『信州隨筆』

柳田国男
(1936年10月5日刊行、山村書院、長野県飯田町|国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1453751 [参照 2023-11-19])

民俗学者柳田國男が養子に入った柳田家のルーツは信濃飯田藩の家臣だった。伊那谷に縁をもつにいたった柳田は『信州隨筆』(1936年)の「自序」において、ローカルな地域での研究がゆくゆくはグローバルな知の構築につながることを期待しつつ、こう述べている:

「徒らに鄰家翁の歎賞を博して、能事了れりとするやうな郷土研究を揚棄してしまはなければ國は朗かにはならない。學問の本旨は要するに利他であり、郷土を研究の對象とすることも、今はまだ少しばかりふくれた利己主義に過ぎないからである」。