「出版エージェントという仕事」

あらきさんの編集覚え書き「翻訳書ができるまで① 版権エージェントという仕事」(2022年12月20日)※「エージェント(エージェンシー)」の仕事について理解が深まる.日本のエージェントは “翻訳” に特化しているということかな.

 

十年ほど前のことだが:キャロル・キサク・ヨーン[三中信宏・野中香方子訳]『自然を名づける:なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか』(2013年9月3日刊行,NTT出版,東京,vi+391 pp., ISBN:978-4-7571-6056-9コンパニオンサイト)の翻訳を進めていたとき,原著者 Carol Kaesuk Yoon [윤계숙(尹桂淑)]——正しくは「ケスク・ユン」と発音するらしい——さんとメールでやり取りしたことがあった.首尾よく『自然を名づける』が上梓され,順調に版を重ねたことを著者のケスク・ユンさんに伝えたら,ユンさんが驚いて「英語版はそんなには売れていない」と書いてきたので,こっちの方がびっくりした.「エージェントに発破かけないと」と言っていたので,そういう関係があることを知った次第.

 

やや逸れるが,ユンさんの話を聞いて以来,「英語で書けば広く読まれる」という通説はどこまで信用していいのか,やや疑念を抱いている.読まれる機会が増えることはたしかだろうが,実際に読まれる実数は別なのかもしれない.