『Sameness and Substance』

David Wiggins

(1980年刊行, Basil Blackwell, Oxford, ISBN:0631190902目次



先日,トラブルと延滞の果てにようやくひねり出した『』第5回連載記事のタネ本.故・太田邦昌さんからこの本を譲ってもらったのは,記憶が定かではないのだが,大学院を出て“純粋OD”をしていた頃の1980年代後半のことだったと思う.ほかの何冊かの本と一緒にいただいたか(あるいは買ったか)したときに,「Wigginsのこういう本を読むのは三中くんくらいでしょ」と言われたことはしっかり覚えている.今にして思い返せば,あれはいったいどういう意味のコメントだったのか.いずれにせよ,【種】問題を論じる際に Wiggins 本をまたいで通ってはいけない.

実に20年後に別の出版社から出た本書の改訂版である:David Wiggins『Sameness and Substance Renewed』(2001年刊行, Cambridge University Press, Cambridge, ISBN:0521454115目次)は,改定前の特色だった「Longer Notes」がなくなってしまって,いい意味でも悪い意味でもスマートになってしまった.むしろ,内容から見た“祖本”である薄っぺらな:David Wiggins『Identity and Spatio-Temporal Continuity』(1967年刊行, Basil Blackwell, Oxford → 目次)の方を見るべきなのかもしれない.