『物ぐさ道草:多田道太郎のこと』読了

荒井とみよ (2023年3月15日刊行、編集工房ノア、大阪, 252 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-89271-366-8 → 目次)読了。早逝したひとり娘・多田謡子のことは最後の最後に出てくるが、もう少し深く描いてほしかった気がする。著者のこの “距離感” だとあま…

『昆虫絶滅』日経サイエンス書評掲載

オリヴァー・ミルマン[中里京子訳] (2023年12月15日刊行、早川書房、東京, 292 pp., 本体価格2,300円, ISBN:978-4-15-210289-8 → 目次|版元ページ)ワタクシの書評記事:三中信宏「虫なき世界に明日はない」は、今月発売の『日経サイエンス・2024年4月号…

『ミミズの農業改革』書評掲載紙

金子信博 (2023年12月1日刊行、みすず書房、東京, 4 color plates + iv + 204+xii pp., 本体価格3,000円, ISBN:978-4-622-09640-5 → 目次|版元ページ)時事通信社から配信されたワタクシの書評は現時点で下記の各紙に掲載されました:「デーリー東北」(…

『読む・打つ・書く』書評拾い(59)

三中信宏 (2021年6月15日第1刷刊行|2021年10月5日第2刷刊行,東京大学出版会[東京大学出版会創立70周年記念出版],東京,xiv+349 pp., 本体価格2,800円(税込価格3,080円), ISBN:978-4-13-063376-5 → コンパニオン・サイト|版元ページ) 川塵録「飽く…

『分類思考の世界:なぜヒトは万物を「種」に分けるのか』残響(91)

三中信宏 (2009年9月20日第1刷刊行/2009年10月8日第2刷刊行/2009年12月3日第3刷刊行/2013年7月26日電子本刊行/2015年5月8日第4刷刊行/2018年1月19日第5刷刊行/2021年11月8日第6刷刊行,講談社[現代新書2014],本体価格900円(税込価格990円),328 …

『殉教の日本:近世ヨーロッパにおける宣教のレトリック』読了

小俣ラポー日登美 (2023年2月28日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, 404+188 pp., 本体価格8,800円, ISBN:978-4-8158-1119-8 → 目次|版元ページ)喘ぎつつもなんとか登攀完了。これで百万遍交差点で “磔刑” に処せられる心配はとりあえずなくなったか。日本…

『東京焼盡』再読(第42〜56章)

内田百閒 (1955年4月20日刊行,大日本雄辯會講談社,東京, 261 pp.)大戦末期になってくるともう何が何やらわからなくなってくる。連日の空襲警報、酒・煙草はもちろんのこと、配給米も滞り、罐詰泥棒の嫌疑まで降りかかる。百鬼園先生にとっては苦労の日々…

『東京焼盡』再読(第27〜41章)

内田百閒 (1955年4月20日刊行,大日本雄辯會講談社,東京, 261 pp.)寝読みはまだ続いている —— 1945年3月下旬以降は、米軍に陥落したばかりの硫黄島から襲来するB29やP51の編隊による本土空襲の記録ががぜん増えてくる。東京だけでなく日本各地が空襲被災…

『東京焼盡』再読(第1〜26章)

内田百閒 (1955年4月20日刊行,大日本雄辯會講談社,東京, 261 pp.)ふと思い立って読み返している。第二次世界大戦末期(1944年11月1日から1945年8月21日まで)の東京が米軍空襲で燃えていくようすを克明にしかも淡々と記録した80年前の “日記” は、今の時…

『京都食堂探究:「麺類・丼物」文化の美味なる世界』読了

加藤政洋・〈味覚地図〉研究会 『京都食堂探究:「麺類・丼物」文化の美味なる世界』(2023年11月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫・か-87-1], 東京,214 pp., 本体価格800円, ISBN:978-4-480-43920-8 → 目次|版元ページ)昨日の北陸新幹線車中本としてさく…

