『日本の花火』

小野里公成

(2007年7月10日刊行, 筑摩書房ちくま新書670〈カラー新書〉], ISBN:9784480063748



読了.花火大会といえば,たどりつくまでの交通渋滞と会場内の大混雑を思い浮かべてしまい,「遠くから見ればいい」と早々にあきらめモードになってしまうのだが,本書の著者は「花火は近くで見るべきだ」と読者を説得する.確かに,花火の愉しみは,光と音だけではないのかもしれない.ナイヤガラとかスターマインの迫力は会場にいて見上げた方がきっと全身体感できるだろう.全国の有名どころの花火大会を実地にめぐった著者は,大会ごとの「近くで見る」ためのノウハウ(場所の取り方,アクセス,有料席などなど)を伝授してくれる.茨城からも,土浦と水海道の花火大会が取り上げられている(いずれも「近く」で見たことはまだない).ここまで煽られると一度は「接近」して見たくなる読者は少なくないだろう.花火の熱と風を体験したいな.数々の大輪花火のみごとなカラー写真とともに,著者の目的は十分に達成されたと思う.