『ナメクジウオ:頭索動物の生物学』安井金也・窪川かおる

(2005年1月31日刊行,東京大学出版会ISBN:413066154X



脊索はあっても骨のないアヤシイ生き物で,群れた生態写真なんぞこの上なくアヤシく見える.脊椎動物にとっての〈外群〉のひとつとしての役回りだけではなく,ちゃんと生きている生物としてのナメクジウオを論じた日本初のモノグラフであることはもちろん,世界的に見ても1894年以来実に110年ぶりのことだそうだ.飼育がとても難しく,市販の粉末餌などを与えると喉が詰まって窒息死してしまうとか(p. 119).※アヤシくかよわいわけね.




【目次】
はじめに i

第1章 研究史 1
 1-1 初期のナメクジウオ類の記載 1
 1-2 系統発生学の高揚期 4
 1-3 解剖学・形態学の成熟期 7
 1-4 潜伏期と分子発生学でのリバイバル 9

第2章 分類 11
 2-1 分類学における決まり 11
 2-2 ナメクジウオ類の分類 13
 2-3 日本のナメクジウオ類 26

第3章 解剖 30
 3-1 脊索動物の一般的特徴 30
 3-2 ナメクジウオ類の一般形態 32
 3-3 皮膚 33
 3-4 骨格系 35
 3-5 筋系 41
 3-6 消化器系 47
 3-7 循環器系 56
 3-8 排泄系 60
 3-9 神経系 62
 3-10 解剖の実際 80

第4章 発生 84
 4-1 生殖腺と卵の成熟 84
 4-2 受精 87
 4-3 卵割 88
 4-4 胞胚 92
 4-5 原腸胚 92
 4-6 神経胚 93
 4-7 初期幼生 98
 4-8 変態期 103
 4-9 左右非対称 107

第5章 生活史 109
 5-1 繁殖 109
 5-2 成長 113
 5-3 巨大幼生 115
 5-4 生息場所 117
 5-5 採餌 118
 5-6 日本の生息域 120
 5-7 飼育 123

第6章 系統と進化 125
 6-1 分岐学的方法 125
 6-2 脊索動物の系統関係 128
 6-3 脊椎動物進化仮説 134

第7章 分子発生学 148
 7-1 母性発現をする遺伝子 149
 7-2 オーガナイザー領域と原腸前端で発現する遺伝子 156
 7-3 中胚葉分化にかかわる遺伝子 160
 7-4 左右非対称性にかかわる遺伝子 164
 7-5 中枢神経系で発現する遺伝子 169
 7-6 感覚器の形成にかかわる遺伝子 176

第8章 内分泌 178
 8-1 無脊椎動物脊椎動物の内分泌器官の相違 179
 8-2 消化器系 182
 8-3 神経索 183
 8-4 漏斗細胞 188
 8-5 内柱 188
 8-6 ハチェック窩 189
 8-7 生殖腺 194

第9章 近縁な動物 196
 9-1 ウニ・ヒトデ類 197
 9-2 半索動物 204
 9-3 尾索動物(被嚢動物) 210
 9-4 無顎類(メクラウナギ類とヤツメウナギ類) 217

第10章 今後の課題 225

おわりに 233
参考文献 237
索引 267


『The R Tips:データ解析環境 R の基本技・グラフィックス活用集』舟尾暢男

(2005年3月刊行予定,九天社,ISBN:486167039X).



著者によるサポートページあり.詳細目次もpdfで公開されています.同じ出版社から昨年出たヒット作『The R Book:データ解析環境Rの活用事例集』(2004年6月1日刊行,九天社,ISBN:4901676970)と似た感触の本なのかな.期待してます.