『セミコロン;かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』読了

セシリア・ワトソン[萩澤大輝・倉林秀男訳] (2023年9月15日刊行,左右社,東京, 188 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-86528-383-9 → 目次|版元ページ)やっと読了。「;」をめぐる歴史エピソードの数々はとても興味深かったが、何よりもこの “約物本” …

『未完の天才 南方熊楠』読了

志村真幸 (2023年6月20日刊行,講談社[講談社現代新書・2710],東京, 255 pp., 本体価格940円, ISBN:978-4-06-532636-7 → 目次|版元ページ)寝読み中、別の “鵼” に惑わされてしまったが、やっと読了。南方熊楠も十分につかみどころのないキャラクターだ…

『数の値打ち:グローバル情報化時代に日本文学を読む』日本経済新聞書評公開

ホイト・ロング[秋草俊一郎・今井亮一・坪野圭介訳] (2023年8月30日刊行,フィルムアート社,東京, 397+xvi pp., 本体価格4,000円, ISBN:978-4-8459-2130-0 → 目次|版元ページ)日本経済新聞書評が公開されました:三中信宏「日本文学を統計の目で探る」…

『鵼の碑』読了

京極夏彦 (2023年9月14日刊行,講談社[講談社ノベルス・キF-21],東京, 830 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-06-515045-0 → 版元ページ)連日の寝読み本やっと読了。「名前も実体もなかった魔物が、そんな理由で鵼などと云う名で語られ、祀られた」(p.…

『分類思考の世界:なぜヒトは万物を「種」に分けるのか』残響(90)

三中信宏 (2009年9月20日第1刷刊行/2009年10月8日第2刷刊行/2009年12月3日第3刷刊行/2013年7月26日電子本刊行/2015年5月8日第4刷刊行/2018年1月19日第5刷刊行/2021年11月8日第6刷刊行,講談社[現代新書2014],本体価格900円(税込価格990円),328 …

『近畿地方のある場所について』感想

背筋 (2023年8月30日刊行,KADOKAWA,東京, 334 + 袋綴じ取材資料[8 pp.],本体価格1,300円, ISBN:978-4-04-737584-0 → 版元ページ)ひさしぶりに “新耳袋” のような本を高速読了して満足している.さまざまな情報の “断片” をつなぎあわせてある物語の “…

『炎の中の図書館:110万冊を焼いた大火』読了

スーザン・オーリアン[羽田詩津子訳]『炎の中の図書館:110万冊を焼いた大火』(2019年11月25日刊行,早川書房,東京, 382 pp., 本体価格2,600円, ISBN:978-4-15-209894-8 → 版元ページ)四年前に出た本だが,ふと気になって読了.ロサンゼルス中央図書…

『「おふくろの味」幻想:誰が郷愁の味をつくったのか』感想

湯澤規子 (2023年1月30日刊行,光文社[光文社新書・1240], 東京, 277 pp., 本体価格940円, ISBN:978-4-334-04647-7 → 目次|版元ページ)「おふくろの味」の寿命は驚くほど短かった.この言葉の生誕は1957年で,21世紀初頭には死語も同然になったとか.著…

『夢見る帝国図書館』感想

中島京子 (2019年5月15日刊行,文藝春秋,東京, 404 pp., 本体価格1,850円, ISBN: 978-4-16-391020-8 → 版元ページ)読了.もともと小説は読まないワタクシは本書が新刊で出たときにうっかりまたいで通り過ぎてしまった.しかし,あらためて手に取ると “小…

「日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から―」

二村太郎・荒又美陽・成瀬厚・杉山和明 日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から―. E-journal GEO, 7(2): 225-249, 2012. pdf [open access]地理学の観点からの批判と考察.この記事では『生物科学』…

『帝国図書館:近代日本の「知」の物語』読了

長尾宗典 (2023年4月25日刊行,中央公論新社[中公新書・2749],東京, xvi+283 pp., 本体価格920円, ISBN:978-4-12-102749-8 → 目次|版元ページ)読了.明治時代に成立した文部省書籍館をルーツとする帝国図書館の歴史をたどる本.ワタクシ的には第二次世…

