『The Language of Taxonomy : An Application of Symbolic Logic to the Study of Classificatory Systems』

John Richard Gregg

(1954年刊行,Columbia University Press[Columbia Bicentennial Editions and Studies], New York, xii+71 pp.→ 目次



届いた古書.ダークグリーンのハードカバー製本された本.元の所蔵館は The Franklin Institute Library となっている.しかも,「The Marcus and Bertha Coler Collection」という蔵書票が貼られているところを見ると,寄贈された個人蔵書が何らかの理由で処分され,古書業界に流れたということだろう.と思って,検索してみたら,確かにそのとおりだった.フィラデルフィアにあるフランクリン研究所の図書館の蔵書がどのような理由で処分されたかの経緯が公開されている.1985年,研究所の運営側の判断により,ほとんどすべての蔵書が突如として処分されたのだそうだ.このドキュメントにはこう書かれている:




Today the Franklin Institute Library is a mere shell of its former self, its resources spread far and wide - a reminder that no collection, no matter how significant, can be considered truly permanent.


一方,蔵書を蒐集した Marcus and Bertha Coler についてはあまり情報が得られない.1910年に結婚したという新聞記事がとある家系サイトに見つかるだけで,どのような経歴をたどったのかはよくわからない.ただし,フランクリン研究所自体が,理学・工学分野でのメジャーな研究所であり(Benjamin Franklin Medalを出していることで有名),届いた本に押印されている「Markite Company」もまた技術系の会社らしい.だから,Marcus and/or Bertha Coler もおそらくその業界で活躍した人物なのだろう.

この本の冒頭ページには,鉛筆書きで「3/30/83 Coler Library」と記されている.ただの推測だが,この日付をもってフランクリン研究所図書館の蔵書となり,その2年後の1985年に放出されたということだろう.そういう経緯はともかく,アメリカの歴史ある研究所の蔵書コレクションの1冊が縁あってはるばる極東までたどり着いたことをここに記しておこう.