『本の世界はへんな世界』

高宮利行

(2012年11月27日刊行,雄松堂出版,東京,4 color plates + vi + 269 pp., 本体価格2,800円, ISBN:9784841906189目次版元ページ

農環研の公費購入本は基本的に「所属機関物品」として登録され,「消耗品」扱いにしてくれないからとても困る.以前は科研費購入分の書籍は消耗品扱いだったのに,ある年から突如として備品扱いになってしまった.だから,常備本は私費購入が鉄則.農環研のお金で買ったわけでもないのに研究所の蔵書登録をするのはおかしいでしょうと抗議したことがあった.ライブラリアン的には「蔵書管理」のための単なる登録措置だと考えているフシがあった.購入図書に関するこういうごたごたが過去に繰り返されたので,いまではすべての書籍と雑誌は私費購入でまかなっている.これで,他人の口出しはいっさいなくなったかと思いきや,私蔵本に対しても図書登録しませんかという申し出がかつてあった.大笑い.

本書第2章「書物史」に,中世の書物には「これを盗む者あらば縛り首にしてやるぞ」(p. 46)との呪文が書きつけられていたそうな.ワタクシも自分の管理下の本には,「これを蔵書登録する者あらば子々孫々にいたるまで取り憑いてやる」と書きつけておこう.油断も隙もない自分の研究リソースは自分で防衛するしかない.所外的にも所内的にも.