『系統樹思考の世界:すべてはツリーとともに』反響(続56)

三中信宏 (2006年7月20日第1刷刊行|2006年8月4日第2刷刊行|2009年12月18日第3刷刊行|2010年5月10日第4刷刊行|2011年10月7日第5刷刊行|2013年6月28日電子本刊行|2015年4月14日第6刷刊行|2018年4月17日第7刷刊行|2021年8月31日第8刷刊行,講談社[現…

『胃袋の近代:食と人びとの日常史』感想

湯澤規子 (2018年6月30日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, viii+325+18 pp., 本体価格3,600円, ISBN:978-4-8158-0916-4 → 目次|版元ページ)やっと読了. “大きな歴史” の流れに埋もれてしまいがちな “小さな歴史” の手がかりを一つ一つ掘り起こしながら,…

『古本屋は奇談蒐集家』感想

ユン・ソングン[清水博之訳] (2023年5月30日刊行,河出書房新社,東京, 300 pp., 本体価格2,400円, ISBN:978-4-309-20882-4 → 目次|版元ページ)韓国で古書店を営む著者が,古書探索の依頼者から訊き取ったエピソードを蒐めた本.読了してひとつひとつの…

『「悪所」の民俗誌:色町・芝居町のトポロジー』感想

沖浦和光 (2023年6月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫・お-77-1],東京, 334 pp., 本体価格900円, ISBN:978-4-480-43886-7 → 目次|版元ページ)遊廓と芝居町という「場」がどのような歴史的経緯から生まれ,深く関わり合うようになったかが論じられている…

『分類思考の世界:なぜヒトは万物を「種」に分けるのか』残響(89)

三中信宏 (2009年9月20日第1刷刊行/2009年10月8日第2刷刊行/2009年12月3日第3刷刊行/2013年7月26日電子本刊行/2015年5月8日第4刷刊行/2018年1月19日第5刷刊行/2021年11月8日第6刷刊行,講談社[現代新書2014],本体価格900円(税込価格990円),328 …

『分類思考の世界:なぜヒトは万物を「種」に分けるのか』残響(88)

三中信宏 (2009年9月20日第1刷刊行/2009年10月8日第2刷刊行/2009年12月3日第3刷刊行/2013年7月26日電子本刊行/2015年5月8日第4刷刊行/2018年1月19日第5刷刊行/2021年11月8日第6刷刊行,講談社[現代新書2014],本体価格900円(税込価格990円),328 …

『蚊が歴史をつくった:世界史で暗躍する人類最大の敵』日経サイエンス書評

ティモシー・ワインガード[大津祥子訳] (2023年6月10日刊行,青土社,東京, 578+xv pp., 本体価格3,600円, ISBN:978-4-7917-7548-4 → 目次|版元ページ)ワタクシの書評記事は7月25日に発行された日経サイエンス2023年9月号に掲載された:三中信宏 2023. …

『系統樹思考の世界:すべてはツリーとともに』反響(続55)

三中信宏 (2006年7月20日第1刷刊行|2006年8月4日第2刷刊行|2009年12月18日第3刷刊行|2010年5月10日第4刷刊行|2011年10月7日第5刷刊行|2013年6月28日電子本刊行|2015年4月14日第6刷刊行|2018年4月17日第7刷刊行|2021年8月31日第8刷刊行,講談社[現…

『分類思考の世界:なぜヒトは万物を「種」に分けるのか』残響(87)

三中信宏 (2009年9月20日第1刷刊行/2009年10月8日第2刷刊行/2009年12月3日第3刷刊行/2013年7月26日電子本刊行/2015年5月8日第4刷刊行/2018年1月19日第5刷刊行/2021年11月8日第6刷刊行,講談社[現代新書2014],本体価格900円(税込価格990円),328 …