そんな理由で鵼などと云う名で語られ、祀られた」(p.…

『分類思考の世界:なぜヒトは万物を「種」に分けるのか』残響(90)

三中信宏 (2009年9月20日第1刷刊行/2009年10月8日第2刷刊行/2009年12月3日第3刷刊行/2013年7月26日電子本刊行/2015年5月8日第4刷刊行/2018年1月19日第5刷刊行/2021年11月8日第6刷刊行,講談社[現代新書2014],本体価格900円(税込価格990円),328 …

『近畿地方のある場所について』感想

背筋 (2023年8月30日刊行,KADOKAWA,東京, 334 pp. + 袋綴じ取材資料[8 pp.],本体価格1,300円, ISBN:978-4-04-737584-0 → 版元ページ)ひさしぶりに “新耳袋” のような本を高速読了して満足している.さまざまな情報の “断片” をつなぎあわせてある物語…

『炎の中の図書館:110万冊を焼いた大火』読了

スーザン・オーリアン[羽田詩津子訳]『炎の中の図書館:110万冊を焼いた大火』(2019年11月25日刊行,早川書房,東京, 382 pp., 本体価格2,600円, ISBN:978-4-15-209894-8 → 版元ページ)四年前に出た本だが,ふと気になって読了.ロサンゼルス中央図書…

『「おふくろの味」幻想:誰が郷愁の味をつくったのか』感想

湯澤規子 (2023年1月30日刊行,光文社[光文社新書・1240], 東京, 277 pp., 本体価格940円, ISBN:978-4-334-04647-7 → 目次|版元ページ)「おふくろの味」の寿命は驚くほど短かった.この言葉の生誕は1957年で,21世紀初頭には死語も同然になったとか.著…