『日本酒の近現代史:酒造地の誕生』

鈴木芳行

(2015年5月1日刊行,吉川弘文館[歴史文化ライブラリー・401],東京, 6+232 pp., ISBN:9784642058018目次版元ページ

かつて27,000場もあった蔵元が今ではたった2,000場弱にまで激減した.しかし,現存する蔵元の8割以上が100年を越える歴史をもっているという(p. 18).本書は江戸時代以降の近現代日本で日本酒の生産状況がどのように変遷したかを,蔵元数・石数のデータだけでなく,著者が専門とする税制史の観点からたどっている.細かい数字が頻出するが,具体的な裏付けがある記述は信頼できる.本内容的には以前読んだ:吉田元『近代日本の酒づくり:美酒探求の技術史』(2013年12月13日刊行,岩波書店,東京,xii+261+5 pp., 本体価格2,800円, ISBN:9784000259347感想版元ページ)とかなり重なる.しかし,後者は酒造りの工程に主眼を置いている点で本書とは視点が違う.